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私が着物の先生になったワケ⑦

どこにフォーカスするのか

 一番の闇部分は、「第4話」で書いたのですが、先生になるということは今度は生徒さんに着物を勧めるという難題に直面することになります。

 先生になるのに、一番躊躇する点。それが、「着物を勧める」という仕事をしないといけないということでした。
 これは、どこに視点を当てるかという「フォーカスする点」がとても重要になってきます。当時、私がフォーカスしていたことは明確でした。周りの人がどう思っていたかは興味ありませんが、私の中で明確だったので正直あまり悩みはありませんでした。そのために、自然と生徒さんの購入率は高くなり、進級率・購入率が高くなる→生徒さんが増える→めっちゃ忙しい→収入も増える・・・となっていきました。

 しかし、これと真逆の循環に陥っている人も少なくありませんでした。

 私がフォーカスしていた点は、
①生徒さんに私のような嫌な思いをさせたくない
②生徒さんにとって良いと思うものをしっかりと考える
③生徒さんにきちんと価値を伝えることに全力で向かう
④着物のコーディネートを楽しんでもらう

 数字の目標というのは出させられましたし、それぞれの生徒さんの事情とかを伝えどれだけの数字を作るのかということも、厳しく言われていました。けれども、私の中では上記のことが優先だったので、数字のことはそんなに気にしていませんでした。上記のようなことをしていれば、数字は勝手についてくると思っていて、事実そうなっていきました。

 精神的に追い詰められてしまうタイプの先生は、①の「生徒さんに嫌な思いをさせたくない」の部分は一緒なのですが、そのあとの部分がどうも違うようでした。それぞれの生徒さんの状況(生活状況だったりお金の状況だったり)に同情しすぎて追い詰められてしまう印象がありました。そこに同情するというより、寄り添うことは重要ですし、心情的にめちゃめちゃ寄り添っていましたが、②③④にフォーカスすればいいだけのことだと私は今でも思っています。
 本気でヤバイと思ったら、そこは全力で生徒さんを守ればいいのです。優先順位は会社の売り上げではなく、ましてや自分の数字でもなく、あくまでも生徒さんですから。

 ①はとても重要視していましたが、そうはいっても嫌な思いをした方はいるでしょう。そして年配の方に特に多い傾向が見られるのですが、「先生に悪い」「先生の顔をつぶすようなことになっては」という観点から買われる方も少なからずいました。私はこういう考え方がすごくイヤで、本当にいいなと思って納得して買ってもらうならまだしも、ただ「お付き合い」と思って買われるというのは本当にいやでした。
 けれども、会社は「先生に悪いと思って帯締め1本でも買うのが普通だ」的なことを言っていたので、それもとってもいやでした。


 私が学院を辞める少し前、ある2人の生徒さんにすごく攻撃を受けました。その時の私は非常に冷静にそのことについて分析していました。
 その生徒さんは「鏡の法則」(知らない方はググってください)でいうと、自分の鏡だと思ったのでした。そうやってその方の言動を紐といていったときに、「もう辞めよう」と思いました。

 順調に歩んでいた講師人生において、このような攻撃を受けたことは初めてでしたが、それがまさに自分の「鏡」として現れたんだなと思います。

 今これを書いていて、気づきましたが、この時の出来事が「今の自分の活動」にめちゃめちゃ生きています。
 ちなみに、その生徒さんのおひとりとは今もとっても仲良しです。

 次回は最終回になります。
 今まで書いてきた学院講師時代の経験は私にとって「宝物」です。本当に感謝しかありませんし、辞めるときも感謝の気持ちでいっぱいで辞めました。
学院講師を辞めてからの、私の講師としての模索はまだまだ続いています。

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