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ワールドカップバレー(日本対ブラジル)解説

今回はワールドカップバレーの日本対ブラジルの解説をします
フルマッチ動画はスポーツブルのアプリかvolleyball world TV(こちらは8/31まで)で無料配信してるのでそちらを見て貰えればと思う

ハイライトで良いよって方は以下のリンクからどうぞ

https://youtu.be/I2dQoCvUvSk

https://youtu.be/o78y1264dD8


立ち上がりからブラジルのサーブが走る
この試合のブラジルのサーブはビッグサーバーは特定の誰かを狙うと言うよりは思いっきり打つ感じ
それ以外は福澤を狙っていた

狙いよりも威力重視だったため、アランやルカレッリ、レアルのサーブの時は西田を含めた4枚レシーブを敷いた方が得策だったかもしれない

日本のサーブはレアル狙い
レアルのサーブレシーブはブラジルの数少ない穴の一つなのでここをつき崩せるかは世界のどの国にとっても対ブラジルの大きなポイントになるだろう

ただブラジルもここら辺は織り込み済みでリベロのタレスが上手くカバーに入ることでレアルの守備負担を軽減するためジャンフロではなくハイブリッドやジャンプサーブで攻めていがなければ中々崩せない

とまあサーブについての前提はここまでにして試合に戻る

ブラジルのサーブに押され気味だったものの序盤から中盤にかけては石川や西田の粘りとサイドスパイカーの高さを引き出した関田のトスアップで食らいついて行く

しかし中盤から終盤にかけてブラジルのサーブが再爆発
ここで崩れて日本は大差でセットを落とす

ここで両チームのブロック戦術についても見ていくと両チーム共にバンチリードなのは言わずもがなだが
ブラジルは日本のセンター線と石川にブロックをつけることを重視、西田や福澤に対しては上がってからの反応でOKという感じ

石川を抑え込めれば西田や福澤に多少好き勝手にされても勝てるという見込みの元だろう

一方日本はそこまでの戦略はなく取り敢えずリードで反応していくという感じ
序盤はブルーノのトスアップのフォーム?に戸惑ったのか山内はともかくとして小野寺もミドルに釣られたりとブロックが機能しなかった

2セット目

日本は最初山内のサーブでブレイク
ここでブラジルは一本目はレアルが取って乱れてシャットアウトを食らったので2本目の時はタレスが入ってレアルは攻撃に専念した
だが3本目レアルはタレスがカバーすると、タレスはレアルが取りに行くと勘違いしていたためノータッチになってしまった

ダルゾットもちょっと怒っていたが結構棚ぼたなエースではあるがここではしっかりブラジルの弱点のレアルのサーブレシーブを上手く付いた結果でありレアルにプレッシャーをかけるという面では100点である

さて日本はこのセットS5スタートとちょっと変則的なスタートにした

意図は様々だろうがその一つに恐らく西田のサーブのローテーでブラジルのS5ローテーを持ってこさせると言う意図もあったと思われる

S5ローテーを持ってこさせると何が都合が良いかと言うと次のようにブラジルのサーブレシーブのフォーメーションがルカレッリとレアルが並ぶような形になると言う点である

1セット目の西田のサーブの際のブラジルのサーブレシーブのフォーメーションは間にリベロのタレスを挟んでいたためレアルの範囲をタレスが取ったりレアルを端に寄せてそこを狙わせてミスを誘ったりする事が可能だったしレアルを狙った結果タレスに行く可能性も十分にあった

だがこのフォーメーションならタレスはレアルのカバーは出来ないしレアルを狙って最悪多少コースミスしてもルカレッリに取らせることが出来るし二人の間を狙えば最高の場合二人の攻撃を消すことが出来る

西田からしてもクロス方向に確実にOHに取らせることができるので威力を強めて打てる

こうした意図の元ローテーを回したんだと思われる
西田もこの部分を活用して早速エースを取った

ここまではプラン通りだったが関田のトスが近かったり低かったりしてブロックに立て続けに捕まってしまう

そのためここで日本は藤井にセッターをスイッチ
ここの判断は素早くて良かったと思う

その後レアルのサーブで3連続得点を奪われてまたブラジルに前に出られたが山内のブロックと小野寺のサーブで同点に追いつく

ここでブラジルはたまらずレアルをマウリシオに交代

またこのセットは日本のブロックも冴えていた
サーブで攻撃枚数を減らせたのも大きいがしっかりリードブロックでレアルには確実に二枚付くようにしっかり警戒したブロックを行った

攻撃面でもレアルにストレスをかけれたと思う

一方ブラジルのブロックは西田への警戒の比重を強めたがあくまでも石川を潰すことが第一だった
石川にはしっかりブロックが二枚以上付いていたがそこで石川が決定率を落とさず決めたのはこのセットを取る上でかなり大きかった

