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往年の名レース~有馬記念編~


街はクリスマスムード一色になり、今年の競馬も残すところ3日間となりました。
先日の朝日杯は坂井瑠星騎手とドルチェモアが栄冠を勝ち取りましたが外から追い込み惜しくも2着に敗れたダノンタッチダウンも含めて来年の活躍が楽しみです。
そのダノンタッチダウンの調教師安田隆行がジョッキー時代にコンビを組んで1991年の皐月賞ダービーを制覇したのがトウカイテイオーです。

ということで今回は93年の有馬記念を取り上げてみたいと思います。

この年の3歳馬は三強と呼ばれたナリタタイシン、ウイニングチケット、ビワハヤヒデがそれぞれ皐月賞、ダービー、菊花賞を分け合う形で終えました。

古馬には絶対王者メジロマックイーンが君臨し、そのマックイーンの天皇賞春3連覇を阻止したのが前年の菊花賞馬ライスシャワー、天皇賞秋は安田記念を連覇したヤマニンゼファーが距離を克服して優勝、2着が金杯の勝ち馬セキテイリュウオー。

そして、ダービー馬ウイニングチケットと同じくトニービンの初年度産駒ベガが桜花賞オークスの2冠を制覇。



メジロマックイーン

京都大賞典を2.22.7という当時のレコードで勝ったメジロマックイーンは、天皇賞への出走を表明していて世間の評価も断然って感じでした。しかし直前になって(確か当週だったはずです)骨折が判明し、そのまま引退することになったのは非常に残念でした。そのまま出てたら天皇賞、JC、有馬記念全部勝ってたのではと今でも思っています。それほど充実していました。
その京都大賞典で3馬身半差で負けたのがJCを勝つレガシーワールドでした。

第38回有馬記念

1番人気ビワハヤヒデ

ここまでデビュー以来全てのレースで連対してはいるんですが、なんとなく勝負弱いというかマイネルリマークに負けてしまうあたりも優等生だけど最後譲ってしまうような、実際皐月賞はナリタタイシンの2着、ダービーはウイニングチケットの2着でまぁ安定感はNo.1でしたね。
しかし夏を越えて秋初戦の神戸新聞杯では危なげない勝ち方で菊花賞本番も1番人気に支持され5馬身差の圧勝で名実ともに世代のトップホースとなり、鞍上も当時日本一の関東のベテラン岡部幸雄で非の打ち所もなく当然の1番人気になります。


ビワハヤヒデ

2番人気レガシーワールド

とてもとても気性の荒かったレガシーワールドはデビューしてからは泣かず飛ばず、去勢をされ初勝利も3歳夏という遅さでした。しかしそこからは、あれよあれよの快進撃でセントライト記念ではダービー2着のライスシャワーを破り重賞初制覇。
とはいえ騙馬にはクラシックへの出走権はありません。同じく外国産馬でクラシックには出られないヒシマサルとオープン特別でシノギを削っていました。
そして、その年はJC4着有馬記念2着と半年前に初勝利をした馬とは思えないような成長を見せ、AJC杯2着を挟んで前述の京都大賞典からJC制覇を成し遂げ堂々2番人気で有馬記念を迎えることになります。


レガシーワールド

3番人気ウイニングチケット

弥生賞で見せた鮮烈の末脚がファンの脳裏に強く残り皐月賞でも1番人気、負けはしたものの直線の長い東京ならと再び1番人気に支持されたダービーを見事に勝利し柴田政人を悲願のダービージョッキーに導いたのがウイニングチケットです。
秋初戦は京都新聞杯です。ここでもまた強烈な末脚を披露し菊花賞へと駒を進めます。結果的には三千は末脚を武器にするこの馬には長かったのでしょう。
ビワハヤヒデには大きく差をつけられる形となってしまいましたが続くJCで古馬初対戦の中3着に入りダービー馬健在を見せつけ有馬記念でも3番人気の支持を受けます。


ウイニングチケット

4番人気トウカイテイオー

日本サラブレッド史上イケメンランキングを作ったら多分1位でしょうね(笑)ってくらい顔は整っており、その強さも相まって圧倒的な人気を誇っていましたが、そんなテイオーはガラスの脚などと呼ばれていたくらい怪我が多い馬でした。
デビューから6戦6勝で皐月賞ダービーの2冠を制覇し、父シンボリルドルフに続く無敗の三冠を期待されていた矢先に最初の骨折が判明し秋シーズンは棒に振ります。
復帰初戦は大阪杯で、ここから鞍上も名手岡部幸雄に代わり危なげない勝ち方で「地の果てまでも伸びて行きそう」なんて名手に言わせてしまうくらいの強さでした。
そして、世紀のマッチレースでメジロマックイーンに敗れ、その後にまた骨折が判明。
秋は天皇賞へぶっつけで復帰、乱ペースに巻き込まれて敗退しましたが次走のJCでは見事に世界の強豪を相手に日本一となり有馬記念へ堂々の1番人気で出走します。
ここで、鞍上は田原成貴になるんですがスタートで後手を踏んでしまい道中もらしさが感じられないまま11着と惨敗。そして、この後3回目の骨折が判明し復帰は1年後の有馬記念まで長引くこととなりました。
流石にトウカイテイオーとはいえ1年ぶりのレースではと下馬評はそう高くはありませんでした。


トウカイテイオー

この4頭の他にも

ライスシャワー(菊花賞、天皇賞春)
ベガ(桜花賞、オークス)
エルウェーウィン(朝日杯3歳S)
メジロパーマー(有馬記念)

と、計8頭のGIホースが集結したドリームレースになったのです。

当時良く覚えているのはトウカイテイオーのパドックでの楽しそうな歩き方ですかね。この馬は元々柔らかい歩き方をしているんですが(テイオーステップなんて呼ばれています)その日は特に気持ちよさそうに周回していました。
それと、本馬場入場の時のレガシーワールド。もう本当に荒々しく首を下に下げて今にもジョッキーを振り落としてしまいそうなくらいで心配でしたが、この馬を推していた大川慶次郎氏は「この馬はコレで良いんですよ」くらいな事を言っていて、そうなのか〜なんて思っていました。

レースは、予想通りメジロパーマーが逃げてビワハヤヒデとレガシーワールドがそれに続く形で進んでいきました。
3コーナーあたりからビワハヤヒデが早めに進出していく中レガシーワールドの手応えは怪しくなり、外からウイニングチケット、トウカイテイオーも上がっていきます。
直線向いて岡部とビワハヤヒデが抜け出したところ2歳年上のダービー馬トウカイテイオーが一完歩毎に追い詰め最後は差し切っての復活勝利です。

「ダービー馬の意地を見せるか!
トウカイテイオーだ!
トウカイテイオーだ!
トウカイテイオー奇跡の復活!
1年ぶりのレースを制しましたトウカイテイオー田原成貴!」

堺正幸アナウンサーの実況がやっぱり良いんですよね、是非フジテレビの映像でご覧になって頂きたいです。

https://youtu.be/Fr3T2H2_Pjs

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