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本能。

先日、お誘いを頂いてカートデビューした。”ゴー”カート経験として古くは多摩テック(今は亡き)で父親の後を必死に追い、TDLのサーキット(今は亡き)では恋人を横に乗せ華麗なコーナリング、よみうりランドでは子供を置き去りに爆走。豊富な経験、レース運びはマリオカートで学んでいる。誰が見ても満を持してのカートデビューである。嗚呼やっと来たか。世界がオレを見つけるのが遅すぎる。

いっちょやってやりますかぁ!!!!!

まぁ怖い。とにかく怖い。早い・寒い・揺れる・シートベルトは?パワステは?集中して半開きの口は喉の渇きを覚え、追いつかない脳は『これは緊急事態!!!』と視野を狭める。アクセル踏めない。すぐにこわばる全身。なくなる握力。すぐにピット戻ってお茶をガブ飲む。「た…たのしいねぇ!ねぇ?」なんて言ってる表情は固い。とんでもねぇ。なんでみんなあんなに速いんだ。怖かないのか。すぐに”早”と”遅”というグループが自然発生した。

”遅”3人だけでレースをした時、それは起こった。ぐるぐるぐるぐる回っているうちに、だんだん楽しくなってきたのだ。そして同時にどうしても前を走っている奴を抜きたくなったのだ。

「アイツ一人でいい。今日は目の前を走っているアイツだけは絶対に抜いてやる」非日常にさらされた体と心が本能を呼び覚ます。これが”闘争心”か。

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技術?恐怖?そんなものは”お前”に食わせてやる。さぁオレの身体を使え。ぞんぶんに暴れろ。本来の力を!”お前”を!魅せてやれ!次のコーナーで抜け!

いっけーーーーー!!!!!

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ぷっぷっぷるるるるっ♪

見えないバナナを踏んだ様にスピンし、”ボクのレース”は終わった。”闘争心”はきれいに畳んで押し入れにしまった。さっきまで”闘争心”がいた所には”悔しさ”がポタリポタリと溜まっていった。うううぅ。切ない。

打ち上げは大盛り上がりだった。まだ次の日の全身の強張りを想像もしていない我々は大いに飲み・食べ・大声で笑った。

この仲間と遊ぶこんな日がこれからも続くといいなぁと思いつつ今日も"強い酒"を飲むのだ僕は。

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