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眉斗制馬とは

宋代の中国、備有(びある)地方に納対(のうつ)と呼ばれる山賊集団がいた。

納対は赤と青の揃いの頭巾を被り、摩破(まっぱ)という首領の指示のもと、大量の爆弾と城壁を駆使した、乱駆や徹駆といった戦法(いわゆる布面)を用いたり、或いは物量に物を言わせた攻撃で近隣の村々を襲っていた。

これに頭を痛めた代官が討伐のために呼び寄せたのが、眉斗(びと)流の中でも乱家(らんか)と呼ばれる双剣を使う武術家集団である。

しかし乱家達は「山賊如きに剣を使うのは勿体ない」と言い放ち、遊牧民が馬を躾ける際に使う「制馬(せいば)」と呼ばれる棒を二本持って挑み、振昆(ふるこん)や柄末守(えすえす)といった奥義を用いて納対党を見事退治してのけ、ピーピーと口笛を吹きながら凱旋したという。

この快挙を讃え、納対に見立てた箱を制馬で叩く「眉斗制馬」という祭事が今でも備有地方で行われており、これを武芸に用いたのが眉斗制馬拳である。

ちなみに余談ではあるが、映画「スター・ウォーズ」の撮影の際に、時の亜流制馬拳の宗主・頼斗(らいと)が殺陣の演技指導をしたのは、香港映画界では有名な話である。

民明書房刊『備有史』より抜粋

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