見出し画像

屏風という立体作品の楽しさ 生誕300年記念 池大雅 ―陽光の山水

「陽光の」という文字からは光をイメージするけど、彼の絵画を見た感想としては、空気、空間の描き方が印象的だった。今回の展示には、『柳下童子図屏風』や『楼閣山水図屏風』のような屏風の作品が多くあった。屏風の作品は、よく見る絵画のように平面に直して鑑賞しがちだし、図録やポスターで見せる際にも平面の状態になりがち。しかし屏風は立体的に手前に描かれる部分と奥に描かれた部分があり、鑑賞する際見る角度を移動すると見えない部分ができたりといった構造になっている。
山水画と呼ばれるように湖と山のような風景の屏風で、左側に山、右側に湖が描かれているような構図をイメージしてみて欲しい。左側から見ると山から湖を臨んでいるような感覚になれるし、右から見ると湖の上にいるような感覚になれる。
そんな空気感を作る上手さが池大雅にはあると感じた。特に『滕閣勝覧図屏風』は左上と右下に陸地を描く特徴的な構図で、かなり余白の多い絵ながら、その空間を描く魅力を教えてくれる作品だった。
文人画、そして屏風を見る面白さに気がつける展示なので是非現地までどうぞ。ちなみにサムネの左側の絵には、無数の馬が描かれてたりします(『山邨千馬』)それでは。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?