見出し画像

すべりだい2

新しくできた彼女はとても美しかった。
聡明で思いやりもあったし、とても私を欲してくれてた。
ただ、あれ、俺は何を求めてるんだろう。
えっちしても、満たされない。(相手はちゃんと満足させるけど。)
ただ、彼女は幸せにしてあげたいと思うし、幸せそうだった。
でも、俺は、何してんだろう、どこに立ってるんだろってずっと思ってた。

そんなふうにモヤモヤしてたころ、仕事の方が激務になっていった。
分譲マンションの登記を任されてて、ようさん建ってたときでもあり、
そこに信金の借り換え案件、タ〇ホームさんの新築案件と、大忙し。
6時くらいの電車に乗って、終電で帰るとかザラになった。

当然、毎日へろへろ。疲労を披露。(韻は要らんか。)
唯一の楽しみは、22時超えたあたりに夜食のお菓子を買いに行くことだった。
仕事場近くのコンビニにほぼ毎日、
「うまい棒3本とヤングドーナツ」を買いに行ってた。

画像1

(これ、美味しいよね!)

たぶん、店員には「22時の駄菓子マン」と呼ばれていたと思う。苦笑
そんときに毎週火曜日と木曜日にだけシフト入ってる若い女の子がいて、
よほどおかしかったのか、いつもレジに並ぶとニコニコ笑いながら、
「いつも飽きひんのん?」
と毎回話しかけてきた。
もともと粗食な方だし、帰って飯食う手前、そんなにがっつり食べられない事情があったのだが、毎回言われると、おかしいのか、と思うようになり、
火曜日と木曜日だけ、その子のおすすめを買うようになった。

そんなやり取りが1カ月くらい続いたある日、同じようにレジに並んだら、
「今日で辞めるねん。次はケーキ屋で働くねん。はい、これ。メルアド。
 買いに来てな。」

はいぃ?!と思ってたら、後ろで待ってたおっさんに急かされて、レジをあとにした。
商魂たくましいなこいつ(笑)と思って、あとで普通にメールしたら、次の休みに会いたいと言われた。
人生初逆ナン。笑
しかも10こくらい下の子から。
うれしい!というより、
「なんで俺なのよw」感が強かった。

「いやな、俺、彼女おるし。」
「私はかまへんからー♪」

そんなノリだった。笑
で、普通にデートした。
「かまへんかまへん、私は今彼氏おらんから、できるまでってことで。」
ほんと、ノリが軽い子だった。
パティシエ目指してて、専門学校に通ってるらしく、自分が作ったものを食べさせる対象を探してたのもあるらしい。
毎晩、お菓子食うとるやつならちょうどいい、と思ったらしい。
「食べたら、ちゃんと感想言うてな?お礼ちゃんとするから!私で!w」

お礼ですか?
えぇ、当然頂きましたよ。
俗にいう二股である。
不思議と、罪悪感がなかった。
彼女(パティシエの卵)は求めてきてたし、彼女(美人)も蔑ろにすることなく、満たしていた。

ここらへんから、ちょっとわかってきた。
「そうか、俺は“求められること”を求めていたのだ。」と。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?