2017年声優曲kieru的BAEST10

■2017年声優曲kieru的BAEST10

はじめに。
個人用メモ。これは2017年の声優曲の記憶を保存しておくメモです。
①~⑩は発売順で並べました。
2017年はちょっとした声優自身の縁や私個人的な縁を感じた声優曲が選出されました。
音楽自体の良さも勿論ですが、
その声優を取り巻く背景や文脈がより鮮やかに感じた声優曲を選んだという結果になりました。

■2017年声優曲kieru的BAEST10
①Live & Try/高垣彩陽
②TOMORROW/Machico
③逆転Devil & Angel/サターニャ(CV:大空直美)&ラフィエル(CV:花澤香菜)
④Shocking Blue/伊藤美来
⑤カナリヤ [ANIME SIDE]/ニノ(CV.早見沙織)
⑥ハニーアンドループス/豊崎愛生
⑦悲劇なんて大キライ/安野希世乃
⑧真夏の夜のパレード/小松未可子
⑨フワリ、コロリ、カラン、コロン/夏川椎菜
⑩夢の果てまで/早見沙織

■各曲感想


Live & Try/高垣彩陽
発売日:2017/01/18
作詞:カノン
作曲:カノン
編曲:カノン、未知瑠

高垣彩陽、ミソティーン(三十路)となって得た一つの到達点。
高垣彩陽/カノン/未知瑠の組み合わせは「記憶の湖」以来となる。(アルバム「individual」に収録)
今年私は未知瑠に兎に角、縁を感じた。得に以下の三点で。
・昨年のアニメ「終末のイゼッタ」で劇伴を担当していたという印象。
・「TickTack…Bomb/内田真礼」「光のはじまり/南條愛乃」などにも未知瑠の名前を目にした。
・(コレは個人的にではあるが)私の知人に未知瑠のリアル知人がいた。
カノンは言わずと知れた金色のコルダOP/グイン・サーガEDのカノン、その人である。
コルダ好きあやひー/カノン/クラシカルな楽曲という取り合わせは説明するまでもなく絶妙にマッチしている。
あやひー自身、ずっと前からパッヘルベルのカノンのアレンジで歌唱したいと熱望しており、
それがかなった一曲が「Live & Try」となる。
勿論これは「記憶の湖」がなければこの組み合わせにはならなかったのだろうし、
あやひーがコルダを好きでなければ、実現しなかった一曲なのだろう。
そう考えると、人の縁は趣深い、と感嘆せざるを得ない。
パッヘルベルのカノンの音階でコーラスを入れたり、
とてもクラシカル寄りのポップ調で紡がれる高垣彩陽の音楽。
趣向が至高に転換されている。
また、歌詞もとても前向きで素敵である。
タイトルの通り「Live&Try」が主題となっている。
特別じゃない日なんてない日々を生きながらその瞬間を忘れないように。
自分に嘘をつかないで。心が思うままに明日にTryしていこう。
そんな前向きな歌詞となっている。
これは高垣彩陽が2016年に30歳までやりたかったことである「NYへ一人旅」へ行った際に得たインスピレーションも含まれている。
あやひーが海外で一人奮闘している姿は、海外の人たちにとっては毎日の日常風景である。
逆に、海外の人たちが日本を訪れているという風景も何気ない日常として過ぎ去っていく。
でも、それぞれ一人一人にとってはそこに”特別な毎日”がある。
それは明日に向かってTryしていくという精神が今日という日を特別なものにしていくんだ。
そういう思いが強く強く込められている。
高垣彩陽が30歳を経て、一つの成長をして。
自分で掴み取った縁/歌/経験がぎゅぎゅっと詰まった一曲となっている。


TOMORROW/Machico
発売日:2017/02/01
作詞:桜アス恵(Try Tone Labo)
作曲:岡野裕次郎(Try Tone Labo)
編曲:岡野裕次郎(Try Tone Labo)
TVアニメ「この素晴らしい世界に祝福を!2」オープニング主題歌

