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Spoonで音楽活動を始めたい人へ④【リレー編】

<前章>

Spoonで音楽活動を始めたい人へ③~マネージャー編~

マネージャーと並んでSpoon特有の文化(僕が知らないだけで他の配信アプリにも有るのかもしれないが)と言えるのが、リレーという企画だ。複数のDJが予め決められた順番で配信をしていくもので、次々と配信のバトンを繋いでいく様子からリレーと呼ばれている。かく言う僕も、規模の大小問わず色々なリレーに出演してきた。今回は、そんなリレーに対する僕の考え方を述べていきたい。

リレーに参加するメリット

一番のメリットとしては、配信者同士の繋がりが広がるということだ。普段は関わりの無かった他の出演者とリレーを通して繋がる事ができる。SpoonはSNSである以上、人と繋がってナンボであることはこれまで説明してきた通りだ。そういう意味では、リレーに出る事の最大のメリットと言えよう。

それに関連して、普段は自分の配信には来ないようなリスナー達もリレーの流れで来てもらいやすくなる。というのも、リレーというのは本来バラバラであるはずの各出演者の配信が、リレーという企画の枠組みで1個のイベントとなるからだ。

残念ながら、その後も継続して自分の配信に来てくれることはあまり無いのだが、ひとりでもそこから付き合いが続いてくれればリレーに出た甲斐があったと言っていいだろう。そういう意味では、リレーには多少の宣伝効果もあるのだろう。

また、いつも配信を聴きに来てくれるリスナーにとっても、自分の推しがイベントに出て輝いている姿は喜ばしいと思ってくれる人が多い。自分の出番の時は主役になったつもりでパフォーマンスをするといいだろう。それが日頃応援してくれてる人たちへの恩返しになるはずだ。

配信者としては、リレーという明確な目標があることによってモチベーションの維持にもなっていると思う。30分から長くても1時間そこらの限られた持ち時間で、いかにリスナーに楽しんでもらえるパフォーマンスができるかを考えることは自分自身の成長にも繋がるだろう。

その他のメリットとしては、下世話な話になるが、いつもより色々稼げるということだ。Spoonのリレーはイベントだから応援しないと!という風潮が強く、いつもよりも課金アイテム(特にバスター)を投げてもらいやすい。

その結果、DJ本来の力量以上にランキングが高くなる傾向にあるのだ。普段の配信では見たこともないようなアクティブ数やハート数を見て、ちょっとした人気配信者気分を味わえることだろう。無論それは一時の錯覚に過ぎないのだが…。

本当にあったヤバいリレー

では、Spoonのリレーは何でも積極的に出た方がいいのか?というと、僕はそうは思わない。というのも、リレーには必ず主催者(運営スタッフ)という存在が伴うからだ。そしてリレーのクオリティや満足度は彼らの運営手腕によるところが非常に大きい。

そしてSpoonは、誰でも自由にリレーを主催できる。イベントを企画して運営した経験がない人でも、自分の仲良しの人を集めてそれっぽい画像を作ってTwitterなりで告知さえすれば、晴れてリレーの主催者を名乗ることができる。つまり、リレーの主催をするからといって運営の手腕は必ずしも担保されていないのだ。

まかり間違って酷い運営のリレーに出演してしまった日には、配信者としての自分の価値を大きく落とすことになる。それを避けるためにも、あくまで僕の主観ではあるが、出演を見送った方がいいリレーの特徴をケースごとに述べていこう。

ケース①:出演者より主催のアタシを見て!!なリレー

まずは、出演者よりも主催(もしくは運営スタッフ)が必要以上に目立とうとするリレーだ。音楽のライブ配信である以上、主役はDJ達のはずである。しかしこういう手合いは、自分がリレーを主催することそのものが目的となっていて、本質的には出演者のことなどどうでもいいと思っているのだ。

こういう主催の特徴としては、出演者でもないのに隙あらば自分の名前を入れたがる。例えば、企画の定期やフライヤー等に「提供:〇〇」とか「〇〇presents」だとか入ってることが多い。宣伝に力を入れているリレーだとCM動画もあったりするのだが、出演者と同等かもしくはそれ以上の熱量でマネージャーだとか運営スタッフまで紹介されていたりして正直言って笑ってしまう。

