人生を変えるノンフィクション物語
数ヶ月前ですが、心を打たれ考え方を改めなおした本に出会ったので是非とも紹介させてください。
みなさんはもし、1週間後、3週間後、1ヶ月後、または近い将来目が見えなくなるという状況になったら、光ある世界で最後何をしたいと願いますか?
これはとある少年とゲーム会社にまつわるノンフィクション物語の話です。
エンターテインメントという薬
ゲーム会社で働くサイバーコネクトツー社長「松山洋」さんは、新作のゲーム制作に向けて開発を進めていました。
そのゲームは「.hack//G.U.」
このゲームは2007年の開発時点で第3部まで続編が出ていました。
2007年1月18日の発売に向けてゲームの開発に追われていました。
そしてなんとかゲーム制作と納期を終え、仕事から帰る車で一本の電話が鳴ります。相手は仕事の取り引き先。トーンが低く少し焦ってる様子。
「突然で申し訳ないんだけど、とある少年に会いに行ってほしい」という電話の内容。
電話の内容は
網膜芽細胞腫(もうまくがさいぼうしゅ)という目が見えなくなるガンを抱えた少年が、手術で目を摘出しなければいけない。手術の日が2007年1月9日。そんな少年に手術まで残された数日をどう過ごしたいかと聞くと「叶わない願いかもしれないけど.hack//G.U.の新作がやりたい。」
しかしゲームの発売日は2007年1月18日
手術の日は2007年1月9日
どうやっても間に合わない。
なので目が見えなくなる少年に、ほんの少しだけでもいい。完成してなくても何かしらその少年にゲームの映像を見せてあげられないだろうか。
という内容でした。
そして松山さんはそれを聞いて
「もう説明はいいです。とりあえずどこに何時に行けばいいか教えてください。どんな予定が入っていようが全てキャンセルしてその少年に会いに行きます」と言いました。
目が見えなくなる?あまりにも過酷な内容。
他にもやりたいことなんかいっぱいあるだろう。それでも少年は光ある世界で最後に我々が作ったゲームを遊びたいと言ってくれた。
この願いを叶えてあげられずに何がクリエイターだろう。何がエンターテインメントだ。彼の為なら全てをやろう。
そして松山さんは数日後、発売前で納品もできてなかったので、新作のゲームの説明書やパッケージを手作りで包み、その少年に会いに行き、ゲームをプレゼントし思う存分遊んでもらい、少年は手術前にゲームをクリアしました。
そして松山さんはこれを機にクリエイターとしてエンターテインメントとしていろいろと考え直し、数日後社員全員を集め少年の話をしました。
この時の松山さんの話がすごく僕の心に刺さっています。
「確かに俺らのやってる仕事ってさ、必ずしも世の中に必要とされてるとは限らないよね。人間が生きていく為に必要なものを考えた時、ゲームソフトを1番に思い浮かぶわけじゃない。」
「我々がやってる仕事は生活に必要になったものが揃った上にさらに求められる、いわゆる娯楽って奴だ。必ずしも必要なものじゃない。」
「ずっと作品を作り続けているとたまに虚しくなって、世の中の役に立っているのだろうか。悩む事もある。」
「答えを言おう。」
「意味はあるんだよ!」
「俺らが日々悩んで苦しんで物を作っている日々の果てに、完成した作品を楽しみに待ってくれてる人が必ずいる。名前も顔も知らない人達かもしれないけど、俺らはその人達の…」
「生きる勇気や希望になってるんだよ!」
エンターテインメントは生きる力だ。松山さんは言いました。
そして少年は無事手術を終え、ゲームも無事に発売し売り上げも好調。
この物語は一旦終わりを迎えますが…
まだ物語には続きがあったのです。
それは是非、発売中の書籍「エンターテインメントという薬」という本で確かめてください。
さて、ここからは僕の感想。
まずこの話を聞いて、世の中のいわゆるクリエイターは心が震えないわけがないと思います。
その一言に尽きます。
もうほぼ書いたし言わずもがなだけど…
目が見えなくなるって聞いただけで正直自分に例えたらゾッとする。
だけどそんな辛い中、自分の作品を選んでくれる。
これってクリエイター側からしたらこの上ない幸せ、極上じゃないですか?
僕は今10月27日に向け、アルバムを作っています。
でも常々悩むくらいこう思われてるんじゃないかと考えてる事もあります。
別に誰も望んでないし、きっとコケるし誰も期待もされてないと。これは本当に思う。
だけど先日参加したM3というイベントを思い出します。
名前も知らない人達が、一緒に参加したホンケンさんのブースに来て「この3枚目のアルバムがいいんだよ。」「動画サイトで気になって見ました。」「コラボよかったよ。」
少なからず応援してくれてる人はいる。そう確信できる言葉。
だからどんなに悩んでも、どんなに苦しんでも、楽しみに待ってくれてる人の為に頑張る。
考え方、そして生きる糧をくれた話でした。
引き続き頑張ります。
是非みなさんも読んでほしい一冊です。本の売り上げの一部が「がんの子どもを守る会」に寄付されます。是非買って読んでください。
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