兎にも角にも、そうる透のドラムさばきに酔いしることができる一曲。
そうる透(現在59歳)の伝説についてはWikipedia等で参照して欲しい。
(抜粋:LUNA SEAの真矢やTOKIOの松岡昌宏などは弟子にあたる。
  最近は天童よしみのライブでドラムを叩いている。)
私はサイキックラバーのライブでそうる透のドラムさばきを幾度となく目撃している。
まさに芸術的であり、その演奏をみているだけで惚れ惚れしてしまう。
その演奏風景が強烈にイメージできるほどTOMORROWのドラムの音の正確さ/速さ/リズムは最高に気持ちがいい。
ドラムスの音を耳で追いかけているだけで楽しい。
また、調べたところ収録時の演奏にはそれぞれ、
・ギターに元東京事変の昼海幹音
・ベースにストレイテナーやNothing's Carved In Stoneなどで活動中の日向秀和(ZAZEN BOYSのベーシスト)
も加わっているらしい。
私自身、現代日本の音楽シーンにそんなに詳しくない。
それぞれの二人の詳細な略歴がわからなくて申し訳ないが、
私でも名前くらいは知っているバンドに携わっていたことくらいはわかる。
だが、そうる透のドラミングは生の演奏とその凄みは体感しているつもりである。
そのため、第一印象でドラムスのエモさは感じることができたし、
その演奏をしているのがそうる透であると知って、合点がいったのを覚えている。

また、Try Tone Labo関連の声優楽曲にも触れておく。
個人的には「マケン姫っ!通 イメージソング」の印象が強い。
「愛情・測定不能/櫛八イナホ(野水伊織)」、「TRUE LOVE!!/志那都アズキ(富樫美鈴)」
「TOP SECRET/姫神コダマ(矢作紗友里)」は桜アス恵、岡野裕次郎らが関わっている。
そしてどれも声優曲としてはかなり尖ったセンスを感じていた。
最近では「武装少女マキャヴェリズム」EDの
「DECIDE/天下五剣(鬼瓦輪(CV:高田憂希)、亀鶴城メアリ(CV:北原沙弥香)、眠目さとり(CV:西田望見)、花酒蕨(CV:日高里菜)、因月夜(CV:日岡なつみ))」
は桜アス恵作詞である。

作詞/作曲、そして演奏者の観点で個人的な興味が集約していた一曲であると言える。
Machicoの声優としての興味、また他楽曲への興味は個人的には足りないとは思いつつも、
「TOMORROW」は2017年の声優曲としては間違いなくBEST10入りする仕上がりを魅せていると感じている。

今までの流れとは関係ないが、
「ずっと/堀江由衣」をそうる透の生演奏で聴いてみたい欲をずっと持ち続けている。


逆転Devil & Angel/サターニャ(CV:大空直美)&ラフィエル(CV:花澤香菜)
発売日:2017/02/22
作詞:吉田詩織
作曲:片平翔大
編曲:ミツル

大空直美と花澤香菜による声優メタル曲。
ガヴリールドロップアウトのOP/EDは近年稀にみる異次元的な声優曲と評価できるだろう。
「ガヴリールドロップキック」「ハレルヤ☆エッサイム」も
勿論、非常に面白い複数声優による破茶目茶な声優曲に仕上がっている。
変調、ラップ、キャラ台詞が怒涛のように流れていき、滅茶苦茶な歌詞とテンションで攻めてくる。
そしてすべてが過ぎ去った後/アウトロには清々しい気分になれる。
それはひとえに天使たる富田美憂の歌声が主軸となっているからこそ成立している節はある。
少し主題が離れてしまった。
ガヴリールドロップアウトのOP/EDも魅力満点ではあるが、個人的にはカップリングも秀逸。
声優曲に対していくらでも遊んで良いという創作者たちの趣味の無茶振りと
それに真摯に答えている声優達の図が想像できる。
その中でも「反転Devil & Angel」がひどくメタル要素が強く、印象に残った。
私自身、メタルに対する素養は皆無である。
けれども、
テンポの速さや音階の運び、ギターのギュインギュイン具合と間奏でのギターソロ、
そしてデスヴォイスのバックコーラス。それらはまさしくメタルだろう、ということは感じる。
また創作者たちが確信犯的に声優にメタル曲を歌わせていることが感じ取れる。
大空直美と花澤香菜のデュエットによる歌声がその趣味全開の楽曲を綺麗に制御している。
そういう点が声優楽曲の美徳の一つでもある。そういう認識をしている。
別に本人たちは一般的なキャラクターソングの延長として歌っているのだろう。
歌声自体は別にメタル要素を加味しているわけではない。(と感じる)
このバランスの良さというか、ギャップ的な部分を個人的には評価している。


