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Intel 第12世代CPU搭載PCでSolidworksはパフォーマンスを発揮できない

Yoga 770(AMD)でSolidworksのベンチマークを行ったり、現在、仕事で使っているある程度大きいアセンブリモデルを開いたりして、いろいろ操作してみました。
体感的に、Intel第12世代CPUのCore i7-12700搭載のメイン自作PCよりも、かなり操作が軽く、レスポンスもかなり良い。
そこで、その操作の一部を実際に、ストップウォッチで計測しても、やはり、Yoga 770(AMD)の方が5倍程度、処理時間が短いことがわかりました。
この原因を追及するために、Cinebench R23とSolidworks 2020のベンチマークソフト稼働中に、動作しているCPUコア数、周波数などのデータを取り検証しました。

1. 使用した3台のPCの主なスペック

1.自作PC(メイン):デスクトップ

CPU:Core i7-12700
GPU: NVIDIA Quadro P1000(4GB)
RAM: DDR4 32GB(8GBx4)
STORAGE: 1TB(NVMe)

2.Dell Precision 5520:モバイルワークステーション

CPU:Core i7-7820HQ
GPU: NVIDIA Quadro M1200(4GB)
RAM: DDR4 24GB(8GB+16GB)
STORAGE: 0.5TB(NVMe)

3.Yoga 770(AMD):ラップトップ

CPU:Ryzen 7 6800U
GPU: Radeon 680M (Shared 2GB)
RAM: DDR5 32GB
STORAGE: 1TB(NVMe)

2. ベンチマークソフト

Cinebench R23とSolidworks 2020のベンチマークソフトを使用しました。
Cinebench R23は、1回のみの計測となります。

3. Soldworks 2020での処理時間計測

Soldiworksのアセンブリモデルでの、Configurationsの切り替えにかかった時間を2回計測しました。
まず、"1"というConfiguratiosでファイルを開いた後に、”2”というConfigurationsに切り替えにかかった処理時間を計測。
次に、"2"のConfiguratiosから"1"のConfigurationsに戻した時の処理時間を計測。

4.検証結果

1.検証結果

今回の検証結果を表にまとめました。

検証結果

ベンチマークソフトでは、自作PCが一番パフォーマンスを発揮しているが、Solidworks 2020の操作処理時間は、Dell Precisionよりも約3倍、Yoga 770(AMD)よりも約5倍も時間がかかる結果となった。
この結果には、かなり興味深いですね。

2.Solidworks操作中の動作CPUコア数

Core Tempを使用して、Solidworks操作中に動作しているCPUのコアを調査しました。
Core i7-12700がPコアのうちほほぼ2コアのみ使用しており、Dell Precision 5520とYoga 770(AMD)が持っているコアをほぼ全て使用しているのが分かった。
おそらく、このCPUコアの使い方が、Solidworksの処理時間に大きく影響しているのではと感じた。

2-1. 自作PC

Core i7-12700(自作PC)

Core #0~#7:がPコアで、Core #8~#11がEコア。
主に動作しているコアは、Core #4と#5の2コアのみであることがわかる。

2-2.Dell Precision 5520

Dell Precision 5520

動作しているコアは、4コアほぼ全てであることがわかる。

2-3.Yoga 770(AMD)

Yoga 770(AMD)

動作しているコアは、多少の変動はあるが、8コアほぼ全てであることがわかる。

5.考察

Solidworks 2020でのConfigurationsの切り替えにかかった処理時間は、Yoga 770(AMD)が、自作PCよりも5倍程度、処理時間が短いことがわかった。
さらに、約5年前のモバイルワークステーションであるDell Precision 5520でも、自作PCよりも3倍程度速い。
その主な原因は、Soldiworksの処理中に動作しているCPUコア数が全く異なることではないだろうか。
Yoga 770(AMD)とDell Precision 5520では、ほぼ全てのCPUコアが動作している。
一方、自作PCのCore i7-12700では、Pコアのうち2コアしかまともに動作していない。
しかしながら、一般的なベンチマークソフトでは、自作PCの方がかなり良い数値をたたき出しているので、ベンチマークソフトの結果はあくまでも参考値にしかならないと言ってもよいだろう。

6.2022年9月現在でSolidworksのパフォーマンスが最も発揮できるPCは?

今回の結果から推測するには、Intel 第10世代もしくは第11世代のCPUを搭載したPC、または、同世代のXeonを搭載したPCではないだろうかと思う。

7.SolidworksがIntel 第12世代CPUでパフォーマンスを発揮するには、

Intel 第12世代CPU、つまり、PコアとEコアを搭載したCPUに最適化されたSolidworksが必要ではないのだろうかと思う。
Solidworks 2024あたりでは、そうなることを願いたい。
実際に、このようなCPUに対応したSoliworksが開発されているのは不明。
現在、Solidworksの対応CPUはIntel CPUとRyzen CPUとなっています。

https://www.solidworks.com/support/system-requirements


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