起業するときのお金の話
こんにちは。
今日は、これから起業する人にとって一番大きな課題、お金の話です。
お金も潤沢にあって、顧客もたくさんあってという状況で
起業できる人は少ないでしょう。
でも、今の手持ちがそこまでなくても起業はできます。
今日の要点
●まずは資金を計算してみよう
→資金次第でスタートアップ方法は変わる
●最初の資金計画をしっかりと立てよう
→お金がなくなると悲惨です
●利用できる融資などを探そう
→リスク軽減できる方法が必ずある
私は、父親が大企業のサラリーマンで退職するまで1社で勤め上げました。
典型的な中流家庭で育ち、冒険というものとは無縁で、とても堅実な選択をして生きてきました。
自分が働くようになってから、自営業者や起業した人などもたくさん見てきましたし、一度起業してから失敗し、中途入社で私の部下に配属された人も何人もいます。
もちろん、一回の失敗でも潰れない人もいますが、まだまだ日本社会はチャレンジに敗れた人に厳しいと言わざるを得ません。
しかし、これは日本社会が悪いわけではありません。
チャレンジに失敗した人は、いろいろと言い訳をしますが、
その人のスキルが足りずに失敗をしたわけであって、
その評価が低いのは当然とも言えます。
起業に失敗する理由はいろいろありますが、
最も核心的な理由は、「お金」です。
会社を運用するには当然お金が必要で、
お金が足りなくなれば、あっけなく倒産します。
起業の検討を始めたら、どのような業種で勝負するのかとは別に
最低1年間の資金を算出しましょう。
下記は弊社の場合です。
●人数・・・3名(役員2名、社員1名)
●1年間の必要経費・・・約2,000万円(全経費含む)
1年間会社を運営するのに、3名でいきなり2,000万円が必要とわかりました。
その段階で、当然2,000万円はありません。
とは言っても、起業するタイミングで2,000万円が必要なわけではありません。
起業してから、2,000万円を稼げばいいわけです。
が、1年の終わり頃、11ヶ月目や12ヶ月目に2,000万円をどんと稼いでも、
それまでが赤字になってしまい、倒産します。
毎月170万円弱は人件費などで支払わなければなりません。
次に計算したのは、いつ、どれくらいの利益があがるか、でした。
そのために、起業の意向を仲の良い代理店さんなどには伝え、
いつ、どんな仕事が発注してもらえそうかを探りました。
この時に計算したのは売り上げではありません。
顧客に請求する金額が売り上げですが、
外注さんに依頼することもありますので、
売り上げー外注費=粗利益
を計算しました。
結果として、立ち上げから3ヶ月の1Qでだいたい450万円の粗利益、
2Qで530万円程度のお金を稼ぐことができそうだと判明しました。
6ヶ月で粗利益980万円です。
6ヶ月にかかる経費は約1,000万円。
20万円ほど足りません。
そこで、資本金をいくらにするかを検討しました。
といっても3人がすべてたくさんのお金があるわけでもないので、
とりあえず300万円を資本金にすると決めました。
これで、会社ができる段階で300万円あります。
で、会社の立ち上げに100万円ほどかかりました。
登記やら印鑑やら、PCやらソフトやらです。
残りは200万円です。
1Qで見れば、450万円の粗利益がありますので、
1Q終了時点で650万円(資本金の残り200万円+450万円)。
1Qの総経費は498万円。
1Q終わって会社の資金は152万円ほど残ります。
というように細かく計算していった結果、
まぁ、普通にまじめにやれば、1期目で赤字にはならないという計算ができあがりました。
同じように計算をしていき、起業から10ヵ年までのシミュレーションを作成しました。
私の場合、会社をたくさんの仲間とやっていきたかったので、
毎年増員する計画を立てました。
もちろん、2年目の売り上げがどうなるかは
皮算用に近いですが、希望的観測を入れないように計算しました。
ここまでやって、さぁ起業!でした。
結果として、1期目は第3Q終了時点で、約3,000万の粗利益。
使った経費は1,650万円。
利益は1,350万円となっていました。
そこで増員計画を前倒し、新たな資金計画を立てて実行に移しました。
もしこれが、一人での起業であれば、もうちょっと簡単です。
自分の貯金がいくらか?