Shocking Blue/伊藤美来
発売日:2017/05/03
作詞:森由里子
作曲:園田健太郎
編曲:園田健太郎
TVアニメ「武装少女マキャヴェリズム」オープニング・テーマ

鮮やかなブラスサウンドと伊藤美来の幼さが残る淡い成長。
ブラスサンド全開の声優曲というはなんとも気持ちがいい。
それを再認識させてくれた一曲。
「武装少女マキャヴェリズム」は学園バトルモノラブコメである。
そして、その主題歌たる「Shocking Blue」は青春という青さからの成長というのが曲のテーマでもある。
そこに伊藤美来の等身大の幼さが残りつつも
彼女の成長を感じさせる一曲となっているというのが世間的な評価なのだろう。
確かにその見事さは何度も聞くことで体感することができる。
元々は大人なお姉さん的な大人な立場で青春という青を表現する予定だったが、
ディレクターに「等身大の今の伊藤美来の歌にしたい」
「自信はないけど、堂々と歌っているように」とディレクションされたという。
それが結果として”幼さの残る成長”として上手く表現できたように思える。
そしてその歌唱表現だからこそ「武装少女マキャヴェリズム」の青春/成長とうまくマッチできていた。

個人的には、声優・伊藤美来としては2017年は武装少女マキャヴェリズムよりも
アクションヒロイン チアフルーツの方が印象深い。
声質や演技のテンションはチアフルーツで掴めたのではと感じている。
「Shocking Blue」で培われた等身大の伊藤美来という表現が
アクションヒロイン チアフルーツの自信満々な演技に反映できているとも妄想できる。
そういう地続き的な側面もあり、今後の伊藤美来に期待が持てる一曲となっている。


カナリヤ [ANIME SIDE]/ニノ(CV.早見沙織)
発売日:2017/05/17
作詞:福山リョウコ
作曲:NARASAKI
編曲:in NO hurry to shout;
TVアニメ「覆面系ノイズ」挿入歌

声優界の化物/早見沙織が本物の化物となる2017年声優曲を代表する1曲。
個人的に2017年の声優楽曲シーンを語る上で覆面系ノイズは外せないだろう。
アニメ/声優観点でも覆面系ノイズの年だったと言える。
・覆面系ノイズは花とゆめコミックス原作の少女漫画
・高校生たちの青春片恋物語
・作品舞台は部活での学園バンドとプロの音楽業界世界
・早見沙織・高垣彩陽によるオルタナティヴ・ロック歌唱表現
幾つかの複雑な設定群がプロの音楽家たち/表現者たちによって、
一つの曲として完成したことへの感謝。そういう気持ちが尽きない。
それぞれがプロの仕事をして、最終的には作品の主軸となる主題歌/挿入歌に帰結する。
奇跡などではなく。
それぞれがプロの仕事をした結果としての音楽であることを感じ取ることができ、
そういう楽曲制作に早見沙織/高垣彩陽が共に関わっていたことに感謝したい。

勿論、今までもそしてこれからもバンドモノの漫画/アニメ/ゲームは乱立していき、
その中でもそれぞれがプロの仕事をした結果、
素晴らしい声優楽曲が生まれいた/いる/いくことは想像できる。
だが、私の中ではなぜだか覆面系ノイズにはそれらとは一線を画する何かを感じずにはいられなかった。
それを言語化することは極めて難しい。
だが、今この感覚は断片的にでも今このときにまとめておくべきだろう。

