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69円の価値

 先日、疲れ果てていたのでスーパーへお惣菜を買いに行きました。

 普段ならキッチンに降り立ち適当クッキングに興じるのですが、この日はなぜかバテきっていてお惣菜に頼らないと終わるとさえ思っていました。

 スーパーへ行き、お総菜コーナーでザンギと白身フライをカゴへin.

 鶏のから揚げでなくザンギを選んだのは単に50%オフだったからです。

 あと白身フライじゃなかった気もしてきました。なんかこう、白身魚が短冊みたいになって衣をまとったお惣菜です。

 名前がわかりませんが値段なりにおいしかったです。

 お米は炊く用意をしてきたのでとりあえずこれで夜ご飯完成の目途は立ちました。


 ただ、やっぱりちょっとの野菜はほしい。

 サラダのコーナーを見てみるのですが、まだ時間が早いのか割引シールは貼られていませんでした。

 惣菜の隣にあるサラダってなんとなく割高に思いませんか?

 海藻サラダみたいなちょっと酸っぱいのが好きなのですが、これで300円か~って思い始めるとカゴに入れる手が止まってしまいます。

 そこで、もう面倒くさくなることは承知の上でキャベツを半玉買うことにしました。

 何日か前にお好み焼きを作ろうとしてうどんを買ったのにキャベツがなくて断念したので、このタイミングで思い出せて良かったです。

 それなりに身のしっかりしたキャベツ半玉で138円。

 正直そこまで安くもないのですが、一時よりはだいぶ落ち着いたのでこれくらいは買ってもいいでしょう。

 キャベツはいろんな料理に使えますし、冷蔵庫に寝かしてあるときの安心感はタマネギの次くらいに高いです。

 総菜と一緒にキャベツもカゴへin.

 あとは目についたキムチとか冷凍のサーモンとかを物色していたのですが、何を思ったのかまた総菜のコーナーへ行きました。

 特に理由を覚えていないのでそのときは頭がもう限界だったのかもしれません。

 スーパーの中をふらふら歩いていると、キャベツに半額シールを貼っている店員さんがいました。

 私がキャベツを手に取ったときには何も貼られていませんでした。

 ちょっとだけ、ほんの少しだけ悩みました。

 店員さんへ半額シールを貼ってもらえるように話しかけてみようかな、と。

 138円のキャベツが半額になるので69円の得です。

 でも「一度カゴに入れたものの値引きはしません」と言われてしまうかもしれません。

 私は黙ってレジへ向かいました。

 断られる可能性をはらんだ状態で値引きシール交渉へ挑む行為の価値が69円に値しないと判断したからです。

 疲れていなかったら声をかけていたかもしれませんが、そのときの私は疲労困憊。

 がんばって値引きシール交渉をして、もし断られてしまったら何かが耐えられないかもしれないと思ったのです。

 こういった損得勘定は日常のいろんなところにありふれていると思いますが、こうしてはっきりとした数字にして計ることができたのは初めてでした。

 私が元気だったら、キャベツじゃなかったら、差額が100円だったら。

 いろんなパターンによって相場は違うでしょうし、人によっても違いがありそうです。

 小さいことですが、そうやって人は生きているんですね。

 壮大な終わりにしようとしたけど、結局このネタも69円くらいの価値しかなさそうです。

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