【お話22 私が滲む】
送迎車から外を見る。誰かが電子タバコを吸いだしたらしい。
運転手の人が、低姿勢で「窓、開けてくださいね」と言う。
くぐもった返事の後、奥の方から窓が開く音がする。
数センチだけ開いた窓から、湿った外気が入ってくるのを感じた。
車内には自分を女の子が、4人。男は運転手だけ。
運転手の給料も、私たちが稼いでいる。必然、彼は私たちに丁寧な態度を取る。
車内に流れている、クラブ系ミュージックがうるさい。
ボリュームを下げろ、と言いたいが、深夜2時を回っても街中を運転し続ける彼にとって