まともなリスナー達からしたら、企画に出演しているDJの音楽を聴きたいわけで、誰が主催するとか誰が誰のマネージャーをするだとかは本当にどうでもいい情報のはずだ。それにも関わらず、主役のDJを差し置いて自分たちへの注目を必要以上に集めたがるのは、主催である自分が主役であると思っていることに他ならない。そして無駄に長い閉会式を開いて、主催である自分への感謝や労いの言葉をカツアゲする。そこにはもはや音楽は関係ない

ケース②:人気そうなDJは大体アタシの友達!!なリレー

次に、自分自身はろくに音楽活動をしていないのに人気配信者やCHOICEばかり集めたリレーをしたがる主催者だ。出演者はあくまでみんな自分の音楽のお友達と称することによって自分の人脈をアピールし、さも自分が大物敏腕プロデューサーかのように振る舞っている。豪華な出演者を集めた企画をできる自分を賞賛し崇め奉られたいのだろう。

こういう主催の特徴としては、出演者の情報を小出しにしたがる傾向にある。人気の配信者をちょっとずつ発表することによって注目を集めたり、シークレットとして当日大物配信者を出演させる等のサプライズ演出が大好きだ。シークレットにされたDJのファン達の都合など考えない。なぜなら自分のこだわりの方が優先だからだ。

そして、自分がいかに優れた主催者であるかを誇示するためにいつまでも過去の実績を語り続ける。他の大規模なリレーがあると、過去に自分の企画にも出演したことのある人気DJ達を列挙し、「私の企画にも出てくれた〇〇ちゃん頑張ってね!」と応援するテイを取りながら自分の人脈博物館をアピールしだすのだ。まるでキモヲタがフィギュアのコレクションを自慢するかのようである。そこにはもはや音楽は関係ない

ケース③:アタシの推しの引き立て役にしてあげる♪なリレー

他には、人気配信者のマネージャーが自分の推しを目立たせるためだけのリレーだ。だいたいこういうリレーは規模だけが大きく、フェスと名乗っていることが多い。出演者数が多いほうが自分の推しを目立たせるのにより一層効果的だからだ。フェスとしての体裁を整えるために出演者を集め、自分の推しを大トリに持ってくるのだ。

こういう主催の特徴として、自分の推し以外には対応がぞんざいであることがほとんどだ。所詮は自分が推しを主役にして褒めてもらうためだけの茶番なので、フェスという大舞台を作る人数合わせのために呼んだ他の出演者などどうでもいいのだろう。むしろ、自分の企画に“出させてあげた”とさえ思っているのだ。

そしてリレーの規模が本人の運営能力のキャパを超えてしまうのだが、あろうことかうまくいかなかった理由を他の出演者のせいにする。本来は、そんな茶番にも時間を割いて付き合ってくれる出演者に感謝こそすれ、自分の運営能力の低さの責任を押し付ける道理はないはずである。そこにはもはや音楽は関係ない

ここまであげた3つの例に共通するのは、どれも主催が自分の承認欲求を満たすためにリレーを利用していることだ。出演者の音楽なんてどうでもよく、自分の感情が最優先。だって自分が主催なのだから!!出演者は全員自分の言うことを聞いて当たり前!!そんな自分の企画に出させてやることに感謝しろ!!自分が自分が自分が!!

そう、彼らにとっては出演者など自分を飾り立てるアクセサリーくらいにしか思っていないのだ。ライブハウス等で企画をしたことのある人にはわかると思うが、本来ライブの主催というものは、自分の企画に“出してあげる”のではなく“出てもらう”という立場のはずだ。そこに根本的な勘違いがある。

もちろん出演者が上だということではないが、出演者へのリスペクトを欠いた企画は、理想ばかり先行して地に足が着いていない。そんなリレーに出たいだろうか?僕は頼まれても出たくない。

