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頭骨標本の作り方 その3

7.穴の除肉
 穴を綺麗にするのは厄介です。下アゴにはオトガイト孔という神経が通っている穴が開いてますし、耳の穴周辺にもたくさんの小さい穴が開いています。私は、基本的にはピンセット、柄付針でカリカリしては水に沈めて腐らせ、またカリカリを繰り返します。そして最後は、駒込ピペットを使います。

水鉄砲の要領で、シュポシュポします

 頭骨を水に沈め、駒込ピペットを水鉄砲のようにして、穴に向けてシュポシュポします。水流で、穴の中にある肉片などを除去しましょうというわけです。この方法は特に鼻の穴の除肉に最適です。鼻の中には、鼻甲介という薄い骨が渦をまいています。ピンセットで触りようならポロポロと剥がれてしまいます。
 初めて頭骨標本を作製したときは、鼻甲介という知識もなかったので、割り箸を鼻の穴に突っ込んでガリゴリやってしまいましたが、今は、このシュポシュポ方式で綺麗に鼻甲介を残せるようになりました。

鼻の穴に注目
 

 また、歯が抜けた穴にもシュポシュポ水流を当てて、奥に詰まっている肉片などを掻き出します。

8.ポリデント処理
  気のすむまで除肉をしたら、ここからは薬品処理です。抜けた歯を元の位置に差し込み、木工用ボンドで固定し、入れ歯洗浄剤ポリデントに2~3日浸けて置きます。私は、頭骨が浸るぐらいのぬるま湯に、ポリデント3~4錠ほど入れます。ポリデントを沢山入れて、長期間浸けておく方もいるようですが、骨を痛めてしまう可能性があるので、様子を見ながら調整することをお勧めします。
 またポリデントに浸けている間に、歯が抜けて位置が分からなくなると困るので、歯を上にして(上アゴを逆さまにして)浸けて置きます。
 ポリデントに浸けて再び煮る方もいるようです。私も真似してやってみましたが、あまり効果は見られませんでした。ポリデントから出すと、取りきれなかった軟骨や肉片等がかなり綺麗になると思います。気になる所があれば、またカリカリして、もう一度ポリデントにいれてもいいと思います。

9.脱脂
 乾燥させれば、十分鑑賞に耐えられる頭骨標本が出来上がると思いますが、更に完成度を高めるために脱脂をしています。大型の頭骨標本の場合は、この作業は必須です。脱脂は、アセトンという薬品に浸けるだけです。アセトンはマニュキュアの除光液の成分でかなり匂いがきついです。今も100円ショップで売っているのかな?(アセトンフリーの除光液ではダメです。私はネットで安いアセトンを購入しました。)
 アセトンは骨に影響は与えないという記事を見るのですが、私の経験では、浸けすぎると骨から脂が抜けすぎて、表面がカサカサするような気がします。この辺は個人の好みだと思いますので、こちらも様子を見ながら調整してもらえればと思います。

10.漂白
 最後の最後に漂白です。適当に薄めたハイターに浸けます(私はまな板を漂白する程度の濃度です)。時間も適当ですが、真っ白い頭骨はプラスチックみたいで私の好みではないので、短時間で取り出しています。浸けると分かりますが、骨の表面に小さな気泡が出てくるので、様子を見ながらの調整だと思います。その後、十分乾燥させて完成です。

以上が私の、私流の頭骨標本の作り方です。3回にわたり記事を書かせてもらいましたが、抜けている部分があるかもしれません。その辺はご容赦をお願いします。

一番難しいのは、頭骨の入手だと思いますが、ここまで書いて疲れたので、これについては、また次回書きたいと思います。

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