ゲーム開発現場

この記事は「もなふわすい~とる~む Advent Calendar 2021」13日目の記事です。

最初に私はもななを最初期から知っているわけではなく、昨年の9月ごろから配信を見始めたので、やっと1年ちょっとになります。
この1年で家庭を持ったり、挑戦したり、いつもと違う一歩を踏み出そうとこの歳になっても思えるのは、頑張っているもななを見ているおかげかもしれません。ありがとうございます。

そして3周年おめでとうございます!
2周年は当日に絵を描けなかったのですが、今年は記念日に絵をあげられました!私もえらい!

もうちょっと投げキッスと指キッスの両立を目指したかったのは秘密です。
そしてこの記事のためにnoteに登録するという一歩を踏み出しました。
ブログでも始めようと思います。
しかし、もななを随分と前から知っている気がするのは、私も羊の国の方言をどこかで聞いたからでしょうか。
あ、私の出身地で本気でシバかれるときはシバくぞとは言われず、いきなりドツかれるので注意しましょう。

さて本題です。
私は所謂ゲーム業界で働いているのですが、思い返せば今年も勉強会に登壇させていただけたりもしまして、せっかくなのでゲーム開発者じゃない方にもわかるように、小規模な3Dアクションゲームの開発現場の様子をお話をしようと思います。
もちろん社外秘的なことは言えず、現実には存在しない会社での作り話という形で進めさせていただきます。某NEW GAME的な感じの職場を想定してください。
ちなみに今の私は阿波根さんポジションですが、射撃はそこまで得意ではありません。APEXのキルレは0.4くらいです。

今回は開発会社のお話です。
誰かが「お金出すからこんなゲーム作ってくれない?」という話に乗っかっていくスタイルが多いです。
今は有名な大手企業も昔は小さな開発会社だったりしたので、いわゆる伸びしろしかない会社です。

業界では開発会社のことをデベロッパー、開発にお金を出したり、できたソフトを販売したりする会社をパブリッシャーということが多いです。
有名なタイトルでも、開発は別会社ということはよくあります。
ただ当然デベロッパーのやりたい放題はできず、パブリッシャーによるクオリティなどのチェックは定期的に厳しく行われます。
これらのチェックのことをマイルストーンと呼び、デベロッパーは各マイルストーンで「いつまでに、どういうものを見せられるようになるか」をパブリッシャーと約束し、その締め切りに合わせて動きます。
開発も終盤になるとベータテストみたいな話が上がってくるのですが、アルファやベータというのも一種のマイルストーンです。
私の知る限りではアルファがいまいちでアルファ2、アルファ3ができたり、ベータを超えてガンマまで行ってしまったりした話を聞いたことがあります。
やはり柔軟な思考がないとゲーム開発は務まりませんね。

その開発会社にはいろんなポジションの人がいます。

パブリッシャーとやりとりをしてお金を持ってきたり、人を選んだりするのがプロデューサーです。
また雑誌とかの宣伝とかもやることがあります。
よくホゲ通とかで対談してる記事を見たことがある人もいると思いますが、そのような感じでゲームの顔になる人です。
精神と胃が強い人でないと務まりません。

次に、面白さの要がディレクターです。
時に「このゲーム何が面白いのか全然わかんない」みたいな言葉が飛び交う現場をうまいことまとめて指揮をし、面白いゲームになるようにあれこれ考える人です。
精神と胃が強い人でないと務まりません。

このディレクターが複数いる場合があります。
総監督と現場監督みたいな感じで、現場監督ポジションだと「アートディレクター」とか「テクニカルディレクター」とか、ちょっと名前が長くなってかっこよくなります。
最近血が出るゲームも多いので、一日中、血の出し方や血痕の残し方を語っていることもあります。
銃声を響かせながら血まみれの現場を見て「なんか動きが良くないね」とか言ってるところだけを見ると完全にサイコパスですが、彼らは本当に真剣に仕事をしています。
精神と胃が強い人でないと務まりません。

そしてマネージャーという人がいます。
ゲームに限らず何かしらのものを作るのは非常にたくさんの工程が必要で、その工程の管理をします。
例えば30人くらいのチームがあるとして、締め切りとやらなきゃいけないことを整理し、誰がどの順で仕事を進めたら工数に収まるかを考える人です。
状況が不明なところは作業中のピリピリした開発現場に手刀で切り込んでいって、一人一人聞いてまわる必要があります。
精神と胃が強い人でないと務まりません。