兎に角、2017年9月30日(土)に開催された
「覆面系ノイズスペシャルライブイベント」での覆面系ノイズ曲の生バンドによるライブが素晴らしかった。
ライブ音源はなんと、覆面系ノイズベストアルバムである
「ALICE ~SONGS OF THE ANONYMOUS NOISE~<初回仕様盤> (2枚組)」
(シングル表題曲全7曲と新録4曲、未発表1曲、の豪華仕様!
  初回仕様盤には9/30開催のスペシャルライブのライブCDが付属! )
に収録されている。
したがって、
このアルバムを購入すれば覆面系ノイズの声優楽曲の素晴らしさを手軽に触れることができる。

カナリヤ [ANIME SIDE]以外にも
私の声オタ心/音楽の感性に触れる楽曲が多い。いや、ほぼ全ての楽曲が私の心を掴んで話さなかった。
そういう意味でも「覆面系ノイズ」の音楽の”凄み”を感じていた。
・ハイスクール [ANIME SIDE] -Alternative-
・スパイラル
・ウェンズデイビューティー
・アレグロ
・ノイズ
など早見沙織歌唱も素晴らしいが、
・ハイスクール [ANIME SIDE] -Bootleg-
・FALLING SILENT
・IMITATION DOLL
などの高垣彩陽歌唱曲もまた素晴らしい。
個人的には「FALLING SILENT」が第一印象で一番の”すごみ”を感じていた。
だけれど、覆面系ノイズ音楽制作陣のインタビュー記事などをみたり、
アニメ本編を視聴し続けていった結果、
高垣彩陽歌唱曲よりも早見沙織歌唱曲こそがこのアニメの主軸・主役であり、
そのように楽曲作りをしていることを体感していった。
そして「覆面系ノイズ」アニメで一番の盛り上がりを魅せる楽曲が
カナリヤ [ANIME SIDE]なのである。
※いや、別に上記の覆面系ノイズ楽曲たちにまったく優劣はないので、
 BEST10に選出するならカナリヤかな、という程度ではある。
 個人的には覆面系ノイズだけでBEST10を独占してしまう、くらいの感覚である。

早見沙織/高垣彩陽は両名とも歌唱の名手ではあるが、
オルタナティブ・ロックというジャンルへの挑戦はお初だった。
それぞれ二人にない音楽領域の道を示してくれたのが、
覆面系ノイズであり、その楽曲たちである。
その事実こそが、二人の声優人生にとっての宝物になること確信させてくれる。
そういう楽曲と出会えた縁に感謝しかない。

総じて。
声優たちがこんなにも汚ねぇ音でラウド/シャウト/オルタナ歌唱をしてくれている。
そういう感動が様々な背景とともに音楽となって襲ってくる。
一生語り継いでいくべき声優曲である。


ハニーアンドループス/豊崎愛生
発売日:2017/05/31
作詞:仁科亜弓
作曲:古川貴浩
編曲:古川貴浩
TVアニメ『プリプリちいちゃん!!』のEDテーマ

豊崎愛生による渾身のプリティなダンスナンバー。
豊崎の15枚目のシングル。30歳にしてMVでプリティなダンスを魅せる。
しかも赤いロングスカートでお尻をふりふりさせながらキュートに踊っている。
素敵な30歳を飾るのに相応しい。
ポップさもありつつ、ディスコ風味のダンスミュージックと豊崎さんの歌声の優しさがたまらない。
元々15枚目のシングルはダンス的な要素は考えていなかったらしい。
TVアニメ『プリプリちいちゃん!!』のタイアップが決まって、
監督/池添隆博がEDはキャラクターたちにダンスを踊らせたい、
という要望から、この曲の方向性が決まったらしい。
ありがとう監督という気持ち。
作曲/編曲は古川貴浩。
古川貴浩=戸松遥曲というイメージが強かったが、2017年でお初の豊崎愛生への楽曲提供。
こういう新鮮さな組み合わせも相まって、個人的に好感度が高い。

