青い夢のこと

真夏のような太陽の明るさなのに、物音が全然しない。林の中に埋もれるようにしてモノレールみたいな乗り物の駅があって、その構内にいる。木漏れ日が日陰を作ってところどころ暗くなっている。
終点なのか、木陰で薄暗くなった先には線路が見えない。日差しがきらきらとしている先にも線路らしきものは見えないのだけれど。木陰の奥には車庫にあるような四角い列車止めが見えるから、やっぱり終点なのかもしれない。
駅員もだれも見当たらないのに、「君が乗るのは反対側だよ」と教えられて、ホームの奥へ移動する。いつの間にか幾段か下がった、水を抜いたプールの底のような場所にいて、見上げるとそこから私が乗るはずだった乗り物がホームに入っているのがわかる。
どうやら途中で道を間違えてしまったようだ。
私がいるくぼみの壁の水色と木陰の深い碧に紛れて、空色の乗り物がホームから滑り出していく。私は取り残されて、一人空っぽの底の中にいる。あの乗り物に乗らなきゃ間に合わないのに、どうしたらいいかわからなくて、だけど訊ねる人もいない。何に間に合わないのかわからないけれど、心ばっかり焦っている。真夏の明るさの中にある静寂が逆にそら恐ろしくて一人呆然と列車が去ったホームを眺めている。

はじめてこんなに美しくて(あとから思い起こすと)ぞっとするような恐さのある夢を見た。
景色の全てが青っぽくて物音がしない世界だった。
2018/5/13二度寝、朝10時ごろ