リレーに参加するかどうかの基準

では、そんな地雷リレーを踏まないためにはどこを見ればよいか?僕なりにそのリレーに出るかどうかの判断基準をまとめてみたので参考にしてもらいたい。

一番わかりやすいのは、テーマが明確に決まっているリレーだ。特定のテーマを設定しているリレーは目的がわかりやすいし、主催が必要以上に出しゃばることも少ないはずだ。例えば、特定のアーティストやジャンル縛りのリレーがこれに当てはまる。サザンやミスチルは特に人気で、頻繁に縛りリレーが開催されている。僕が主催した赤花フェスでは沖縄音楽と沖縄県への寄付の啓発をテーマにした。

きちんと音楽活動をしている人が主催するリレーもおすすめだ。そういう主催者は、プレイヤー目線で出演者が望んでいることを理解しているし、自分のキャパをわかっているので必要以上に手を広げようとしない。自分の企画に真摯に向き合っている人ほど出演者をちゃんと厳選するので、仮に誰かがキャンセルになった場合の穴を埋めるのが困難だからだ。出演者の人数もだいたい5~6人くらいに収まっており、企画としてバランスがとれているのだ。

大きめの企画に出たいなら、ちゃんとオーディションがあるものをおすすめする。というのも、大型の企画ほど毎回似たような顔ぶれの出演者だし、今まであった大型のリレーの焼き直しであることが多いからだ。その点ちゃんとオーディションがある企画は、Spoonでの人気や実績に関係なく誰でもチャンスがあるし、公正に審査してもらえる(はず)だ。

まとめると、リレー自体にちゃんとしたテーマがあるかどうかと、主催に音楽活動の経験があるかどうか、そして大型のリレーであれば公正なオーディションがあるかどうかがポイントになるだろう。

ざっと思いつく限りで挙げてみたが、あくまで安全である確率が高いだけであって、必ずしも安全を保障するものではないことは理解してもらいたい。もちろん、僕が知らないだけでこれらに該当していなくても素晴らしいリレーはあるのかも知れない。前章で述べたマネージャーと同じく、結局はリレーを主催する人の資質の問題ということだ。

リレー編のまとめ

Spoonで音楽活動をしていると、リレーに出演することが配信者としてある種のステータスだと思ってしまうことがあるだろう。自分がSpoonの音楽配信者として認められたという感覚になるのではなかろうか。そうなってしまうのも仕方ないことだと思う。SpoonはSNSだからだ。

リレーに誘われないことに疎外感をもってしまう人もいるはずだ。僕自身は、Spoonのリレーに誘われることは飲み会に誘われる感覚に近いと思っている。多くの飲み会(リレー)は、そのときの幹事(主催)にとって扱いやすい人(主催にとって都合がいい人)が誘われるのだが、一方で誘われなかった人は、どこか仲間外れにされた気分になることだろう。

あなたはどんな飲み会に参加したいだろうか?しょうもないサークルの薄っぺらい飲み会に今さら参加したいと思うのだろうか?気の合う仲間たちと少人数で飲んだり、雰囲気の良いバーでしっぽりと独りで飲みたい人だっているだろう。つまらない飲み会(リレー)に誘われなかったからといってあなたに魅力が無いわけではないのだ。

むしろSpoonでは、自分の配信に魅力が足りないと自覚している人ほど安易にリレーに参加しがちだと思う。リレーというパッケージでひとまとめにされることによって、そういう部分がうまく誤魔化されるからだ。つまらない中古の漫画をバラ売りするよりも全巻揃っていればブック〇フでも買取価格の査定があがるのと理屈としては同じだ。

思い出して欲しい。Spoonのリレーに誘われるために音楽をしているわけではないはずだ。もちろんリレーに出る事自体は悪い事ではない。しかし、本当に自分の音楽を良いと思って聴いてくれる人たちに精いっぱいの音楽を届けたいと思っているのなら、リレーなんか出なくても自信を持ってLIVE配信で自分の音楽をすればいいのだ。Spoonでは、必然的に常にワンマンライブなのだから。

そしていつかはあなた自身がそういう仲間を集めてリレーを主催すればいいのだ。自分がやりたいことは自分で実現する。とりもなおさず、それは本当のライブを企画することと同じであるはずだ。

<次章>

Spoonで音楽活動を始めたい人へ⑤~総括編~

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