0928|髪と神

東京の美容院、KAYAにはもう15年以上行っている。

このお店を知ったのはあるとき、どこかで「ぼんやりカフェ」という名前のカフェがあるのを見かけて。検索してみたら、井の頭線・新代田駅の近くにそのカフェはあって、隣には美容院「暇屋」があると出てきた。

建物は、蔦が絡まる外壁の古民家。元々は共同玄関のある下宿だったそう。玄関を入って左手が、ぼんやりカフェ。右手に、美容院の暇屋(何年か前にKAYAという表記に変わった)。カフェは奥さんのマチコさんがやっていて、玄米ご飯を使ったカレーを食べたことがある。まだ玄米ご飯を出すカフェが少なかった頃。カフェに入ったのは何回かでそのうちカフェは閉店して、もっぱら美容院に行くだけになった。

通いはじめたのは2002年の後半。初めて暇屋さんで髪を切ったと同じくらいに、当時勤めていた会社を辞めることが決まった。自分でもなんとなくその会社は合わないとおもっていたから、結果的に辞めざるをえないようにことが運んだ。最初に髪を切ったときのパンクでいこう!気合入れてこう!って感覚は今でも覚えている。そのうち、関西に移ることになって頻繁には通えなくなったけど年に数回は上京のときに寄っていた。

お店は美容師の泰悠(たいち)さんがひとりですべてされている。店内にはアートや書の作品も飾られていて、わたしが紹介してこのお店の常連になったひとたちの手によるものもある。それぞれとは直接会うことはもうないかもしれないけれど、この場所を通じてご縁はつながっている。

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泰悠さんは飄々としている。美容師さんというお仕事は、お客さんのあれこれの話をきくカウンセラーでもあり、毛先に溜まった邪を祓うヒーラー?でもある。時にものすごく忙しくて大変そうなときもあるけれど、日々のルーティンをこなし、自分のペースがあって落ち着いているかんじ。わたしはといえば、やれ関西だ、湘南だ、信州だ…あるいは旅の行き帰りに慌ただしくやってきて、髪に手を入れてもらって、緑あふれるお店でひといきつかせてもらう。ここはまさに、ホームアウェイホーム。昔はレトリーバーのモモちゃんが、今は3人のお子さんが学校や保育園から帰ってきたり、ママになったマチコさんがちょっと顔をみせることもある。


「髪と頭は大事だからねぇ、いい言葉をかけるようにしている」あるとき、泰悠さんが言った。「髪は神に通じる」ともある整体師さんが言っていた。東京に行くのは時間がかかるし、地方に比べると施述料も少し上がるからなかなか行けないのだけど、次に髪を切るときはやっぱりこのお店とおもっている。

https://kayabomb.com/


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