仮想通貨取引計算書(移動平均法)EXCELシート作成~海外取引所や入出コインにも対応~

国税庁に移動平均法のExcelが公開された

仮想通貨の確定申告。
令和元年度のルールが固まってきたところで作成してみることに。
仮想通貨の取引がある人は通貨ごとに令和2年3月16日までに取得価額の算定方法を事前に届けなければならないので、悩んでいる人もいるかと思います。

国税庁の公式サイトには以前は総平均法のシートしかなかったのですが、現在は移動平均法のシートも公開されていますね。

仮想通貨に関する税務上の取扱い及び計算書について(国税庁)
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/kakuteishinkokukankei/kasoutuka/index.htm

私は移動平均法で届出する予定なので、さっそく使ってみようと思ったのですが、なかなか難しい。
仮想通貨は取引所内での売買以外にも様々な取引があるわけですが、

1.海外の法定通貨や他の仮想通貨の円換算
2.ウォレットへの入出金、さらに店舗での決済利用
3.マイニング、収穫、ステーキング
4.相続、贈与などの入出コイン

などの摘要がある場合、取引日の終値だったり取得単価だったりと別計算が必要になります。

海外取引所・入出コイン対応の仮想通貨取引計算書(移動平均法)

少しでも使いやすい計算シートはないだろうかと探してみたところ、私のニーズにマッチするものが見当たらなかったので、国税庁のシートを参考に自分なりに作成してみました。
最終的な様式は国税庁のシートに似せてみました。

自作の仮想通貨取引計算書(移動平均法)
http://www.net-folder.com/share/?t=gyktn34rdpfk2rw4yhmm
※「ネットフォルダー」のサービスを使用して公開しています。

使い方は「基本シート」に記載しておりますが、「計算書作成シート」「レート入力シート」を作成したうえで「計算書作成シート」右側にある出力様式が完成するという構造にしています。
「購入」「売却」の他にも、「入コイン」「出コイン」「受取」「贈与」にも対応しているのが特徴です。
ただし、低額譲渡(時価の70%以下)の税金計算や、相続税・贈与税には対応しておりません。

また、サンプルとして韓国の取引所を利用した場合のレート計算を入れておりますが、米ドルなど他の法定通貨や、BTCなどの仮想通貨を基軸とした計算にも対応しております。

複数の取引所やウォレットで取引した際の評価単位

ICOや草コインといったマイナーな仮想通貨を取引をするために、国内取引所と海外取引所など複数の取引所を利用している人も多いかと思います。
海外取引所を利用するときは、概ね国内の取引所で仮想通貨を購入→送金して利用を始めることが多いかと思うのですが、複数の取引所で売買をしている場合の税金の取り扱いには考え方が大きく2通りあります。
参考までに、丸山正行税理士は次の通り書かれています。

Q.複数の取引所で売買している場合、合計して平均すればよいのでしょうか?
A.複数の取引所を合算して計算しても良いですし、各取引所ごと計算しても、どちらでも良いです。

丸山正行税理士事務所 仮想通貨の税金の質問~複数の取引所の計算方法~

http://mr-zeirishi.com/2017/12/10/kasoutax9/

現物取引の場合、国税庁では評価単位については定められていません(レバレッジ取引の場合は取引所単位で計算する旨が国税庁から示されました)。国税庁のシートでも「Excelシートを複数準備し所得金額を別々に計算して最後に合算する」ことで対応できますが、入出コインの評価額がさらに計算を複雑にします。

逆に、次の取引を行って(行われて)いる場合は取引所単位で計算する方が理にかなっていると言えるでしょう。

1.取引所Xで仮想通貨Bを保有した状態で、ICO参加などで取引所Yで仮想通貨A→仮想通貨B→仮想通貨Cと交換する場合
2.取引所Xで保有していた仮想通貨Aから仮想通貨Bが分岐し、取引所Yで仮想通貨Bを取引した翌年、取引所Xで仮想通貨Aが付与され、売却した場合
3.仮想通貨Aから仮想通貨Bが分岐したが、取引所Xでは「仮想通貨Bが新コイン」、取引所Yでは「仮想通貨Aが新コイン」として取引所間で仮想通貨の名称や分岐元・先が異なる場合

複数の取引所を合算して計算して計算する場合、1.の事例では国税庁から「個別法として中間に介在する仮想通貨の取引は考慮しなくても良い」という見解が示されたので、仮想通貨Bの取引は無視してよくなりました。
しかし、2.の事例では前年度分の取引から取得価額を再計算する必要がありますし、3.の事例では取引所毎に各コインの取得価額を計算し合計する必要が生じます。

一方、仮想通貨の税金計算サイトでは総平均法や複数取引所の合算計算しか対応していないものが目立ちます。
仮想通貨を取引する人には税金計算初心者が多く、初年度にこれらのサイトに多数飛びついたこともあり、移動平均法や取引所毎の計算に対応した各種ツールが少ないのも一因にあるように思います(将来発生するであろう諸問題に対応するには、柔軟な対応ができる取引所毎の計算を推奨すればよいのにな思う次第です)。

おわりに

Excelシートの計算式についてはチェックしておりますが、端数処理等、計算が間違っている可能性がありますのでご利用は自己責任でお願いいたします。

また、本記事のリンクを紹介してくださるのは構いませんが、Excelシートの二次転載は禁止致します。

確定申告および仮想通貨の取引に係る税金のルールは細かい部分では未整備なものも多く、国税庁側も試行錯誤しているためルールが追加・変更される可能性があります。詳しくはご自身の居住地を管轄する税務署または税理士にお尋ねください。

追記
2020/2/18 印刷設定がずれていたのを修正しました
     軽微な修正を行いました
2020/2/16 軽微な修正を行いました
2020/2/15 ver1.00公開

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