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🌳(平田さんの絵)


 平田さんの絵は、湿り気があって、ざわざわと草が擦れあう音がする。虫の眼で苔のかげでうごめく時と、首長竜になって岩にもたれかかったところから体を起こす時と、その両方の、幻をみる。ふだん交わしている言葉が誰にでもわかるものだと思って使っているのに、何の話か訳がわからないはずのやり取りに心地良さを感じて、自分を含む人が積み重ねてきたと信じる何かは案外、でたらめなのかもしれない、と力が抜ける。明確な理由が説明できないままに、良い、とはっきり言い切ることの清々しさよ。



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