無収入でどれくらいの期間耐えられるか?
これを計算して、足りなければ資金調達してでも起業するのか?
資産を貯めてからするのか?
この二者択一になるでしょう。
私の場合、起業段階での資金調達は検討はしましたが見送りました。
「借金」というものが、私にとって非常にネガティブであったからです。
融資などの資金調達について、積極的であれば、より勝負しやすいでしょう。
しかしながら、まずはこういった資金計画が立てられないのであれば、
複数人での起業はまだ早いでしょう。
一概には言えませんが、よほどの資産や資金調達ルート、もしくは売り上げ見込みがない限り、早々に資金が尽きます。
起業3年以内にほとんどの会社が潰れるのは、無謀な資金計画が原因であるといって良いでしょう。
さて、もし資金が足りない場合は、当然融資などで資金を調達することになります。
「今月あと100万あれば、最終的には黒字になるのに!」
という、冗談のような状況になることは、会社経営ではよくあることです。
融資などの事実上の借金は、別にお金に困っているからやるものではありません。
私の場合、2期目の終了目前で1,000万、3期目の終盤で1,000万の融資を受けました。
資金が足りないとかではありません。
単純に、万が一資金が足りない時に、いきなりだと融資が受けづらいから、
融資実績を作るための融資です。
簡単にいうと、いざ会社のお金が足りません!
となった時に、銀行や信用金庫に慌てて借金を申し込んでも
すぐにお金を借りることができるわけではないからです。
銀行や信用金庫は、なによりも「信用」を重視します。
どなに中小企業を支えるみたいな殊勝なことを言っていても、
回収の見込みがないお金は絶対に貸してくれません。
それはそうです。金貸しですから。
なので、弊社はちゃんと借りたお金返せます。返済実績あるでしょ!?
と証明するために、必要がなくても融資を受けたわけです。
今は金利が安いといっても、100万円近い金利を払うわけですが、
これでいざという時はより借りやすくなったわけです。
で、起業時の融資についてですが、一番手堅いのは政策金融公庫の新創業融資制度です。(https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/04_shinsogyo_m.html)
それなりに条件はありますが、起業時から2期目の決算が終了する前まで融資が受けられます。
一番のポイントは、銀行や信用金庫と異なり、経営者が連帯保証人にならなくて良いところです。
あとは、2期目の決算終了前まで申し込めるので、
まずは1年経営してみて、自信がついてから融資を受けるなんてこともできます。
借りられる金額は最大3,000万円(運転資金はそのうち1,500万円)ですが、
基本的にそんなには借りられないと思ってください。
私の場合、1,000万の運転資金が最大っぽかったですが、500万円だけ借りました。
他にもベンチャー支援などをしている企業や団体などのコンテストなどで優勝するなんて方法もありますが、そんな天才なら、それなりにうまくいくので、これを見なくてよいでしょう。
もちろん、普通に銀行や信用金庫で借りるという方法もありますが、
こちらはがっちり連帯保証人にならないといけないので、まずは政策金融公庫からでよいと思います。
融資は事実上借金なので、正直怖いです。
でも、今月や来月の資金の心配をしなくてよくなります。
その分、稼ぎ出すことに集中できます。
弊社の場合、最低でも4ヶ月間売り上げが0円でも
大丈夫なように資金繰りをしています。
●毎年の会社の利益をきちんと出して貯金しておく。
●毎月きちんと売り上げを上げる。
この2つをきちんとやるだけです。
なので、毎年の計画も数年後の計画もさほど大きなずれはでません。
起業して、社長だ!金だ!キャバクラだ!みたいなことをすると、
会社の寿命は短くなる傾向が強いです。
まずは堅実なことができるかを、自分に課してみてはいかがでしょうか?
今日のブログは、あまり面白くない内容でしたので、明日は少し面白いことを書きます。
さようなら。また明日か明後日。
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