【コミュ術⑤】Iメッセージは人を動かす!
Iメッセージをご存じでしょうか。
Iメッセージとは文字通りI(私)を主語としたメッセージ(伝えたいこと)です。
「自分が言う話なんだから、必ずIメッセージじゃないの?何か特別なことはないような気がするけど。」
実は意外にそうではないのです。
そしてIではない主語で話をしている時にコミュニケーションがうまくいかなくなることが多いです。
日本語の特性として、主語を省略することができるというのがあります。また省略した主語を類推させるというのも日本語特有の構造です。
この日本語の特性は、Iメッセージとは相性が悪いのです。
そのため、日本語でIメッセージを使う時には意識してIメッセージを使う必要があります。
この記事ではIメッセージの特性や効能についてお知らせいたします。
Iメッセージを使わないとコミュニケーションはどうなるか
対話の中で、Iメッセージを使わない場合の主語は多くの場合「You(あなた)」か「somebody」「They」といった不特定多数の誰かになります。
Iメッセージ以外の主語で話をするメリットは私の知る限り、今の時代においてはありません。ではデメリットは何か。それぞれの場合に分けて紹介しましょう。
Youを主語にした場合のデメリット
ここまで何のことを言っているのかいまいちピンと来ていない方もいると思います。
ここからより具体的に話を進めていきます。
Youを主語にするというのは、
「あなたのためにはあなたが~をしないとあなたが困る」
という構文に代表される話のことです。
ビジネスの場面でも家庭でも、こういった会話は繰り広げられていることと
思います。
この話し方、絶対によくないです。
あなたのために、あなたが
この「主語があなたの構文」は正論であることが多いです。
正論では人は動きません。もっと言うと人の気持ちが動かないため
人の行動にもつながらないのです。
あなたのために:余計なお世話です。
あなたが困る:困るかどうかはそれこそその人が感じることです。
屁理屈に聞こえるかもしれませんが、屁理屈を考えてしまうこと自体が問題であり、屁理屈が入り込む隙間があることが問題なのです。
この構文で話をしている時、あなたは相手の考えや行動を変えたいと思って話していると思います。
しかし相手の考えや行動を変えたいのに、屁理屈が邪魔をするような話し方では相手は何も変わらないのです。
どれだけの情熱をもって話をしてもYouが主語になっているだけでまったく伝わらない可能性が高いことを分かっていただければと思います。
「Somebody」「They」といった不特定多数の誰かを主語にした場合のデメリット
これは言い換えると「普通に考えたら」「一般的には」といった文脈で使われる構文です。
普通に考えたら:誰にとっての、誰が考えた、どんな考えのもとに普通を定義しているのでしょうか
一般的には:ここでいう一般は本当に一般ですか?そもそも一般とは誰ですか?
この言い方は責任の所在をなくそうとする言い方です。普通に考えたらという言葉には、私の責任ではありませんというメッセージが強く出ています。
例えば会社で話し合いをした場合、「普通に考えたら●●ですよね。」という意見が出てくるとその意見に対して肯定しやすく否定しにくいという経験をしたことはありませんか?
いわゆる同調圧力が手伝ってその人の意見が受け入れられる反面、盲目的に信じ込まされる可能性があることを疑うことすら封じ込まれる構文です。
これが間違っていたりうまく行かなったりすることに気づいたときには
遅く、「普通に考えたら●●なのだから、今回のクライアントにフィットしなかった。」などと自責ではなく他責にして処理をしてしまいかねません。
そうなれば、ブレイクスルーを起こすようなクリティカルなアイディアやチャレンジの機会を奪い、普通に考えたらと言った社員にもそれに同調したすべての社員にも責任の意識がないまま次に進むことになります。
SomebodyやTheyを主語にしたフレーズは、使った瞬間から思考が停止しており責任の所在を不明確にする危険のあるフレーズなのです。
Iメッセージの効果と使い方
Iメッセージは文字通り私が主語です。私が主語ということは私がどう考えるか、どう感じるかを示し、責任の所在が「私」にあることを明確にします。
Iメッセージであれば、相手のためではなくあくまでも自分のため、相手がではなく自分がどう思うか、考えるかを明確にしますので相手に対してフェアな話し方だったり、強い言葉を使うのであれば大きな責任を背負うような話し方になります。
Iメッセージで話をした場合としなかった場合をそれぞれ比べます。
【Iメッセージを使わない場合の例文】
あなたが時間を守らないと、あなたのためによくないし、みんな困るんだよ
【Iメッセージを使った場合の例文】
あなたが時間を守らないと、私の仕事も滞ってしまうし、私がすごく困るんだよ
上記2つはいずれも「時間を守らない」ということに対して「改善させたい」と思って話をしています。
しかし、Iメッセージの有無によって相手が受ける印象とそのあとの会話の展開が大きく異なります。
Iメッセージを使わない場合の例文では、あなたのためにという価値観の押し付けとみんながを主語にすることによる発信力の弱さが露呈しています。
結果的に、時間を守るということは一般的なルールであること、それを守らないと困るということはわかります。
けれども時間を守らないといけないのか、時間を守らないことによってどんな悪いことがあるのかと言ったことが伝わらないのです。
Iメッセージを使うとシンプルに話者が困るということが分かります。
誰に迷惑がかかるのかが明確になることで行動の改善への気持ちが出てくる可能性が高いです。
可能性が高いというのはなぜかというと相手と自分との関係性が影響するからです。
他の記事でもそのうちとりあげたいのですが、関係の質の向上がなされていないとこの伝えたい温度感が伝わらないということになります。
終わりに
Iメッセージは日本語だとなかなかに長いフレーズになりますが非常に重要なコミュ術です。
私には息子がおりますが、息子には実は1歳からこのかかわり方をしています。
普通に考えたら、一般的に考えたらと言いたくなる瞬間は多いのですが、それでは変わらないのです。
コミュニケーション研修で多用される表現をご紹介して本日は失礼します。
「過去と他人は変えられない。変えられるのは未来と自分だけ」
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