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大阪人は束縛を嫌う!?@プレイバック!データで見る関西人気質

Playback 20 years ago
プレイバック!データで見る関西人気質

(まえがき)
およそ20年前、とある夕刊紙に連載させてもらっていた署名原稿(本名名義)を要約・編集して紹介しています。当時とは世相が異なるため、???な内容やNGな表現があるかもしれません。ちょっとした話のネタとして読んでいただけるとうれしいです。


第17回 シートベルト
束縛を嫌う大阪人にはなじまない!?

とかくマナーの悪さばかりがクローズアップされる関西人。特に、車の運転に関するモラルの低さには定評がある。なかでも「大阪名物」とまで言われる違法駐車が有名だが、シートベルトの着用率も関西人気質を如実に示すデータだ。

まず、表1をご覧いただこう。これは社団法人日本自動車連盟(JAF)が発表している都道府県別のシートベルト着用率(ドライバー)。見事に関西の各府県は着用率が低く、下位にランキングされている。ワースト1(京都)とワースト2(和歌山)をはじめ、兵庫に大阪、奈良、滋賀といずれも全国平均75.2%を下回っている。ワースト1の京都から見るとベスト1の香川は、なんと1.8倍の着用率である。


(表1)都道府県別シートベルト着用率
第1位  香 川  98.0%
第2位  岐 阜  96.6%
第3位  鹿児島  92.0%
 :
第37位  滋 賀  66.2%
 :
第39位  奈 良  64.5%
 :    :    :
第41位  大 阪  60.6%
 :
第43位  兵 庫  58.7%
 :
第45位  山 梨  56.6%
第46位  和歌山  56.4%
第47位  京 都  55.0%
※社団法人日本自動車連盟「都道府県別シートベルト着用率」
 (ドライバー)全国平均75.2%


では、なぜ関西人の多くはシートベルトを着用しないのか? 「事故の時には安全なんやろけど、なんや縛られてるみたいで苦しいねん。だいたい警察も他人のことはほっといてほしいわ」と語るのは、大阪市住吉区のTさん(29歳)。束縛を嫌い自由を愛する関西人には、なじみにくい代物であるのは確かである。おまけに「座席ベルト装着義務違反」という、交通違反制度に対する反発も感じられる発言だ。ウチはウチ、ヨソはヨソ。これこそ関西人気質である。

だが、そうも言えないデータもある。別掲の表2は大阪市の放置自動車撤去台数(大阪市路政課)。路上に放置されたままの自動車の撤去台数では、大阪府は全国の約4割を占めておりダントツのワースト1。大阪市だけでも全国の約2割になる。1993年に2,558台の最高記録を樹立した後、94年、95年は減少。しかし、96年、97年と再び増加。府内全体で前年より204台多い4,403台が撤去されている。

(表2)大阪市の放置自動車撤去台数
1993年  2,558台
1994年  2,023台
1995年  1,781台
1996年  1,858台
1997年  1,981台
※大阪市路政課「大阪市の放置自動車撤去台数」


大阪市港区で解体業を営んでいるKさん(51歳)は「今は鉄クズ代より解体費用の方が高くつくんですわ。うちも処理費を払ってもらわんと大損やからね。でも、ゴミに金かける大阪人はおらんからなぁ」と渋い顔。事実、大阪では1台につき1万数千円の処理費を支払わなければ、解体業者も引き取ってくれない。そこに「捨てた方が得」という大阪人特有の損得勘定が生まれるのだろう。

シートベルトと放置自動車。自由と損得勘定。同じ関西人でも考え方は人それぞれ。だが、マナーの悪さにも限度がある。関西人だからこそ「ウチはウチ、ヨソはヨソ」の真意はわかるはずなのだが…。


(あとがき)
一般道でのシートベルト着用(運転席、助手席)が、罰則付きで義務づけられたのは1992年のこと。したがってコラム執筆時(およそ20年前)にはすでにシートベルトの着用は義務だったにも関わらず、関西人は「束縛を嫌い、自由を愛する」という理由で、安全性を犠牲にしていたわけですね。念のため、2020年の都道府県別シートベルト着用率(運転席)を見てみると、なんと大阪がワースト1。全国的にほぼすべての自治体が98~99%以上なのに大阪は97.6%(ワースト2の三重は97.9%)。こういう時の大阪人の反骨精神は、本当に一筋縄ではいきませんね。


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