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8インチのドリルとイノベーション

イノベーション(新規事業・変革)の伴走という生業をしている時に、迷わないようにいつも掲げている言葉があります。

8インチのドリルを買いに来たお客様の本当の価値は、
「8インチの穴」ではなく、
「その穴にフックを取り付けて”絵を飾り”、その絵を毎日眺めることで”幸せな気分”を味わえる」ことかもしれない。

つまり、本当に解決したいのは”一日一回以上幸せな気分を思い出せる”状態であること。
なので、もしかしたら、壁に穴を開けなくても解決できるかもしれない。

例えば、プロジェクターで映写することで解決できるかもしれないし、それが子どもの描いた絵なら、3Mの張ってはがせるテープではったり、
突っ張り棒でデフォルトの壁を作ることでもいい。
スマホで撮影して、待ち受けにするとかでもいいのかもしれない。
どうしたら、その人の悩み(=PAIN)に近づけるのか深堀すること。

あらためて伴走って難しいなと思う

ドリルを貸すことは簡単だし、穴を代わりにあけてあげることも簡単。
でも、本当に必要なのは「何のためにそれをしたいのか」を意識してもらうこと。
もし、「ドリルを貸して解決できた」としても、それは一過性問題解決に過ぎない(Collective Genius Bootcampではこれを”もぐらたたき”と呼んでいます)

伴走者も答えを持っているわけではない。
どうしたら売れるかって?やってみなきゃ分からないよね(笑)

ただ毎日、新規事業や変革を生み出すために自分がやってきたことを、抽象化し、行動を暗黙知から形式知化し、社会変化というスパイスを加えて、常にトランスフォームする。

彼らが、何に迷い立ちつくしているのか。
フレームを渡しても、それは解決にはならない。
なぜ、その穴に陥っているのか、彼らが自分で見つけなければ本当の意味で前には進めない。
そのために、陥りがちな穴と石を見つけて、ちょっとだけ明かりを照らす。
その繰り返し。

新規事業を立ち上げるよりきついことも多いのがこの仕事

社内の横断機能として、Senior Acceleratorとして約二年。
社内のCollective Genius Memberからは、「はしもと5人いる説」を唱えられているが、残念ながら、分身の術もコピーロボットも持ち得ていない。

Acceleratorは、半歩先と3歩先を同時に見ている必要があるし、目の前の迷える子羊の方々をできるだけ迷わないように誘導(=伴走)する必要がある。
絶対にしてはいけないのが、「先生(上からマウントして教える役目)」になることだと思っています。
いまの時代、フレームワークや仕組みや解決は星の数ぐらいある。つまり、先生の代わりならいくらでもいる。同時に先生になりたがる人も多い。
数が減らずに、毎年増えているのは、結局、それだけでは、人々が抱える課題を解決できていないからなんだと思っています。
簡単に解決出来たら、もう「本」買わなくていいでしょw

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