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僕はマーキュリアルが履けない

 マーキュリアルって知ってますか?NIKEのサッカースパイクなんですどね。ロナウドとかネイマールみたいな選手が履いてるやつなんです。軽くてカッコいいドリブラーの為の靴で、サッカー少年が憧れて履いてるんです。僕はそれが羨ましくて仕方が無い。細身なマーキュリアルは、幅広の僕には入らないから、他のを選ぶしかない。憧れても、スターとお揃いにしたくても足の形が理由で諦めなくちゃいけない。いつしか僕にとってあの靴はコンプレックスの象徴になってしまいました。

 小さい頃から人付き合いが苦手な僕にはサッカー部が苦手でした。それでもW杯をきっかけにサッカーに惹かれ大好きになりました。見るだけだったのが下手くそながらも練習するようになり、スパイクを買いました。初めはプレデターそしてXから、Tiempo。底がすり減る度に、淡い期待を込めてマーキュリアルに足を入れようとしました。まるでシンデレラになれなかった意地悪な姉のように,,,

 僕にとって、人生はそんなモノです。背が低いだけで相手にされなかった初恋の人、出たくても許されなった地元。満たされないまま、期待を下げて生きていく事が自分の生きる道の様に思えました。自分の身の丈なんて言葉が痛いほど耳に入ってきます。
 
 サッカーにハマった友達が苦も無くあの靴を履ける事で劣等感と嫉妬で気が狂いそうでした。どうして僕はマーキュリアルを履けない人生なんでしょうか。いつか、気にしなくなる日が来るんでしょうか。誰かにこの気持ちが分かるんでしょうか。あれを履けたら僕の人生はバラ色なんでしょうか。分からないまま大人になってサッカーをやめる日が来る気がします。

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