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あなたへの手紙を。

あなたと出会って、3年と半分が経ちました。
まだ、たった3年なんですね。
そのうち、十分に一緒に共通の時間を過ごした、と曲がりなりにも言えるのは、ほんの3ヶ月ほどのこと。
あの3ヶ月がなかったら、今の自分の、この瞬間はなかったと断言できます。

重い心残りを抱えさせられ、あの時間を失ってからのときをずっと過ごしてきました。
日常の生活、仕事、家族親族との時間、ふつうの日々。そんな中でもあなたのことはずっと心の中にあって、あなたの残像は心の中に住んでいました。
いつも、あなたの残像に向かって、話しかけていた気がします。
あれやこれや。楽しかったこと、共通の趣味のこと、悩んでいたこと、他の誰にも言えない、家族にも親しい友達にも言えないような、苦しいこと。


遠くにいるリアルのあなたには、近況報告や、共通の趣味のことで、こんなことがあったよ、これはどうしたらいいの?なんていう、ちょっとしたご機嫌伺いのようなメッセージ。
本当はこんな話を聞いてほしいのに、と思うことは、言えませんでした。
あのころのように、毎日(なかば強制的に)会って、つなぎの時間にああだこうだ会話をするような、そんな状況でもなければ、持ち出せない話。
あまりにたくさん、話したいことを抱え込んだまま、終わらない宿題にして、あの3ヶ月は終わったのです。

リアルのあなたと、残像のあなたの間の乖離にようやく気づけて、リアルのあなたとは、もう千切れない糸を結び合うことができました。……できたと思います。少なくとも私は。
これから、ここで、残像のあなたに宛てて、手紙を書いていこうと思います。
私の内では、リアルのあなたももちろんいとしいけれど、残像のあなたもまた、いとしくて手離せない存在だから。
ここで手紙を書けば、私の思いはすべて、残像のあなたに届くのです。

リアルのあなたはまず見ないであろう、そしてもしも目にすることがあっても、書き手が私であることが分からないであろうここで、手紙を書くのです。

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