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上手過ぎて評価されないのかも

お小遣いを貰えるようになり、近所の本屋さんに一人で行けるようになり、図書館にある本以外と出会えるようになって初めて買ったのが、新井素子さんの集英社コバルト文庫でした。
星新一さんに見いだされた彼女の文体は現代の「はなしことば」。
すーっと、読めて、一旦読み始めたらそのまま連れて行かれる感じ。
あまりに自然で一度手放したものの、失くしたとたんに乾きに襲われ、仕方なくすべて買い直しました。
彼女はもっと評価されていい書き手だと思うんだけど、何が凄いのか皆に知らしめる言葉を未だ私は持ちません。

先日あったトークライブの中でご本人が、面白い面白くないは個人の感想だけれども、分かるわからないは書き手の問題だから
皆が分かるように書いている、というような事を話されていて、!となりまた。
そうなんです。多分、新聞読める程度の読解力あったら、新井素子さんの本は読めるんです。
そこからは好きか嫌いかに分かれるんだろうけれども、皆が理解できる文章なんです。
ご本人が一番ご自身を理解されているかもしれません。
…もう少し深堀したいな。

実は、卒論で一番書きたかったのは、新井素子さんでした。
教授を説得する自信が無くて、断念したけれども正解だったと思ってます。

サイコホラー系、とかSFとか言われる彼女ですが、
皆が読める文体で読者を怖がらせることのできるのは彼女だけでしょう。
夫は私と出会わなかったら一生知らなかったと言ってます。
確かに、男性は縁遠いかもしれないです。
ただ、勿体ないです。
すーっと読めるから。読書の醍醐味を軽く味わえるから。
ぬいぐるみに抵抗の無い方には、「くますけと一緒に」推します。
いろいろと、怖いです。
「ブラックキャット」は痛快泥棒劇。私はこれでプラモデルの銃を組み立てました。
感傷に浸りたい時は、「グリーンレクイエム」。続編の「緑幻想」まで読んで号泣です。

少女小説だと軽くあしらってはいけません。
沼ですよ、彼女の作品は。
読めるんだけれども、底知れぬ描写と洞察力は尋常じゃないです。
是非、一度ご堪能ください。

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