『プリプリちいちゃん!!』が童児向けの朝のアニメだけあって、
「ハニーアンドループス」を一緒に踊ってみようというようなプロモーション展開をしていた。
その効果で童児たちが次々に「ハニーアンドループス」の踊ってみた動画をYou Tubeなどにアップロードしていった。
それを検索して微笑ましく見守る豊崎愛生さんの図。
これだけでも相当な美しさを備えている。
そりゃ豊崎さんも
自分の曲/ダンスを童児たちが必至に踊っている動画がこの世に存在している、
ということを実感できたら、嬉しいに決まっている。
声優を続けていてこういう種類の幸福なこともあるのだなーと思ったのだろう。

つまり、声優、アニメ、監督、童児。
それらが渾然一体となった多幸度の高いダンスナンバーである、と言える。

また、豊崎さんは元々このタイアップシングルが決定する前に
『プリプリちいちゃん!!』のオーディションを受けていたとのこと。
しかしながらちぃちゃんは豊崎さんをおさえて、村川梨衣となった。
『プリプリちいちゃん!!』は原作・篠塚ひろむであり、代表作は「ミルモでポン!」
豊崎自身、幼いころに「ミルモでポン!」をみていたため、
「プリプリちぃちゃん!!」のオーディションにも気持ちがはいってたことが想像できる。
その後は音沙汰はなかったが、15枚目のシングルとタイアップが決まったとの報告を受け、
さらにはのんちゃん役も決定した。
声優人生、こんなにもサプライズばかりで。
そういう流れも含めて、この曲をきくとまた趣深い。
豊崎さんも中原麻衣ちゃんの声で育ったのだなーとも考えると、また趣深い。

以下、備忘録。
カップリング曲の「ランドネ」(作詞/作曲/編曲:佐藤良成)もまた素晴らしい。
豊崎愛生によるハイキング/山登り/キャンプをイメージした優しい歌。
2017年の豊崎さんはキャンプにお熱であった。
また、作詞/作曲/編曲:佐藤良成=ハンバート ハンバートは豊崎さんが大好きな二人組デュオのひとつ。
さらにずっと楽曲提供を熱望していた音楽家でもある。
佐藤良成は「この素晴らしい世界に祝福を! ED」の「ちいさな冒険者」を担当しており、
このすば二期で豊崎さんのキャラが追加され、さらに二期のED「おうちに帰りたい」も佐藤良成楽曲である。
(どうやら佐藤良成はその前から豊崎さんのことは知っていたらしいが)
どこか牧歌的な緩やかなフォークソングと豊崎さんの優しい歌声は見事にマッチしていて、
かつ、豊崎さん待望のハンバート ハンバートとのコラボがこのすば二期と同時並行でなされていて。
そういうご縁があることを如実に感じさせてくれる1曲であることをここに記しておく。


悲劇なんて大キライ/安野希世乃
発売日:2017/07/26
作詞:堂島孝平
作曲:堂島孝平
編曲:堂島孝平

戦術音楽ユニットワルキューレから飛び出した一粒の涙。
「涙目爆発音/ワルキューレ」は作詞/作曲は堂島孝平。
それから「悲劇なんて大キライ/安野希世乃」が生まれている。
「悲劇なんて大キライ」は安野希世乃1stミニアルバム「涙。」に収録されている。
この「涙。」はワルキューレ曲の制作に携わった作家陣が参加している。
FlyingDog内で安野希世乃の歌唱に対する反応がよかったのだろう。
特にワルキューレにおける
安野希世乃メインボーカル曲「AXIA~ダイスキでダイキライ~」の優しくも儚い歌い方も評価されたのだろう。
そして、その儚さ/切なさにおける「歌声の泣き」が良いところが高く評価されて、
「涙」をコンセプトにアルバム制作をするという結果となった。

