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いれいすオリ曲考察「月白風清」「清風明月」「胡蝶之夢」

いれいすオリ曲考察第五弾は「月白風清」「清風明月」「胡蝶之夢」のシリーズです。
叶わなかった男女の恋を描いた悲しい曲。
それぞれの曲について考察していきます。
とはいえ、今回は考察というより私の解釈による解説と言った方が良いかもしれません。


千の恋を重ねて君を思う歌「月白風清」

月白風清は亡くなった好きな人を思う男性視点の歌です。

白い月夜に消えてった
君が居た
君が好き

もう亡くなっていることは最初の一文から察することが出来ます。
女性が亡くなったのはMVからも考えるとおそらく満月の秋の日の夜です。

少し冷えた空 光隠す雲
いたずらに笑う横顔 ただ見てた

君と夢の中 続く鈴の音と
重なる足音が二つ 響いてた  嗚呼

二人の思い出ですね。それを夢で思い返しているシーンでしょうか。
いたずらに笑う横顔」からは女性が明るい、よく笑う人であろうことが予想できます。この曲の中では女性の笑顔に関する描写が結構ありますし。
途中に「忘れたくなかったから」とありますから本当に大切な思い出なのでしょう。

夜桜も
花火の彩(いろ)も
ただぼやけて見えてた

夜桜と花火、春と夏です。次の歌詞が女性の様子を歌っているので女性が亡くなる前、共に見た景色だと思います。
ぼやけて見えた」は別れが近づき泣いているからかもしれません。

君の小さな
震えた声で
「今日も月が 綺麗だね」

小さな震えた声。綺麗な景色を見ているけれどいつまでも一緒に見ていることはできない。そんな悲しみからの震えのような気がします。一瞬MVに「もう少しで離れ離れになってしまうとしても」と出てくるので「小さな震えた声」という女性の様子の描写には寿命が近づき弱っているという面も表されているのかもしれません。
そして男性の方も「ぼやけて見えた」とあるので別れたくないという二人の気持ちは同じようです。
「月が綺麗ですね」は「好きです」と言っているようなものですがストレートに伝えることは出来なかったようです。

笑う君の瞳(め)に恋をして 幾夜のときを君と過ごして
千の秋をいくつ重ねて 君を想う
秋風に吹かれたのなら 2人冷えぬように寄り添って
白い月夜に照らされて 君と居た
恋をした

恋に落ちた理由は女性の笑顔のようです。
そして恋に落ちてからいつまでも思い続けていることを表すサビ。例え好きな人が亡くなっても思い出を忘れず大切にしていることがわかります。
けれどこんなに思っていても今側に好きな人はいません。
もう亡くなっているから、男性がどれだけ一途でも救いようがない。悲しすぎる曲です。

彼此 描いて 他愛で重ねる手と手
今じゃ 悠々 幽遠 と交わらない運命よ
どうしたって肩に触れるのは秋の雨
傘を差すかどうか迷うほどの

ラップパートです。「交わらない運命」は生きる男性と亡くなった女性のことを表しているのでしょう。
傘を差すかどうか迷うほどの」、つまり今傘を差していませんね。「どうしたって肩に触れる」のでそこまで雨が弱いわけでもないのに傘を差さない。この描写は男性の空っぽな気持ちを表しているようです。

覚えてるかな 月夜に消えた 「居たい」 問いたい
いたずらな君はもう視界に居ない
あの夜の綻びを繕うように 脳裏 左回る想い
きっと春になれば花は咲くさ
沢山の隠さぬ想いこそ落差
今宵の月も これから先も
2人で綺麗と感じたかった

月夜に消えた「居たい」問いたい」というのは一緒に居たいという思いが女性の死によって不可能なものとして消えていってしまったことを表しているのでしょうか。「覚えてるかな」とあるので「居たい」は男性が女性に、もしくは逆かもしれませんが言った言葉でしょう。歌詞の都合上省かれてる感じがするので言った言葉は「一緒に居たい」ではないかと私は考えています。
春になれば花は咲く。時が経てば花は華やかに咲くけれど人は戻らない。人間は一度亡くなれば華やかに咲くことなど二度とない。そういうところが「落差」なのかもしれません。

紅の葉も 冬の夜空も
ただ霞んで見えてた

夜桜、花火と来てこちらは紅の葉と冬の夜空で秋と冬を表してきました。
ただ霞んで見えてた」は「ぼやけて見えてた」より現実を受け入れられず、涙すら流せないでいる感じがあります。悲しみが大きくなっている、つまり女性が亡くなった後の話でしょうか。
そうなるとこの歌は女性の亡くなった一年後の男性の思いを歌った歌なのかなと思います。女性の亡くなった年のことを女性の命日に思い返している感じかなと思いました。

