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お婆ちゃんが俺の名前を忘れた日

そんなことより聞いてくれよ>>1よ。スレとあんま関係ないけどさ。
一昨日、三が日の締めくくりで母方のお婆ちゃんの家に行ったんです。お婆ちゃんの家。
「お婆ちゃんの家に1月3日に行くの?それなら皆で行こ行こ」となり、なんかうちの両親、弟夫婦、叔父叔母と来ていっぱいで座れないんです。
で、やっとお婆ちゃんの隣が空いたので座って話しかけたらお婆ちゃん、マジな顔で「あー、どなたでしたっけ」とか言うんです。
もうね、アホかと。馬鹿かと。
あんな、半年前に入籍報告行った時には俺の名前もうちの妻の名前もしっかり覚えてて話が出来たのに、半年如きで認知症進んでんじゃねーよ、ボケが。
半年だよ、半年。
会うたびに「お婆ちゃんは認知症が進んでるっていうけど、まさか30年以上付き合いのある、それも初孫の名前なんか忘れないだろ」と思ってたけどついに来た。「忘れる事なんかない」と思ってた自分の頭がおめでてーな。
会話しててなんとか思い出してきたと思ったら、俺と弟の名前を間違えるの。もう見てらんない。
何故か分からないけど、せめて弟と弟の妻の名前は憶えて欲しくて何度も何度も確認しちゃったよ。「これは誰?ひろきやな。ひろきの奥さんは?理科の理で理香(仮名)ちゃんやな。」って。

そもそもお婆ちゃんはさ、一年前くらいまでは結構チャキチャキしてたんだよ。
1年前に顔出した時、お婆ちゃんと2人でひっくいテーブルの向かいに座って「あたしは先が短いけど、ともくんは先が長いんよねぇ。なんか不思議よねぇ笑」だなんて言ってたのに。そんな話した事も覚えてるのか心配だよ。
あんま関係ないけど昔、オープンカー買った時に嬉しくてお婆ちゃんを助手席に乗せて飯に行ったんだわ。その日は生憎の小雨で屋根は開けれなかったんだけど、2人っきりで近くのくら寿司に行って飯食って帰ったんだわ。その後、「孫とドライブしてご飯食べた」って話を何度もうちの母親とか同居する叔父さんに話してたみたいでさ、嬉しかったよな。まだ覚えててくれると嬉しいんだけどなぁ。

帰り際、お婆ちゃんに「こうやって俺も弟も結婚できたのは、お母さんを生んでくれたお婆ちゃんのおかげやからね。ありがとうね。」って伝えたら「あたしもう・・・そんなん言ってくれたら・・・泣いちゃう」って言ってた。まぁ泣いてはなかった。

帰り道、俺が父親に「なんか、寂しいわ」と伝えたら「いつかは皆通る道や!」と言ってた。それ言いたいだけちゃうんかと。問い詰めたい。小一時間問い詰めたい。
生粋のお婆ちゃんっ子の俺から言わせてもらえば今のお婆ちゃんの状態は「こっからっす」これだね。何勝手に引き返されへん道通ってんねん。まだいける。弟の結婚式も俺の結婚式も控えてるし、しっかり参加してもろて、先に行ってるお爺ちゃんに報告してもらわんと。これがベスト。しかし元気になって欲しくてお婆ちゃんに接触図りすぎるのも、普段面倒見てくれてる叔父叔母夫婦に面倒がられる危険を伴う、諸刃の剣。
素人にはお薦め出来ない。
まぁ結局は過度な傾倒はせず、全員適度な距離感で支えあって生きていきなさいってこった。

いずれお婆ちゃんも叔父叔母も両親も妻も弟夫婦も死ぬんだろうけど、いずれ来るその日まで、俺が出来る事は出来る限りしたいなと思うね。それは勿論友達も全部、関わる人含めてね。そう改めて思った1日だったよって話。


追記 2023/1/15
1月10日の事なんだけどさ、聞いてよ。
俺、その日たまたま仕事中にお婆ちゃんの家の近くに行く用事があったのね。
ほんでもう俺仕事辞めるし、ここに仕事中に来ることも無くなるしな~と思って用事の前にお婆ちゃんの家に寄ったんだわ。
でもさ、この前俺の名前を覚えてなかった件もあったし、家に行ったら行ったで余計俺が凹むんじゃないかと思ったんだけど、なんか会いたい気持ちが先行して行っちゃった。

営業車のアルトをお婆ちゃんの家の前に停めてインターホンを押す。応答が無い。デイサービスに行ってるのかな?と思ってドアを開けてみると開いちゃう。鍵が掛かってない。「お婆ちゃん~~ともきやで~~入るで~~」と声を上げなら入る。居間からテレビの音がする。お婆ちゃんは居る。廊下を歩いてる時、ふと「お婆ちゃん、俺の事が分からなかったら「不審者だ!!!」とかって騒がれるかな」と一瞬不安が過る。でももう入ってるし行っちゃえと思い居間に入る。お婆ちゃんが居た。声を掛けると「え?ああ、よく来たね。仕事中かいな。まぁ座りーな」と言ってくれた。とりあえずはセーフ。

お婆ちゃんと軽く雑談しながら「まぁでも俺の事は覚えてないんだろうなぁ。何かしらスーツ着た誰かが来たって印象なんやろかなぁ。」と会話しながら思う。でもさぁ、やっぱ確認したなと思って聞いちゃったよね。

俺「ところでさ、俺の名前わかる?」
婆「え…あれやろ…ともちゃん」

もうね、ほんとね、思わずお婆ちゃんに抱き着いた。そして3号泣。お婆ちゃんのわいの涙で肩ビショビショ。
婆「あーもう分からんと思った?笑 もう私もボケボケやからねぇ」
なんて笑いながら言うお婆ちゃんを見てまた号泣。
覚えててくれた事が嬉しくて嬉しくて。ああ、お婆ちゃんにちゃんと会えたわって思ったね。本当に良かった。もしかしたら今後もう2度と呼んでくれないかもしれないけど、それでも良いと思えるくらい安堵した。

婆「でもねぇともちゃん。あたしももう認知症始まってるから、覚悟しておいてね。」と自ら言うお婆ちゃん。自分がそうなってるという認識がある分、キツイだろうね。覚悟するよ。

俺と弟が結婚する事はやっぱり覚えてなかったけど「なんかあれ、家族が増えるんよね」って言ってくれたことも嬉しかったな。お婆ちゃん、ちゃんと認識してくれてるんだなと思った。
あとどんだけ会えるか分からないけど、とりあえず出来る事はしてあげたいね。とりあえず、弊社のカレンダーは欲しいみたいなので、今日持って行こうかな。

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