また、ブラジルは西田へのマークを強める代わりにセンター線へのマークが薄めになった
その結果センター線がこのセットはよく決まった
セッターを藤井に代えたのはそこら辺の意図もあったのかも知れない

結局最後はピンサ柳田でプレッシャーをかけてブラジルのミスを誘い26-24でこのセットを取った

このセットは日本からしたらブラジル相手に一番やりたいバレーを出来たと思うしこう言うバレーをして行けばブラジル相手でもセットを取れるという目安にもなった非常に大きなセットだっただろう

ただサーブレシーブはブラジルのサーブに押され気味だったしレアルをサーブで狙う分にもタレスにカバーされた場面も多かったので4枚レシーブやジャンプサーブ勢以外はハイブリッドサーブで攻めると言った事をしていけばもっと楽にセットを取れたかもしれない

3セット目

3セット目はとにかくサーブでやられた
ルカレッリ、レアル、アランといったビッグサーバーに尽く崩されまともな攻撃の組み立てすら許されなかった

吹っ飛ばされたりお見合うエースより単純に反応出来なくてノータッチってのが多かったからレシーバー4枚はありだと思ったんだがここはもしかしたら西田のサーブレシーブが追いついてないのかも知れない

日本のサーブも悪くはなかった
がそもそもサイドアウトをまともに取れなかったのでサーブをそんな本数打てなかったってのもある

ブロックはブルーノがセンター線を使用する事が増えたからミドルに釣られ出すのではないかと不安だったがそこは粘ってリードでしっかり飛んでいたし悪くなかった

本当にサーブレシーブが全てだったセットだった

4セット目

ここで日本はローテーションをまた変えてS2ローテーでスタートする
ここの意図は正直分からない
ビッグサーバーに対するサーブレシーブのフォーメーションの問題かと思ったが一番サーブでやられてたルカレッリのフォーメーションがリベロが端になる形になるなどそんな感じもしない

逆にこっちのサーブの際の相手のフォーメーションの問題かと思ったがこちらも西田の時にリベロが真ん中にくる形になり違うなと
(実際このセット西田はサーブをリベロに打つことが多かった)

分かったよって方がいれば教えて頂きたい

このセットは先程のセットに比べてサーブレシーブがしっかり返ってた
柳田がスタートから入った事でサーブレシーブが強化された部分もあるだろう

ただ柳田が入ることの意義はやはりサーブだろう
単体でも強烈だが西田、柳田とビッグサーバーが連続する形は相手にとって相当なプレッシャーになっただろう

今年のジェイテクトも西田、カジースキとビッグサーバーを連続させたし、JTもエドガーと山本のサーブを連続させているしかつてはビソットと越川のサーブを連続させていた

ビッグサーバーが連続してくるのはそれだけ大きいのである

自分はブラジル戦の前からブラジル戦なら石川、柳田対角で行くべきだと主張した
理由は簡単
サーブ強化のためだ
個々の力量ではどうしてもブラジルに劣るし戦術レベルでもブラジルに及ばない
つまり普通にやってたら負ける相手なのである
バレーボールなんか特に積み重ねではなくセット毎にリセットされるスポーツなので力の差が勝敗にダイレクトに結び付きやすい

だがバレーボールにおいてサーブはそこの力量の関係をひっくり返す力がある

だから柳田をスターターに使うべきだと主張していた

また、西田、柳田のサーブのローメーはセッターが前衛である
関田も藤井も世界的に見たらかなり低身長でブロックの大きな穴でありこの上を抜かれることは多いし上を抜かれたらどうしようもない
そのため、その穴をリカバリーするためにもこの二人のサーブで崩す事は必須条件だ

また、このセットは慣れもあるのかサイドにしっかりブロックが付けるようになってきた

そのためブロックで仕留めたりする事も多くなった

サイドアウト力も柳田が入ることで向上したがブレイク力もかなり向上した

そのため、ブラジルと互角に渡り合うことができた
ただ最後の最後に藤井のトスが乱れ始め西田もちょっと強引に行き出した

この日の藤井は藤井らしくないと言うかブラジルのブロックのプレッシャーもあったのかサイドサイドでいつものように真ん中を通すことが少なかったりらしく無い感じではあった

その一方でブラジルは西田に対する警戒を強めてたのでブロックのセンター線への意識が薄かった

サイドへのトスは4セット目の終盤までは普通に良かったのでもう少しセンター線を積極的に使っていければまた結果も変わってきたと思う



まとめ

このブラジル戦は日本の現在地をよく表してくれた

サーブがしっかり効果を出してレシーブで粘れれば善戦は出来る

だが勝つにはもうワンステップ進化する必要がある

また、1セット目は兎も角、3セット目でワンサイドになったのは戴けない
相手の消耗具合にも関わるからだ

だからもう少しサーブレシーブの強化は必要だし何回も言ってるが4枚レシーブのオプションも用意すべきだと思う

ブロックに関しては途中から質は良かったがこれを常に保てるようにしなければならない




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