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【Sliders!】 陽陰の道標【竹ノ塚】

今回は、「Sliders! 陽陰の道標」こと、足立区の保木間四丁目アパート公園の2方向シングルスライダーについてです。

スチール製の2方向スライダーをネットで探して何箇所か公園を回ったのですが、実際に現地に行ってみると、どこも新しいすべり台に代わっていて、撮影することができなかったんです。そこで、twitterで「誰か知らないかなぁ」とつぶやいたところ、記憶を辿り教えてくださる方がいました。

その方が教えてくれたのが、このすべり台。
足立区、葛飾区、江戸川区あたりで撮影をしたかったので、本当に探してたすべり台でした。早速、次の日の早朝に撮影に行ったのですが、なかなか見つからない。公園自体を見つけるのに苦労しましたが、情報提供いただいた際の写真に写っていた「足立清掃工場」の煙突を頼りに位置をイメージしてたどり着くことができました。

それがこのすべり台です。

映像の中では、すべり台の奥に清掃工場の煙突が見えますね。

ここで、2方向シングルスライダーについて。正しくは2方向ダブルなのかもしれませんが、自分の中ではあくまで2方向にシングルが伸びてるという意味で勝手にそう呼んでいます。以前、3回で終わったブログ「君とすべりたい」でも隅田公園の2方向シングルを紹介しています。

その時は「2股すべり台」と名付け、「どちらかを選べば、もう片方がやきもちをやきそう」と書いています。今回の撮影前も「2股すべり台」として紹介しようと思っていました。

ただ、撮影に行って出会ったすべり台は、もっと色んな思いを乗せたすべり台に見えてしまったんです。団地の中にある公園のすべり台、その雰囲気に飲まれたのか、人々との生活に密着してる感じがしました。遊び場の遊具というイメージではなかったのです。その年季の入り方とシンプルなカラーリング、高さも異常に大きく感じ、特別感がすごかった。

このすべり台に感じたのは、「人生の岐路」でした。

いくつかの選択肢がある中で、人は選んで道を進んでいく。もちろん自分では気づかずに進むこともあるだろうけど、のぼった先でどちらかの道を選ばなくてはならず、一方を選んだら、もう一方はすべれない。別の道を選びたいなら、もう一度のぼらなくてはならない。

何を言ってるのかわかりませんが、「二股」という名前をつけて、「いやらしい」なんて言える感じじゃなかったんです。人生を見守ってきたすべり台だと感じてしまいました。

枝分かれしていく道を
選ぶのは自分だって
君が教えてくれた

twitterとインスタで動画や画像を紹介する際に、すべり台ポエム?を添えています。最初はおもしろおかしいすべり台あるあるや「そんなあるあるはない!」という一言を上げてたのですが、最近、よりポエムめいてしまい、元に戻す方法がわからず、正直困っているところではありますが、このすべり台を表す言葉はどうしても「別れ」や「後悔」を表してしまいそうでした。でも、それだけにしたくないという思いから、未来を感じさせる言葉も表現しました。

すべった後に立ち上がれば
どの道も
未来につながってる

すべり台は、何度すべってもいいんです。ただ、のぼらなくちゃいけない。高いすべり台で長く楽しみたいなら、その分のぼる必要がある。そのまま前に進む道もあれば、またのぼる道もある。どちらを選んでも未来につながっている。

そして、印象に残ったのが、すべり台の「傷」や「凹み」。どのすべり台にも凹みや傷はあるのですが、スチール製のすべり台は思いが刻まれているような印象を受けます。一つ一つが大切な思い出のように見えました。そして乱反射する光がキレイにも見えました。傷がきれいに見える。素敵なことですよね。

kimi_A07_hogima4.00_01_08_07.静止画012

最後に。
この映像の最後は、2方向にスッと伸びるスライダーを真正面から撮った画にする予定でした。「陽陰の道標」と名付けたのは、左右のスライダーがキレイに光と影に分かれていたからです。

kimi_A07_hogima4.00_00_18_07.静止画022

ただ、編集をしているうちに分かれ道の先を見守る後ろ姿で終わりたいと思うようになりました。

影の道も 光の道も
ボクらは何度も
すべってきた

右側の木の存在が大きいですが、時間によって、おそらくこの光と影は移り変っていくんだと思います。道自体は光の加減で変わる、その中で光の中を進むか、影の道を進むか。すべり終わった時にその道は変わっているかもしれないし、道の先を照らしてくれてるかもわからない。「その時、どの道を選ぶか」も大切ですが、この「光」と「影」の中を繰り返しすべったこと自体がとても大切なものに感じてきました。

「すべり台の後ろ姿」と「太陽」

この関係性がわかる画で終わりたかった。
それをちゃんと撮っていたのが奇跡です。

この映像を見るとちょっと泣きそうになっちゃう。ボクはちょっとおかしいんでしょう。多分、地味だから再生回数は他のすべり台よりは伸びないだろうと思っていました。でも大切なことを教えてくれたすべり台。

結果的にスチール製の2方向シングルは、近所にいっぱいあったことに後々、気づきます。でも、twitterで呼びかけ、このすべり台に出会うことができて本当に良かったと思える。そんなすべり台でした。


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