こういう地続き的な繋がりが声優活動に大きく作用しているからこそのアウトプット。
それだけでも大いに感慨深いものがこみ上げてくる。
「涙。」のアルバムの中でも「悲劇なんて大キライ」は特殊で、
「涙目爆発音」にも通じるロックテイストで安野希世乃の力強い歌声を堪能できる。
本人は歌謡ロックのノリで思いっきり気持ちを込めて、こだわりを持って制作していたという。
(レコーディングは8時間半とのこと)
そのこだわりの熱量は3分50秒という時間に込められている。
そしてラスサビ前の
「ずっとね悔しくてたまらない 私に何ができたというの?あぁもう」
からの熱量が最高長になってからの
「悲劇め! さあ Get back!」のラストがとても強い仕上がりを魅せている。

総じて安野希世乃の「涙。」は「泣いてもいいよ」と
優しく暖かく包み込んでくれる良いコンセプトアルバムに仕上がっている。
だが「悲劇なんて大キライ」はその涙の感情を蹴り飛ばし跳ね返す熱量があり、
アルバム内のバランスの良さが一層際立つ一曲であるといえる。


真夏の夜のパレード/小松未可子
発売日:2017/08/09
作詞:小松未可子、Q-MHz
作曲:Q-MHz
編曲:Q-MHz

小松未可子には夜の曲/雑踏/街が似合う。再認識。

『ボールルームへようこそ』第1期EDテーマ「Maybe the next waltz」のカップリング曲。
Q-MHzのプロデュースの元、歌詞創作などにも積極的に参加するようになった小松未可子、
というが最近の小松未可子の音楽活動の主軸である。
その中で生まれたのが「真夏の夜パレード」。
歌詞は夜の街をふらつきながら考えていたらしい。
キング時代の「トウキョウ・ミッドスカイ/小松未可子」も夜の街/雑踏/街をテーマして、
ピアノ・ドラム・ギターの軽快でかつ複雑なリズムの組み合わせが非常に心地良い楽曲であった。
そのテーマをQ-MHzと小松未可子自身でリビルドしたようなイメージが「真夏の夜パレード」にある。
Q-MHzプロデュースは、小松未可子自身の歌手としてのあり方を変えつつある。
きっと小松未可子自身、歌詞創作など創作することを楽しいのだと思える。
Q-MHz陣営に対しても自分のやりたいことや意見を積極的に提言しているのが伺える。
Q-MHz側もそれを組み入れようとし、色々な音楽の形を作っていっているのだろう。
そういう人間的な創作意欲が刺激された結果、小松は歌詞にも絡んでくるし、
自分の気持と向き合うような歌詞も生まれてくる。


夢見てる私が決して全てじゃないと気づかせて
描きなおした未来だってもしかしたらずっと楽しいかもね
夢と現実とがcrossing
その瞬間を焼き付けて
真夏の夜のパレード”次はどんな夢を見せてくれるの? よろしくね”って
夜が明けてゆく

小松未可子の生きている世界は夢/声優/歌手活動と現実の世界が重なり合い、
等身大の声優の気持ちというのを勝手に想像してしまう。
このような声ヲタ体験をさせてくれる声優/小松未可子をできるだけ見届けていきたいと素直に思える。


フワリ、コロリ、カラン、コロン/夏川椎菜
発売日:2017/08/30
作詞:雪沢実花
作曲:植松芳裕
編曲:植松芳裕
TVアニメ『プリプリちぃちゃん!!』の第2クールEDテーマ

超絶かわいい夏川椎菜による超絶かわいいEDMナンバー。
”最強の2ndシングル”と言える。
夏川椎菜の音楽活動のさらなる飛躍を期待できる1曲であり、
『プリプリちぃちゃん!!』のEDと奇妙にマッチした無重力感を味わえる。
EDのテーマは地底人と宇宙人とで宇宙でダンス。
宇宙でダンス=浮遊感、無重力感であり、
そのテーマと夏川椎菜の可愛らしい歌声が見事にはまっている。

『プリプリちぃちゃん!!』EDは豊崎愛生からのバトンタッチでミュージックレインの後輩/夏川椎菜に受け継がれた。
”最強の2ndシングル”を語る上ではまずは豊崎愛生の音楽活動を深掘りしていく。

