2016年声優曲kieru的BAEST10

はじめに。
個人用メモ。これは2016年の声優曲の記憶を保存しておくメモです。
①~⑩は発売順で並べてみました。
各種イベントで聞いた声優曲というのもを印象深いのだけれど、
去年の反省を活かしてイベントレポートにならないように選曲してみました。
個人的に印象に残った曲、声優自身のキャリアとしての声優曲、
これまでの声優史になかったような曲だと思えるものでのチョイスした、とも言えます。

■2016年声優曲kieru的BAEST10
①LoSe±CoNtRoL/七転福音(CV.福沙奈恵)、クラリオン(CV.沼倉愛美)
②あなたの春香さん/千菅春香
③Faith/大橋歩夕
④ミヴドリーム/ミヴ(内田真礼)
⑤おにゃの子☆girl/ワルキューレ/(マキナΔ西田望見/フレイアΔ鈴木みのり/カナメΔ安野希世乃/レイナΔ東山奈央)
⑥1HOPE SNIPER/田所あずさ
⑦なんとなくの話/井口裕香
⑧V字上昇Victory/雀が原中学卓球部(花守ゆみり, 田中美海, 高野麻里佳, 桑原由気, 今村彩夏, 東城日沙子)
⑨流路/臣静流(CV:小松未可子)
⑩Secret/早見沙織

■各曲感想

LoSe±CoNtRoL/七転福音(CV.福沙奈恵)、クラリオン(CV.沼倉愛美)
発売日:2016/02/24
作詞:ZAQ
作曲:ZAQ
編曲:TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND
「紅殻のパンドラ」のED

2016年TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDによる声優デュエット曲の名曲。
サビの「もうコード全部引っこ抜いて 会いに行きたい」の高まりが尋常ではない。
一度聞いたら忘れられないようなフレーズ、メロディとテンポ。
編曲:TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDだけあって、
テクノ成分が抜群にいい味を出して、期待値以上の効果がでている。
そこに二人の声優の掛け合いや重なりでかなり耳が幸せになる。
近年、TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDは声優曲やアニメ曲に携わっている。
個人的に一番初めの彼らの曲に接した歴史を追っていたら、
のみこの「恋空リサイクリング」だった。
また『のみこのNomical Hystery Hour!』の楽曲提供・コント監修もやっており、
なるほどと得心した。
他に今年のお仕事としては、恋する図形(cubic futurismo)/上坂すみれが印象に残っている。


あなたの春香さん/千菅春香
発売日:2016/06/22、アルバム「TRY!」より
作詞:三重野瞳
作曲:玉城和夢、岩田アッチュ
編曲:清水信之

声優自身の人生を声優が歌った曲。
歌い出しが「声優でChage All Future」である。
「世界中のあなたへ届けよう届けたい 私史上最高の声!」
「何にでもなれるからなんにもなれない 千菅春香はどこを目指す??」
声優が声優として「夢叶い声優です」という言葉を歌にする。
ちょっと心にこみ上げてくるものがある。
作詞:三重野瞳はフライングドッグの先輩でデビュウの頃から千菅春香を見ており、
特に打ち合わせもせずに三重野瞳からぴったりな歌詞がでてきて驚いたというエピソードも良かった。

「FIRST TRY!」のライブでのダブルアンコールを1stアルバムの表題曲である「TRY! TRY! TRY!」ではなく、
「あなたの春香さん」だったのが印象的だった。
声優としてあり、歌手としてでもある声優が自身の声優の気持ち言葉にする。
ちょっと恥ずかしながら歌いながらも、
この歌詞を気に入っている千菅春香さんはとてもキュートです。


Faith/大橋歩夕
発売日:2016/07/20、アルバム「FAITH (Global Edition)」より
作詞:SPOOKY ELECTRIC
作曲:SPOOKY ELECTRIC

忙しい日常の合間に聞ける心落ち着く声優音楽。
恥ずかしながら大橋歩夕の曲を初めて購入した。
なんとなく店頭に置かれていたのをなんとなく手に取ってみた。
いや、放課後のプレアデスでの彼女の声を聞いて、今まで以上に気になったてはいたが、
自分の中でうまい具合に声のイメージを掴めなかったので、アルバムを手にとってみた、
というのが正しいのかもしれない。
そして聞けば聞くほどに、言葉にできない良い味が心に触れてくる。
普段はミドルテンポの曲を好んで聞くということはないのだけれど、
何故か歌詞とメロディの声がすっと心にはいってきた。
数回アルバムを聞いただけで口ずさんでしまう、みたいな感覚を味わった。

調べてみると、
彼女は相当にファンクが好きらしく今までの曲もその性質が強いものが多い。
「FAITH」のアルバムはどの曲もミドル~スローテンポの曲で
どれも同じように心にすっと入り込んで、心が落ち着くというような効果を得られた。
そういう意味ではどの曲も選び難かったけれど、表題曲として「Faith」を選曲した。
このアルバムを聞いたことにより、彼女の声域が理解でき、
放課後のプレアデスの彼女の声と繋がる部分も多く、そういう意味でも収穫が多かった。


