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子どもと一緒にコンポスト 価値循環と感性の成長

LFCコンポストさんとの協業の一環で、僕の家でもLFCコンポストを開始した。

日仏共同キッズ企画!なつやすみコンポスト大研究 2022『LFCコンポスト 自由研究キット』限定販売開始《販売期間6月22日〜8月5日》

https://lfc-compost.jp/archives/news/natsuyasumi


コンポストについて簡単に説明しておくと、

  • 家庭で出た生ごみなどを土と混ぜ合わせることで発酵させて堆肥に変えるツール

と捉えて貰えばいいと思う。LFCコンポストさんのページ(https://lfc-compost.jp/about)に詳しいのでそちらを見てもらえれば。

今回の取り組みは子どもたちがコンポストを体験しながら研究するという基本的には小学一年生になる娘が自由研究として行うものではあるが、生ごみを中心とした取り組みでもあったし、僕もパートナーもコンポストは初めてであったので、家族総出で取り組んだ、と言っていいだろうと思う

家族におけるコンポストへの取り組みやそのレポートはまたの機会に譲るとして、今回は僕の生業との接続において、僕とコンポストの取り組みまたコンポスト自体がどのような視座・影響を仕事、特に地域と都市部を接続してビジネスを創造するというプロジェクトに与えるのか?を考えてみたいと思う。

この記事全体を通してのテーマは、タイトルにある通り「価値循環と感性の成長」であり、土を通して菌を見るまた共生することと、地域(以降はフィールドとも表記する)と接続することとの価値を考えることは共通点があるのではという仮説に基づいたものであることを最初に提示しておく。

目を細めるようにコンポストの取り組みとフィールドでの取り組みを眺めると、双方ともに地域と都市の、もっというと世界のためのプロジェクトのデザイン、という手法であると見立てることができる。

コンポストはそれ自体がプロジェクトではあるがその周辺に点在する課題(環境や食を通じた健康、土壌育成、フードロスの解決)を解決するための一つのツールであるとも考えることができるし、僕自身はそう思っている。つまり課題を解決した上で、世界をより良いものにする、ここでいう世界とはヒトだけではなく生物や環境を含めた全てという意味で世界という言葉を使っているが、それをより良くしていくまたはせめてもの元の状態へ戻していくための様々なプロジェクトをデザイン、特にその間に発生するコミュニケーションを正常化するための起点となるのではないかと思っている、ということである。

この起点の中には、昨今言われている通りの共創もしくはファンダズムエコノミー的なプロセスを含むデザインに親しいことへの取り組みをそれこそ世界レベルで捉えた上でマクロを見るもしくは取り組むという視座や考え方を獲得し、より良いプロジェクトをデザインすることができるのではないかと考えている。

その上で、また共通する部分としては、コンポストもフィールドも微生物・菌や人間・家畜を含む生物の多様性によってプロジェクトがより良い状態へ近づくのではないか、という仮説を持っている。

僕自身上記で書いた通りコンポストは初めての取り組みであるし農業に携わっている人間ではないので詳しくはわからないし知ったかぶったことも言えないが、ゲイブ・ブラウン著作「土を育てる」を読んでいると、多様性の重要さが非常に伝わってくるし、ユリイカ「菌類の世界」やマーリンシェルドレイクの「菌類が世界を救う」でも多様性やネットワークの重要性が十分に言われているわけで、コンポストにおけるもしくはコンポストから作られた土による多様性を持った土づくりについては言うまでもない(その中でもどうやら組み合わせによって良くなったり悪くなったり変化しなかったりがあるようだ)。

一方フィールドの方でも同じ考え方ができる。これはフィールド事業に携わってきて感覚的にわかったことであるし、昨今のコワーキングスペースの増加(https://remotelock.kke.co.jp/article/coworking-space-rapid-growth)を見たり、すでに新規事業を立ち上げ・運用されている方はわかると思うが、あるプロジェクトを立ち上げること、例えば地域資源に基づいた新規事業を立ち上げたり、もしくはそれより手前のプロジェクトがない状態での探索などの企画や方向性を定義するために必要かつ重要性の高い要素は参加者・関与者の多様性とそのネットワークの質である。ここでいう質というのはコンピテンシーのことでもあるし、プロジェクトにおける必要な属性や広さも含んでいる。プロジェクトが成功するかどうかはわからないが、その上でその質を担保するために必要な情報や必要十分な数を揃えるという視点を持つことが重要であるということをここでは言いたい。つまりフィールドはそのフィールドだけで考えるのではなく、より広い視点で、例えば地域のことに関するプロジェクトを考えるのであれば、単純に見えているもの、例えば地域の事業者や属性だけではなく、広く周辺の地域や都市部、もしくは地域の資源をしっかりと見つめる、その見つめる視点も地域だけではなく広く外からまたそこに多様な視点を持ち合わせることでより深くユニークな探索や発見からの定義が可能となり、プロジェクトにより良い効果を及ぼすと考えている。

その条件下で考えると、では多様な視点や参加者を集めてくればそれでいいのではないか?そのまま自然発生的においておけばより良い状況になるのではないか?ということも考えられる。もちろんコンポストが関わる・解決の一助となる課題、また、フィールドのプロジェクトにおいては、自然発生的に生まれることもあるだろう。ただし、それは手を入れない(放っておく状態)で出来上がるものではなく、ヒトが適切にしっかりと手を入れないと、ただの荒地になる。自然発生的に生まれるものだけではなく、しっかりと多様的に関わっていくことで社会にとって良いものが生まれるのである。

これが最初に立てた仮説にある価値への道筋である。

僕が今関わっているプロジェクトでは、都市部と地域(あえてローカリティが高いと言う)また双方が持つ資源の価値循環を起こすことで、双方の課題もしくは広く社会的な課題を解決するためのプロジェクトを最終的には立ち上げることを目論んでいる。上記の仮説の通り、価値循環を起こすためには単なる金銭的物質的な交換にとどまらずに、参加者・関与者の視野の広がり・価値観の転換(既存消費者からのアップデート)・価値交換を起こすことが重要なポイントであると、これも仮説ではあるが考えている。「土を育てる」で紹介されているドンキャンベルの言葉「小さな変化を生み出したいならやり方を変えればいい。大きな変化を生み出したければ見方を変えなければ」という言葉が視野に富むのであるが、このプロジェクトは、参加者が大きな変化を生み出すためのプロジェクトである。ドンキャンベルの言葉を借りれば、そのためには「見方を変えなければ」ならない。見方に変化を起こすためには、つまり主体は自分となるのだから、自分の見方を作り上げる感性を変化もしくはアップデートさせる必要がある。

ここで最初の子どもとのコンポストの文脈に戻ってくるのであるが、コンポストをすることで感性が磨かれて成長する。磨かれて成長することで社会に与える影響が良くなるはずである。そのために子どもにコンポストを早いうちから触れておいてもらうこと、学んでもらうことが重要であると感じた次第である。

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