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東北のおいしいこころ〜仙台の牛タンと萩の月とホヤ〜

 今から30年くらい前に、観光で行った仙台の居酒屋さんで食べた牛タンに衝撃を受けたのを、今でもおぼえています。分厚くて、肉汁ジューシーな焼き具合で運ばれてきたお肉をひとくち食べて、「なななな、なんだこれは今まで食べたお肉と全然違う!」と、当時10歳くらいの私は目を丸くしました。
「仙台の牛タンって、こうやって出してくれるところが多いんだって」ところかわればお肉の状態も変わるんだねぇ。 
 牛タンといえば、焼肉屋さんで出てくるだ円ぽい形の薄いお肉のことだと思ってた。おんなじ牛の部位でも、切り方と焼き方が違うと味わいも食感も違う。それはもう、小さい私にはセンセーショナルな体験でした。

 仙台の居酒屋さんと故郷静岡の居酒屋さんとではあるものないものの発見が、「地域で食べられているものに違いがある」という認識の始まりでした。故郷にはどこにでもある「黒はんぺんのフライ」も「カツオのへそ」も仙台にはない。でも、めっっちゃおいしい仙台の牛タンやホヤは静岡にはない・・・。

 ホヤ。「海のパイナップル」と言われる海に住む生き物です。大人になって、東京に住んでからから何度か食べたんです。「あれ?こんなに生臭かったかなぁ、小さい時に食べた時は美味しかったのに」鮮度が命って、こういうことをいうんだねぇ。
 流通システムが発達した現代でも、土地に行かないと美味しく食べられないものってたくさんある。これでいつまでも有ってほしい、いい不便だと思っています。

 仙台に行くと必ず買っていくお土産といえば「萩の月」です。ふわふわしっとりで優しい甘い香りのスポンジ生地の中にもったりと濃厚なカスタードクリーム。似たようなつくりのお菓子はいろんなところにあるのですが、まさに、別格。冷蔵庫で冷やしてもおいしいんだよねぇ。
 萩の月は、賞味期限が短めであるがために、あんまり他方には出回らないレア度の高い地域銘菓です。私は今は東京に住んでいるのですが、先日、近所のスーパーに設けてあった「東北物産コーナー」で発見しちゃったのね。ソッコーで買い物かごに吸い込まれていきました。

 お料理もお菓子作りも好きで、なんでも作ってみたくなる性分です。だけど、ハナから作ってみようと思わないものもあります。メーカーや職人さんじゃないと作れない、マネようとしてもホンモノには届かないと、食べた瞬間に、頭のどこかで判断しているのかもしれませんねぇ。

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 今日も、最後まで読んでいただきありがとうございます。
 私、食べもの探究家ですが、絵を描いたり写真を撮ったりもしています。先日はアーティスト仲間と一緒に食べて飲める写真展をやりました。昨日は打ち上げを自宅でやって、料理人としておいしいものを振る舞っていました。やっぱり、誰かにおいしいって言ってもらうのが、私の一番のしあわせです。

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