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あのね・・・

膝の上に頭をのせる。

ゆったりと沈み込んでいく感触。

そっと髪を撫でる手が気持ちいい。

ふんわりと行ったり来たりする感触。

ふとお互いの手があたり、指が交差する。

細くてすべすべした感触。

膝枕をしたまんま、ポツポツ言葉を交わす。

たまに噛み合わなくても、ほんわかする気持ち。

「重くない?」「大丈夫」

顔を合わせずとも伝わる気持ち。

昔はあんなに小さかったのにな。

生まれたばかりの君を懐かしむ気持ち。


一日中パソコンばかりしてるって、怒っちゃってごめんね。

きっとそれは、こっちを向いてよってサイン。

ただくっついて、話をするのが楽しいね。

きっとそれは、大好きだよってサイン。

外から帰ってきて、君の顔を見られるのがうれしいね。

きっとそれは、家族だよってサイン。

寝息をたてて眠る君の小さな顔を覗き込む。

あの頃の面影を探そうとする。

薄い唇のすき間から、生え変わった白い歯が顔を出している。

キリッとした鼻筋に、少年へと羽化していく君の成長を感じる。

母さんの頭、本当に重くなかった?

足、痺れてない?


あのね、母さん、もっとお話したかったんだ。

あのね、母さん、こうして一緒にいたかったんだ。

あのね、母さん、7年前に君に会えて嬉しかったんだ。(ちょっと大変だったけどね)

ありがとう。

生まれてきてくれて、ありがとう。

◇◆◇

夜、あとは寝るだけになって「あ〜、疲れた」って、ソファーに沈み込んだら、上の子が横に座ってきた時のこと。

ちょっとふざけて、息子の膝を枕に横になった。なんだか平気そうだから少しの間、膝を貸してもらったら、なーんか心が揺れた。

そうか、寂しかったんだ。一緒に色んなことしたかったんだ。息子からの愛情が不足がちだったんだ。ずっと感じていたモヤモヤが氷解した。

だからまずは、こんなふうにして大好きだよって伝えていきたい。そして「いいよ」って言ってくれる間は、膝枕をお願いしてみようかな。

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