(1)豊崎愛生1stシングル「love your life」(作詞/作曲:Rie fu)
(2)豊崎愛生2ndシングル「ぼくを探して」(作詞:Chara/加藤哉子、作曲:Chara)
(3)豊崎愛生3rdシングル「Dill」(作詞:原田郁子、作曲:ミト、編曲:クラムボン)
豊崎曰く、
レベル1でミュージックレインに所属してきて一番はじめに与えれれたのが(1)=アルテマウェポン。
そして二曲目としての(2)はレベルMAXの最強装備。
三曲目の(3)は後ろに巨大な召喚獣を背負っているようなもの。
そのような例え話を交えながら、
声優ソロアーティスト活動としてとても強い”武器”を与えられたため、
2009年から2017年まで音楽活動を続けられてこれた、といったように語っていた。

夏川椎菜の音楽活動の始動はまさにそれと似ているように思える。
(1)夏川椎菜1stシングル「グレープフルーツムーン」(作詞:坂井竜二、作曲/編曲:ミト(クラムボン))
(2)夏川椎菜2ndシングル「フワリ、コロリ、カラン、コロン」(作詞:雪沢実花、作曲/編曲:植松芳裕)

夏川椎菜は1stシングルからミト(クラムボン)作曲/編曲の楽曲を与えられた。
豊崎愛生でいえば、レベル1で最強の召喚獣を後ろに背負うような心強さ。
そして、そこからのレベルMAXの”最強”装備が「フワリ、コロリ、カラン、コロン」なのである。
この二曲さえあれば、今後のソロアーティと活動は十分に戦える。
そう確信させてくれたのが「フワリ、コロリ、カラン、コロン」であった。
個人的にはそのような印象が強い。
勿論今年発売の「グレープフルーツムーン」も個人的にすごく気に入っている。
だがどちらが今後の夏川椎菜の音楽活動の興味を強調しているかといえば、
やはり「フワリ、コロリ、カラン、コロン」なのだろう、という結論に至った。
ホップ、ステップが完璧にキメキメなので、
このまま今後の夏川椎菜の音楽活動のジャンプ/飛躍を予感させる一曲となっている。


夢の果てまで/早見沙織
発売日:2017/11/08
作詞:竹内まりや
作曲:竹内まりや
編曲:増田武史
劇場版『はいからさんが通る 前編 ~紅緒、花の17歳~』主題歌

早見沙織ソロ活動のネクストステージ。いや、リブード/再起動の一曲。
個人的な観測範囲では早見沙織のソロ活動は成功しているのか?
という話題に対して議論は尽きなかった。
昨年も同様な思惑がある中、早見沙織の音楽活動へのスタンスを私の中で整理した結果、
「Secret/早見沙織」を2016年声優曲BEST10に選出した。
それは私と早見沙織の関係の中でけで完結している話だった。
今回の「夢の果てまで」は早見沙織ソロアーティ活動において、
"メディアへの影響力"も鑑みた大きな第一歩であると理解している。
そういう意味合いも含めて
「夢の果てまで」が早見沙織のソロ活動再起動である、と宣言しておきたい。

その文脈を語る上では
劇場版アニメ「はいからさんが通る」とのタイアップについて深掘りする必要がある。
※ここでは原作などの基本的な情報に対しては説明を割愛する。
アニメオタク的な視点で申し訳ないが、
個人的には(以前からor最近で)以下の制作スタッフについての興味・関心があった。
(1)監督/古橋一浩
(2)背景デザイン・美術監督/秋山健太郎
(3)音響監督/若林和弘
(4)音楽/大島ミチル

