ステーキングの危険性について

もうすぐWSOPが始まりますね。自分もラスベガスに行きますので楽しみです。それもあって、ちょっとポーカー界隈で、ステーキングについて話題になってます。

優勝して数万ドル程度のトーナメントなら、特別大きなトラブルになることはそんなに無いでしょう。

しかし、優勝して数十万ドルになるトーナメントのステーキングには実はとても大きな落とし穴があるのです。それをここで解説していきます。


こちらの記事を購入済みの人は、今回の記事と同じ内容のものを最後にコピペで追加しますので、今回の記事を購入しなくても良いです。



多分、ステーキングの一番の問題は、詐欺行為だと思っている人が多数いる印象です。

10000ドルトーナメントに出場すると言ってお金を集め、実際は出場しなかったとか、参加してチケットを貰い、その後キャンセルしてトーナメントに実際には出場しなかったとか、10000ドルトーナメントに交わらない複数のコミュニティーの人から合計20000ドル集めてわざとインマネしないようにプレイしたとか、そういうトラブルはちょくちょくあります。

有名なところでは、2006年のWSOPメインイベント優勝のJamie Goldでしょうか。彼は知人に参加費の半分の5000ドルを出してもらい、賞金を折半する約束で出場しました。

そして優勝し、1200万ドル(WSOPメインイベントで最多人数かつ最高賞金)を獲得しました。

その後彼は、

「いや、ステーキングなんて受けてない。賞金は全額俺のものだ」

と主張します。乗った方はたまったものではありませんね。そこで裁判が始まります。その後、電話の通話記録が証拠となって、半額を返すことになりました。

これだけ聞くと、お金にガメついのかなと思いますが、でも彼はディーラーへのチップとして、一般的な1%である12万ドルではなく、50万ドル払ったんですよね。多くの参加者からはめちゃくちゃ不評でした。だって、次の年優勝してちゃんと1%払っても、絶対に前年のJamieGoldと比較されてケチ扱いされますから・・・



すこし話がそれましたね。でもそれ、ステーキングする相手が信用できるかどうかが大切だし、信用できる相手だったら乗る側はそんなリスクないのです。大きな問題は、乗ってもらってプレイする側なのです。まあ、それに派生して、乗った側にもトラブルの火が燃え移る可能性は十分にありますけど。


トラブル例1(なお、これはトラブル例2よりもトラブルが小さい例です)

WSOPメインイベントにある人が出場することにしました。その乗ってもらう側が、プロ(日本では専業と名乗る人が多いですが)、要するに他の仕事を持っていない人だとします。何人かに分割していることが多いとは思いますが、1%=150ドルで60%を乗ってもらってプレイしたとします。本人の取り分は40%で、合計で9000ドル払ってもらっているので、本人のリスクは1000ドルですね。まあ良くある数字です。ちょっと説明の便宜的に、1万ドルではなく100万円ということにします。

賞金を獲得した際は、税引き後の金額を渡す、との約束が事前にしっかりなされていたとしましょう。

そしてプレイし、ファイナルテーブルまで進出して1億円獲得したとします。勿論、約束通り6000万円から税金になると思われる金額を引いたものを渡すことにします。


トーナメントの賞金はいつももらえるものではありません。なので、1億円の賞金を一時所得で申告することにします。

一時所得だと、金額の半分が課税対象です。なので5000万円ですね。5000万円に対する税金は

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

所得税=5000万×0.45ー480万円=1770万円。

住民税=5000万×0.1=500万円。

トータルで2270万円。

なので、賞金を7730万円とみなし、そのうちの60%に当たる

7730×0.6=4638万円

を出資者に分配しました。

そして、翌年の3月の確定申告後に、2270万円の住民税を支払いました。手元に残ったのは3100万円ほどです。


トラブルになる要素が全く見当たらないと思いますか?

もし思ったのなら、あなたはめちゃくちゃ深刻なトラブルを抱える可能性が高いです。


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