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レポートの書き方

大学で環境文学を教えている。文学には正しい読みというものはない、レポートでは授業で取り上げた作品について自分なりの視点から分析しなさい、と学生に言っているが、作品の表面をなぞっただけのものが少なくない。近年はその傾向に拍車がかかっている。それで、分析とはどういうことかを学生に理解してもらうために、料理の比喩を使って説明することにした。

レポートの題材である文学作品を、玉ねぎとじゃがいもとニンジンに喩えると、分析とは、これらを料理することなのです。作品を要約しただけでは、いわば材料を洗っただけ。全然料理されていない。肉じゃがにもカレーにもなっていない。まあ、肉じゃがやカレーだと、相当工夫しないと意外性はないわけで、読み手(つまり教員)を唸らせるレポートにはなりにくいですが。この材料がこんな料理になったのか!と感動するようなものを皆さんには作ってほしい。それには素材(作品)との対話を重ね、料理法(分析方法)を研究することが必要です、と。

これは自分にも言えることで、論文に取り組みながら、これじゃ料理とは言えないな、と日々格闘している。