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笹餅

今日から、山登り開始。とりあえず、近くの藻岩山へ向かう。休日のため、混み合う事が予想され、駐車場も停めれなくなるため、朝早く出る。

慣れた道をテクテク歩き、馬の背も過ぎて、頂上に向かう。早い時間はすれ違う人も少なく、スムーズに歩ける。
頂上に着き、一服。さて、これから、どうしようと考えながら、ベンチに座る。近くには、親子と思われる三人組。ガスのバーナを出して、軽食の用意をしていた。そこで聞こえてきた会話に、聞き耳をたてていると、どうやら、ガスボンベの残量がなく、火が付かないらしい。もう、カップ麺の蓋を開け、用意万端のようである。
はて?どうするのであろう?代わりの物、あるのだろうか?
この近場の山では、頂上でお湯を沸かし、ゆっくりする人は少ない。誰か代わりに、バーナーで沸かしてあげてなんて、考えていたが、誰もいない。もちろん、自分も、持っていない。
と、その時、昨年、非常用セットを用意した事を思い出した。100均の五徳と、マッチと、メタ数本を包み、リュックの底に忍ばせておいた。非常時ではないが、彼らにとっては、非常時だ。
おもむろに取り出し、声をかけ、お湯を沸かす事を提案する。三人は、救世主が現れた表情で、非常に喜んでくれた。
なんとか、お湯も沸き、ミッション終了。
なんと、お礼にと笹餅をくれた。


もう、一生会わないであろう三人組。この僅かな時間に出会い、会話をかわし、お互い幸せな時間を過ごせる。なんと素敵な事か。これだけで、今日は良い一日だったといえる。
美味しい笹餅を頂いたら、元気になり、無事に山行を終える事ができた。あまりに、美味しく頂いた笹餅、あっと言うまに食べたから、もう一つ持たせてくれた。ありがとうございます。