「ありがとう」より 「ごめんね」よりも
言えずにいた
「君が好き」

「月が綺麗だね」としか伝えられなかったように、どうやらこの二人は「好き」という言葉を直接、ストレートに伝えることは一生出来なかったようです。
好きな人に「好き」と言えずに終わってしまう。本当に切ないです。

袖を濡らす君の手をとり 幾夜のときを君と過ごして
千の恋をいくつ重ねて 君を想う

秋雨に打たれたのなら 2人一つの傘に入って
暗い闇夜に迷っても 君が居た

おそらく死による別れが嫌で泣いている女性の手をとって死ぬまでの時間を楽しく過ごそうとする時のことでしょう。夜桜や花火を見たのもこの時ではないでしょうか。
女性が生きていた頃なら、男性はしっかり傘を差していたようです。例え暗い闇夜、嫌なこと苦しいことがあっても変わらず傘を差し続けることが出来ていた。けれど今は違います。

千の秋をいくつ重ねて 君を想う
喉を枯らせて叫んでも この気持ちはずっと届かない
白い月夜に消えてった 君が居た

好きでした

喉を枯らせて叫んでもこの気持ちはずっと届かない
この歌詞にこの状況の救いようのなさが詰め込まれています。
死んだ人にはどうしたって声は届かない。
それに最後が「好きです」じゃなくて「好きでした」なのも、もう叶わないことを表しています。
とにかく叶わなかった恋を思い返している、そして男性のいつまでも変わらない思いを表している歌です。

揺蕩って消えた私の歌「清風明月」

月白風清の返歌。女性からの思いの歌です。
女性の亡くなる直前から亡くなった直後にかけての思いを歌った歌だと思います。

白く光る月が
照らす影が二つ
決して戻らない砂時計も
逆さにできたなら

照らす影が二つ」とあるのでここは女性が亡くなる前ですね。男性と一緒にいるところでしょう。けれどそろそろ時間がないということが「決して戻らない砂時計」からわかります。

こんな袖を濡らすのなら
恋も愛も君も知らないままで

死の恐怖で泣いているというより好きな人との別れで泣いているのでしょう。恋を忘れてしまいたいと思うほどに女性は別れを惜しんでいます。

月夜に光る君の花笑み
空鏡 有れば 恋焦がれ
千の夜を数えて 
揺蕩って消える 私は きっと 咲かない
恋をした

歌で聴くと「私はきっと咲かない」と「恋をした」が繋がった言葉のように聞こえませんがおそらく「私はきっと咲かない恋をした」という文でしょう。
月白風清の方からもわかる通り女性は死んでしまうのでこの恋が実ることはありません。

もしも神様がいて 願い叶うのならば

忘れられないの
また触れたいよ
動かない針 白露降る刻 夜寝
荒野で頬を伝うのは秋時雨
天邪鬼な天に祈る声は

どうか 幸せになってね

白露は超大雑把に言えば秋の朝露です。秋、つまり女性の死の本当に直前です。そしてそんな死の直前の願いは男性が幸せになること。

覚えててね
照らす月夜に舞った願い
暗い闇夜に去った想い
2人よがりな想い出の場所
愛そう 最期に交わした「大丈夫 もう」
終に消える 切れる あの日の夢に
君の好きな春を添える

覚えててね 照らす月夜に舞った願い」とありますが月白風清にも似た言葉がありました。「覚えてるかな 月夜に消えた「居たい」問いたい」です。この照らす月夜に舞った願いは「居たい」ということだと思います。
そして清風明月のMVにはたまに桜が映りますがこれは男性の好きな季節である春をまた共に過ごしたかったという女性の思いが入っているように感じます。

決して灯らぬ恋蛍も
玉響の日々をどうか照らして
白い月夜に消えて 無くなってしまっても 私はずっとここで
君といた

玉響とはしばらくの間という意味らしいです。
消して灯らぬ恋蛍も」と合わせて恋が実らないことはわかっているけれどこのしばらくの時間は幸せなものにしてほしいといった思いがうかがえます。
次の二行からは男性に自分のことを忘れて欲しくないような思いがあるように感じます。

