起業したほうがいいなんてことはない

起業したほうがいいなんてことはない

こんな僕でもたまに、講演とか呼んでもらうことがあるんですけど。

「これから起業をしたいと考えている人に、一言アドバイスを」みたいことを言われることがあるんですけど、別にアドバイスとかないと思うんですよ。起業したかったらしたら講演とか聞かずにしたらいいと思うし。「勇気が出ないから誰かに後押ししてほしい」みたいな人だったら多分起業しないほうがいいし。いずれにしろ僕なんかのアドバイス気にしないほうがいいと思うし。

スタートアップなんて確率的にはほとんど失敗するわけですからね。起業したほうがいいか、と問われたらほとんどの場合しないほうがいいと思います。

日本でもだいぶスタートアップが大事っていう空気感は出ていて、起業家増やそうとか、そういう感じはわかるんですけど。でも日本のそれって、「俺がやってやるぞ!」じゃなくて、「支援してやるから誰か頑張れ」みたいな、なんか人任せな感じが多いですよね。成功したいだろ?じゃあ死ぬ気で頑張れよ、みたいな。うちの会社はDMM.make AKIBAっていう量産直前までの試作や試験ができるものづくり特化のコワーキングオフィスに入れてもらって非常に助かったんですけど、DMM.make以降そんな感じのスタートアップファクトリー的なのめちゃめちゃ増えたんですよ。でも、ファクトリーの増えかたに対して全然ハードウェアスタートアップが増えた実感がないんですよね。。。結構ビビるくらいに。支援するハコは増えるけど主体になるスタートアップが増えないんじゃどうしようもないですよね。

要は、起業したい側でも支援したい側でもリスクの取り方が半端だとうまくいかないんじゃないかってことなんですけど。

スタートアップって、確かに経済的成長をするための手法なんですけど、少なくともファウンダーは、経済主体の損得感情ではどうにもならないところがあると思うんです。基本的には無理ゲーなので。本当に一握りの人を除けば、始まる前に勝ち筋がきちんと見えてるってことはないと思うんです。だからきちんと勝ち筋が見えてから始めようという精神だと「やらない」という結論しかないと思うんですよ。

だから、僕はどうしても好きなことを始めちゃった人とか、止められなかった人のほうが面白いと思います。どうしても究極のカレーがつくりたくてもう会社辞めちゃったとか、クラウドファンディングしたらうっかりお金が集まっちゃったとか、そういう狂気と偶然を大事にしたほうがいいと思うんです(そういえばうちの会社も最初にクラウドファンディングが集まってからが異常に大変だった...)。僕も含めてそういう人って馬鹿なんですけど、結局リスキーなことやるなんて馬鹿か天才しかいないわけで。天才はそうそういないし、いても今はいい条件で働けるところもいくらでもあるわけで。そう考えるとほぼ馬鹿に賭けていくしかないと思うんですよ。馬鹿に賭けることこそがリスクをとるということではないのかと。

まあ自己弁護みたいな文章になっちゃってるわけですけど、そんなわけで僕は起業を考えている人へのアドバイスとかは基本なくて、うっかり始めちゃったけど失敗してしまった人とか、悩んでる人にはアドバイスというか同士としてできる限り一緒に考えたいなと思いますよ。特に、全ての靴に10年以内にAIが入るだろうと思って、靴を作ったことがないどころかまともに働いたこともないけど起業しちゃって、クラウドファンディングが成功してからスマートシューズを量産することがいかに難しいか気づいた、みたいなタイプの馬鹿な人がいたら応援するので連絡ください!...と書いてて思ったけどなかなかそこまでの人って少ないかもしれないですね...orz(始まった後は計画できるに越したことはないと最近は思ってます...)



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