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長襦袢ってなに?わたし的推しポイント

長襦袢ながじゅばんって、何のために着るんですか?」

友人に頼まれて訪問着の着付けをしていたときに、そんなことを聞かれました。
「……そう言われれば、何のためなんだろう?」
と咄嗟には答えが出てきませんでした。

着付けを習っていたころから、長襦袢は当たり前のように着るものと思っていたので、改めて何のために着るのかは考えたことがなかったのです。

そう聞かれると私も気になってきたので、長襦袢はいつ頃からどうして着るようになったのか、その歴史を調べてみることに。
そして、普段から私が感じている長襦袢の推しポイントについても合わせて綴っていきます。

そもそも長襦袢とは?

長襦袢とは、肌着の上に着る着物の形をしたものです。
すその長さまであるものを長襦袢、上半身だけのものを半襦袢はんじゅばんと呼びます。

左:長襦袢   右:半襦袢

着物の下に着るもので、着物とのなじみをよくし、汗などを吸いとることで、着物や帯を汚れから防ぐ役目もあります。《中略》着物を着ると襦袢はかくれてしまいますが、着物のたもとから襦袢の袖がのぞくこともあり、控えめながらも目立つアイテムです。

着物のイロハ より引用

さらに、Google先生に聞いてみると、このように出てきました。

襦袢の語源は、16世紀にポルトガルから伝わった「gibao(ジバゥン)」という肌着を意味する言葉です。
江戸時代中期頃、遊女たちが身につけていたものが次第に市井に広まり、小紋や中形、絞りなどの装飾を施したものが誕生しました。

Google検索より引用

肌着を意味するポルトガル語が伝わって、それが変化して本来の肌着と着物の間に着るものになった。
元々日本古来のものかと思っていましたが、どうやら違うようです。

私が思う長襦袢の推しポイント

そんな長襦袢を着ることで得られる、2つの推しポイントがあると思っています。
それは、衿合わせのキープ力衣紋の美しさ
この2つの良さが引き立つのは、長襦袢ならではなのです。

ふだん着物を楽しむ着方には、大きく2つのパターンがあります。
1つは、洋服の上に着物を着る和洋ミックスパターン。
もう1つは、長襦袢の上に着物を着る王道パターン。

この和洋ミックスパターンでは、長襦袢を使用しません。
長襦袢の衿合わせをする手間が省けるというメリットはあるのですが、その反面、どうしても着物の衿が浮きやすくなってしまいます。

一方、長襦袢の上に着物を着た場合は、衿合わせが崩れにくく1日キープしてくれます。

この理由は、長襦袢の衿には衿芯えりしんというフニャッとしたプラスチック製の芯を入れて着るので、そのおかげで衿合わせが崩れにくいのではないか、と考えています。

そして、長襦袢を着たときにはほとんどの場合衣紋えもんを抜きます。
抜き加減は人それぞれの好みですが、横から見た衣紋が抜けている様は少し艶っぽく、大人の女性らしさを感じます。

左:衣紋はほぼ抜かず   右:衣紋を抜いた状態

“衿元キープ力”と”衣紋の抜け感”は長襦袢の強み

元々は肌着という意味合いで伝わった襦袢ですが、今では着物にとって重要なアイテムとなっています。

着物の下に長襦袢を着ていると、1日中衿合わせが崩れることなくピシッとキープされていて、着崩れのストレスがありません。
そして、ふとした時に衣紋が見えると背筋がのびます。
和洋ミックスが続いていて久しぶりに長襦袢を着ると、衿元のピシッと感や衣紋の抜けに「これこれ」と無意識にテンションが上がるのです。

もちろん、和洋ミックスも、王道パターンも、どちらか正解があるわけではありません。
だって、どっちも可愛いですもの。
その日の気分や、出かける先によって選べるのもまた、楽しさのひとつですね。

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