ま軍記 第一話「関ヶ原の戦い」
「関ヶ原の戦い」
2022年7月24日、滋賀県の関ヶ原に私はいた。
「関ヶ原の戦い」で知られるあの関ヶ原である。
目的は、野外アイドルフェスとして有名な「関ケ原唄姫合戦2022」を観るため。
特にお目当てのアイドルがいたわけではない。
前日に大阪でつばきファクトリーのコンサートを見て、帰宅する途中に寄ったというのが大きな理由だった。
以前、地下アイドルの子を推していたこともあり、このイベントの名前は耳に残っていたし、名前を見たことあるアイドルもいた。
今回は一人ではない。
ハロプロの後輩グループであるOCHA NORMAを見に来た知り合いと一緒である。
「地下アイドルは全く知らない」と、前日に彼は居酒屋で言っていた。
彼の名は「まちだ」である。
アイドルフェスのステージがどんなものであるかは、アイドルのヲタクの間で話題になることがある。
豪華さ、というよりも、その貧相さや変てこさを見つけ、これは面白いと笑い飛ばす。
今年の関ヶ原にもそんなステージがあり、ちょっとした話題になっていた。
それをTwitterで見た記憶があった。
「下剋上ステージ」と名付けられたそのステージは、ステージの前に小川が流れ、客がいるのは小さな丘の斜面という様相をしていた。
名前を聞いたことのあるアイドルを何組か見たあと、「下剋上ステージでライブがあるらしいから観に行こう」とまちだ君に声をかけた。
出演するアイドルが観たかったわけではなく、野外の丘の上からアイドルを観る状況が面白そうだった。
戦国時代の武将のように丘の頂上に陣を張り、途中で合流したずらさんも加えて、3人で青空の下、丘の上からはしゃいで踊った。
ステージ上のアイドルのことは全く知らなかったし、MCで名前を言ってたような気はするが、終わった頃には何も覚えてなかった。
ただ、まちだ君が「赤の子が良かった」と言ったので、「自分はオレンジ。相変わらず好きなアイドルが被らないな」と言ったことは覚えている。
まちだ君が地下アイドルに好意的な反応をするのは珍しい。
初めての特典会を体験させてやれと思い、特典会の会場へ一緒に行った。
「LoveCherish?」
ブースの前に行くものの如何せん勝手が分からず、3人でウロウロとしていた時、そこに救世主が現れる。
見ず知らずのヲタクが3枚の券を差し出し、
「この券で1枚ずつ撮れるから」
そう言ったのだ。
その券で各々メンバーとチェキを撮り、ライブが楽しかったことを伝えた。
それで、「今日は珍しい体験をした」で終わるはずだった。
しかし、その見ず知らずのヲタクは、こんなことも教えてくれた。
「毎週水曜日に大塚でライブがあるんですよ」
これが「ま軍」の始まりだった。
第二話「聖地:大塚」へ続く
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