このあたりまでがコアメンバーというか、いわゆる強い人たちです。
開発会社で出世したらだいたいこのあたりです。
出世したければ精神と胃を強くしましょう。
ちなみに私は胃腸薬やビオフェルミンが欠かせない程度に胃腸が弱いです。
精神も昔、受験で10円ハゲができたのでダメだと思います。

次に強い人以外の現場で、たいていの開発者はここにいます。
ゲームのクレジットでつらつらと名前が小さく書かれている人たちで、とにかく制作作業をする人たちです。
私もここです。
新卒とか若手とか中堅とかリードとか多少の経験の差で上下がついていそうな感じもありますが、立場的にはみんな強くないです。
ウィスキーもシングルモルトよりブレンデッドのほうが安定しているので、経験の差が現場にあるほうが安定感はあると思います。
たまに遅れや問題を一晩で何とかしちゃう超人みたいな人がいるんですが、彼らは秘密兵器と呼ばれ、たまにディレクターが泣きついていることがあります。
超人がなぜディレクターになっていないかというと、所説ありますが、一説では精神と胃が弱いからと言われています。

開発メンバーは多いのでセクションというチームみたいなもので区切られています。このセクションというのは仕事内容で分けられることが多くて、「キャラモデル班」「バトルエンジニア班」みたいな感じです。
大規模タイトルだと数十のセクションに分かれますが、小規模だと一人で複数の機能を担当したりするので複数のセクションに入ることもあります。
100万本を売るのが目標のようなタイトルだと、光担当とか音担当とかそれぞれの専用機がたくさんいるイメージで、10万本とか20万本とかのタイトルだとなんでもやる汎用機がたくさんいるイメージです。
AAAタイトルと呼ばれている作品とのクオリティの差はそこで生まれています。
なので一概にAAAタイトルを作っているからすごいわけではなく、開発者が特化してるか、なんでもやるかの違いって感じですね。
なんでもやるを極めるとインディゲームの領域でもいい作品が作れます。

あとはプロジェクトを支える裏方さんがいます。
普通に会社にもいる総務や人事、あとはインフラさんとかですね。
プロジェクトの都合でどうしても…みたいな相談乗ってもらったりとか、昨今だとリモートワークの準備をしてもらったりとかしています。

さて、話は変わりまして私の今の仕事は、プログラマやエンジニアと言われる仕事をしています。
ディレクターとか企画屋さんが作った面白さや、イラストレータやデザイナーさんが作った素材はそのままではゲーム機で遊ぶことができません。
そこでエンジニアがキーボードをたたいて、それらをコンピュータ上で実際に遊べる形にしていきます。
特にゲームは画面を触ったりコントローラを使ったりして操作ができるものなので、そこそこな技能が必要になります。
そして無限増殖バグやフリーズバグを入れ込むのもだいたいエンジニアです。
ある意味、プロデューサよりもユーザに近い場所にいます。
関西電気保安協会のおっちゃんくらいそばにいます。

で、あまり記事が長くなっても私が疲れてしまうので、最後に「バグが生まれる瞬間」をお話ししようと思います。

昔々、あるところに主人公が居ました。
主人公は大地を走り、川を飛び越え、剣を振り、敵をなぎ倒し、魔王の城を目指します。
しかし開発から少し経ったある日、素材を集め、買い物をし、武器を入れ替え、戦の準備ができるようになります。
するとどうでしょう、主人公が弓を持った瞬間にすべての敵を遠くから一方的にチクチクできるようになってしまったではありませんか。
これではクソゲーです、ディレクターは考えます。
敵は火球を吐いて攻撃してくるような、距離のある攻撃を入れよう。
そして剣には左手に盾をつけ、弓は無防備な攻撃しかできないようにしよう。
盾で攻撃をはじけるようにして、剣で近づいて攻撃できるようにしよう。
数日後、実装されたと聞き、ディレクターが剣と盾を持ち敵に振りかぶったその時…自分の攻撃が自分の盾ではじかれたではありませんか。
まさかの事態にゲームエンジンの物理の法則が乱れ上空に吹っ飛ぶディレクター、それを気にも留めず火球を吐き続ける敵。
自分で試したときはこうならなかったと叫ぶ担当エンジニア、当たり判定の仕様を考え直すプランナー、その横で修正タスクを調整するマネージャー。
地獄絵図ですね。

開発スタジオでは、日々このようなウッカリと戦いながら面白いゲームを作るために、奮闘をしているのです。
そして見逃された小さなウッカリが、バグとして今日もあなたのもとに届けられています。

最後に、この記事を見てくれた人がもしゲーム開発に興味を持ってくれたらうれしいです。

もなふわすい~とる~むTimberbornはいいぞ。


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