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ガラスのこころ
落としたグラスは
パリン、と音を立てて割れた。
いつだって
こわれそうだったのは
私の心の方だった。
割れた音に、
少し呆然と立ち尽くす。
こわれたかったのは、
こわれそうだったのは
私の心だったのかもしれない。
割れたグラスに
指を切る。
救い集めたかったのに
ヒリヒリと痛みと、
滲む赤い血が
まるで心みたいだった。
やさしかったのかもしれない、
見えなくなっていたのかもしれない
そっと傷を抑える
大丈夫、なんて言わなくていい。
そう思った。
ただ、こわれたかったのだ。
それで良かったのだ。
絆創膏は、貼らない。
明日にはきっと 痛みはないのだから。
割れたグラスと、
グラスみたいなこころの話。
photo/emili
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