眠る私の手を取って ねえ
子供みたいに泣かないで あぁ
君が好き

ここで女性が亡くなってしまった後の話へ移ります。

月夜に光る君の花笑み
空鏡 有れば 恋焦がれ
千の夜を数えて 揺蕩って消えた
私は ずっと 君が

好きでした

女性も最後の最後まで男性を思い続けていたようです。

君を思う最初で最後の歌「胡蝶之夢」

男性視点の最後の歌。
女性が亡くなって随分経った頃の歌だと思います。

風鈴のような君の声が
響く夢の合間に
朧に霞む君の姿
伸ばす手は空を切る
水面映る月を 何度救い上げて
叶わぬこの思いを ただ希う

女性が亡くなってから長い時が経った頃、男性が女性の夢を見ている場面だと思います。「叶わぬこの思い」とは女性に会いたいというものでしょう。

伸ばす手は空を切る」ともあるので夢の中で姿を見ることは出来ても女性と話したりすることは出来ていないように見えます。

君の君の最初で最後の願い事だった
僕の僕の幸せ願う 手紙に花を添えて
だけどだけどただ寂しいよ 君のいない現世
君がいなきゃ君の願いも叶わないことくらい
わかってたはずでしょう

どうか幸せになってね」と清風明月で女性が言っていたので「君の最初で最後の願い事」はそのことでしょう。どうやら手紙も残していたようです。
けれど女性がいなければ男性が完璧に幸せになることはまずない。時が経ってもこれほど女性のことを思い続けているのですから。

僕の僕の最後で最後の願い事だった
君の君の 未来を思う 四つ葉に願い込めて
いつかいつか忘れられたらなんて思えないよ
千の秋をいくつ重ねて君を思っている
今も夢の中で

「僕」の願い事は「君」がいること、なのでしょう。
「君」のいない世界は辛く苦しいけれど絶対に「君」のことを忘れたくない。そんな歌詞だと思います。
最後で最後の願い事」には一番の願い事、これ以上はなにも求めないから叶って欲しい願い事といった意味があるように思いました。

君の君の最初で最後の願い事だった
君の願い事一つくらい叶えてあげたかった
何十年経って君を忘れず 恋思えることが
僕の僕だけの幸せで 僕のすべてだった
今 瞼を閉じる

おそらく「君」、女性は我が儘など言わないタイプだったのでしょう。だから「最初で最後の願い事」。男性はできるだけ願いを叶えたかったけれど女性の唯一の願い事は叶えられないものだった。

今 瞼を閉じる」は夢の中なら女性に会うことが出来るかもしれないからでしょう。

「胡蝶之夢」という漢文がありますがこれは「夢と現実の区別がはっきりつかないこと」を表すようです。この胡蝶之夢という漢文はMVの中にも出てくるので無関係ではないでしょう。
ですがこの曲の歌詞を見ると男性は夢と現実の区別はついているように見えます。「伸ばす手は空を切る」「叶わぬこの思い」「君のいない現世」。女性がもう死んでしまっていていないことをしっかり理解しているように思えます。
それでは胡蝶之夢とはなんなのか。私は最後の「今瞼を閉じる」の後、ついに女性と話したりして一緒に過ごす夢を見られたのではと考えました。今まで、どれだけ思っていてもそんな夢を見ることはできなかったけれどついに見ることが出来た。そしてその夢が楽しすぎて夢と現実がわからなくなる。この胡蝶之夢という歌はそうして男性が夢に溺れていく直前のことを描いたものなのではないでしょうか。

つまり、私の解釈でいくと清風明月(女性が死ぬ直前の歌)、月白風清(一年後に女性を思う歌)、胡蝶之夢(長い時が経ち、男性が夢に溺れる直前の歌)のように進んでいる、といった感じです。
月白風清は回想シーンが多いので、その回想シーンでの女性の思いということで月白風清の後に清風明月が出されたのかなと思っています。

ロゴについて


まずは月白風清のロゴです。紅葉とススキ。紅葉は色々と意味はありますがここでの意味は「大切な思い出」でしょう。ススキは「心が通じる」という意味で入っているのだと思います。

清風明月のロゴです。花は菊と梅に見えます。菊は色によって意味が変わりますがピンクの菊の意味は「甘い夢」。梅には「忠実」「高潔」「忍耐」といった意味があります。

胡蝶之夢。タイトル通り蝶がいます。蝶は輪廻転生や復活、長寿を意味しています。

最後に

流石に三曲一気にまとめてしまうと長くなりました。
見てくださりありがとうございます。
要するに死んでもなお両思いな二人の歌ですね。女性さえ生きていれば幸せになれたのでしょう。
男性が胡蝶之夢のあとどうなったのかは…わかりませんが、良い結末にはならないでしょう。
聴けば聴くほど悲しい曲です。

ちなみに花鳥風月もありますが、あれはまた別かなと私は思っています。花鳥風月の歌詞の「君」は生きてる感じするんですよね。だから別の歌だと思います。

次回の予定は特にありませんが気ままにやっていこうかなと思っています。

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