時折最高 003:Alice - Il vento caldo dell'estate (1980)
歌詞 ↓
イタリアの歌手なので、Aliceと書いてアリーチェと読みます。
あまりに名前として一般的で検索に困るのですが、初期芸名のAlice Viscontiとか本名のCarla Bissiなどを併せて検索すると見つかるかと思います。
1975年、1976年とAlice Visconti名義でCBSからアルバムをリリースするもヒットには繋がりませんでした。
1980年、EMIよりアルバム「Capo Nord」発表。この時から鬼才フランコ・バッティアートと組みます。70年代初期から前衛音楽のアルバムを作り続けていたバッティアートは、前79年にポップス路線のアルバムを作成していました。
前衛音楽家ならではの独特な作曲によるシンセ・ポップ、という斬新な路線を切り開きます。
この路線で作成されたのがAlice Visconti改めAlice名義で発表された「Capo Nord」でした。その冒頭を飾るのが「Il Vento Caldo Dell'Estate(夏の熱い風)」です。
一聴シンセポップ?、とも思えますが、ミニマル・ミュージックのような絶妙に奇妙なキーボードの旋律。ハンマービートのようなドラムス。ファンキーなのに機械的なベース。節の切れ目に飛び交うシンセの効果音。それらを切り裂き、投げつけるような、放り出すような、立ち向かうような、毅然としたボーカル。TV出演の姿もカッコいいです。バックトラックはテープですと声高に宣言するような何も無いステージ。ラフな格好で、ポケットに手を突っ込んで一人立つ姿。鮮烈。
スタジオ盤からの完奏版も以下参考までに。
このあとAliceはしばらくバッティアートと組んだアルバムをリリースしていきます。翌81年には「Per Elisa」という曲でサンレモ音楽祭にてトップを取っています。これでようやく彼女はブレイクしたのでした。
「Per Elisa(エリサのために)」というタイトルと共に、イントロではベートーヴェンの「エリーゼのために」のモチーフが使われていたりしますが、歌の内容はElisaという女性に貢ぎ、報われない男のことを歌っているようです。
90年代以降も、数年おきのペースでアルバムをリリースし続けています。それでも80年代のAliceは飛び抜けていました。その時代の冒頭を飾る「Il vento caldo dell'estate」は、私にとっては忘れられない1曲です。
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