(1)監督/古橋一浩
 近年では「機動戦士ガンダムUC RE:0096」「将国のアルタイル」などの監督。
 特に「将国のアルタイル」では原作の構造を再構築してアニメを展開させているのが印象的だった。
 「将国のアルタイル」は、私は第1巻から原作を追いかけているため、
 アニメと原作の差異は十分理解しているつもりである。
 そのため、私の評価では原作ありきの物語の再構築が巧みである、という印象。
(2)背景デザイン・美術監督/秋山健太郎
 小林プロダクションを経て、
 2008年6月アニメーション美術・背景制作会社「studio Pablo」を設立、代表を務める。
 個人的には「終わりのセラフ」あたりから注目しており、
 「ReLIFE」「ACCA13区監察課」とヒットな背景を飛ばしている印象。
 元小林プロダクションだけあって(私は小林プロダクション背景アニメ大好き人間です),
 個人的に心に刺さる背景が多い。
 「selector」も忘却の旋律などのJCアニメを彷彿させる背景となっている。
(3)音響監督/若林和弘
 代表作は「攻殻機動隊」シリーズ、「DARKER THAN BLACK -黒の契約者-」、「ソウルイーター」シリーズ
 「STAR DRIVER 輝きのタクト」「クロムクロ」あたりだろう。
 アニメ制作会社的には「Production I.G」「ボンズ」が多い印象。
 早見沙織との絡みは非常に多く、
 「東のエデン」「赤髪の白雪姫」「 STAR DRIVER 輝きのタクト」
 「ソウルイーターノット!」「RDG レッドデータガール」などがある。
 どれもこれもが早見沙織主演作であり、早見沙織代表作。圧巻。
(4)音楽/大島ミチル
 日本のドラマ関連も多いが、アニメの仕事もある。
 私は「シュヴァリエ 」「Project BLUE 地球SOS」「隠の王」の2006年ごろからなんとなく気にしていた。
 「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」「絶園のテンペスト」「赤髪の白雪姫」「六花の勇者」
 なども最近の代表作だろう。
 ブラスサンドが得手で、非常に気持ちよく、軽快な音楽というのが私の認識。

これら私が気にしていた制作陣の中、早見沙織との関係は深い。
(2)も「終わりのセラフ」「輪るピングドラム」という絡みがある。
(3)は言わずもがな。完全に懇ろの仲と言える。
(4)については「赤髪の白雪姫」がある。

特に「赤髪の白雪姫」に対して言及しておく。
「赤髪の白雪姫」は言わずもがな。
早見沙織ソロアーティストデビュウ曲「やさしい希望」(2015年8月)は「赤髪の白雪姫」のOPであり、
そのアニメの主演は早見沙織である。
その早見沙織のデビュウ曲&主演アニメを彩ったアニメ制作スタッフに
・音響監督/若林和弘
・音楽/大島ミチル
が関わっている。
当時、「やさしい希望」と「赤髪の白雪姫」のどちらも個人的には非常に懐疑的な部分があり、
認めているところと認めていないところが個人的にはっきりとしていた。
だが、その制作陣に
(1)監督/古橋一浩
(2)背景デザイン・美術監督/秋山健太郎
を加えて制作されたのが劇場版『はいからさんが通る 前編 ~紅緒、花の17歳~』である。
本映画をみて頂ければわかるが、
物語/美術背景/キャラクターの動き/劇伴/お芝居/主題歌
とすべての要素において会心の出来であった。
そう思った裏にはそれは私的に(1)~(4)に関心があり、
更には主演早見沙織、主題歌早見沙織であり、
かつ、とても良くできた/面白いアニメ映画であったからだろう。
※勿論、早見沙織のお芝居もコミカルかつ人間味溢れる芯のあるお芝居も一聴の価値がある。
だが、ここにおける一番の重要ポイントは「作詞:竹内まりや」である。
私個人的の目には、
「夢の果てまで/竹内まりあ」は早見沙織の”メディア向け”の商品展開
という印象で映った。
今後の早見沙織のアーティスト展開としての思い切った舵切り。
声優オタク向けだけではなく、一般のメディアに触れるようなプロモーションである。
今後、三年後くらいには早見沙織は今よりも更に一般メディアに認知される声優にしていく、
あわよくば、次世代の水樹奈々を焦点に当てたプロモーションなのではないか、
まで妄想してしまう。
だが、そういう”夢の果て”まで見えてくることが確信できたのが、
早見沙織の「夢の果てまで」という楽曲なのである。
だからこそ、2017年声優曲に選ばれるに相応しい1曲であるのは疑念の余地がない。

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