ミヴドリーム/ミヴ(内田真礼)
発売日:2016/09/21
作詞:荒川稔久
作曲:中野定博
「アクティヴレイド-機動強襲室第八係- 2nd O.S.T.」より

内田真礼によるラブソングのようなスプラッタソング。
アニメ脚本家・荒川稔久の作詞によるキャラクターソングとしてサウンドトラックに収録。
アクティブ2ndの5話地下アイドル回で使用された
地下アイドル・ミヴ(cv.内田真礼)による挿入歌という歌。

「臓物(はらわた)さらけ出し 子供たちが死ぬ
青空の下 血まみれだよ 世界は今日も」

の歌詞から始まる。
デスボイスでもなくハイテンポでもなく、テンポはひたすらにスローテンポ。
スローテンポだけれど、スプラッタな歌詞というのが革新的だと感じた。
これまでの声優史の中でここまで残酷な歌詞でここまでスローテンポな声優曲はなかったように思える。
少なくとも、私の狭い観測範囲では存在しなかった。
劇中のキャラクターであるミヴ(cv.内田真礼)は地下アイドルという役どころだけれど、
内田真礼のキャリアとして世間で持て囃されている中二病キャラクターとはどこか違ったものがある。
いや中二病キャラという位置づけともとらえることもできるが、その声域ではない。
まるでラブソングを歌うかのように、
血まみれ、豚野郎、腐れ外道、悪魔、KISS MY ASS
という言葉が飛び出してくる。
しかも内田真礼のすごい落ち着きのある声域でこの歌詞を見事に歌い上げている。
賞賛。
そもそも「作詞:荒川稔久」の声優曲なのだからそういうクレイジーさで当然なのだろうが、
まだ2016年にもなってこんな曲を作詞をできるのだから、すごい。
因みに私が好きな「作詞:荒川稔久」曲は以下です。
・超変身! コス∞プレイヤー/colors
・ヒットをねらえ!/能登麻美子
・(LOVE)∞/松来未祐、小林沙苗、大原さやか、吉田真弓、浅井清己
単なるヒットLOVEコスファンだ。


おにゃの子☆girl/ワルキューレ/(マキナΔ西田望見/フレイアΔ鈴木みのり/カナメΔ安野希世乃/レイナΔ東山奈央)
発売日:2016/09/28、アルバム「Walkure Trap!」より
作詞:かせきさいだぁ
作曲:TeddyLoid
編曲:TeddyLoid
「マクロスΔ」挿入歌

EDM声優曲の中でも東山奈央ちゃんの声は可愛いなーの曲。
マクロス⊿の17話で使用された挿入歌。
アルバム「Walkure Trap!」の3曲目。
私にはEDMの素養はないので、なんとも言葉では表現できないのだけれど、
繰り返されるリズムと歌詞の中でじょじょにトリップしていく感覚が気持ちいい。
ワルキューレの1stアルバムを購入してみたがパッとしなかったが、
何故か2ndを購入してしまったら、全体的良かった。
その中でも抜群に良かったのが「おにゃの子☆girl」
勿論、2クール目OPの「絶対零度θノヴァティック」(アルバム2曲目)もマクロスらしい疾走感ある
かっこいい曲に仕上ている。けれども、私が求める声優性とはどこか違ってはいた。
ところが3曲目の「おにゃの子☆girl」はドンピシャにきた。
メインボーカルはマキナ・中島(cv.西田希見)なのだけれど、
そのパートナー役であるレイナ(cv.東山奈央)が
より愛情(情感)を込めて歌に参加しているのが印象的だった。
曲中幾度となく出現する”からの!”のバリエーションと
表現豊かさにその声優性と面白さを感じた。


1HOPE SNIPER/田所あずさ
発売日:2016/10/26
作詞:Q-MHz
作曲:Q-MHz
編曲:Q-MHz
「TRICKSTER -江戸川乱歩「少年探偵団」より-」のED

今後、次世代声優曲を手がけていきそうなQ-MHzによる田所ロック。
Q-MHz:Toy's Factoryによる畑亜貴、田代智一、黒須克彦、田淵智也からなる音楽プロデュースチーム。
今までとくにQ-MHzには興味もなかったのだけれど、
小松未可子のはぴこしライブ2016年あたりで多少意識し始めたという程度であった。
Q-MHzは田所あずさのアルバム「It's my CUE.」の「Fighter's high」も手がけている。
個人的には2016年の田所あずさ曲は
「1HOPE SNIPER」「Fighter's high」「絶対的Rock Star」「spit out」が好印象だった。
「1HOPE SNIPER」は前奏からのリズムのノリとギターサウンドに始終早口な歌詞からの
サビの疾走感への展開が超高速で更に間奏などで音の遊びがバシバシと挿入されていて、
かなり気に入った。
他の3曲も独特の前奏がそれぞれエモいのだけれど、ソロシングルという知名度で選んだ感はある。
いや「Fighter's high」も相当に好きなのだけれど、
リズムのバリエーションでいったら「1HOPE SNIPER」が一番。
アニメタイアップもついているので、今後の田所ロックの活動に期待が持てる一曲でもある。


なんとなくの話/井口裕香
発売日:2016/10/26
作詞:佐伯youthK
作曲:佐伯youthK
「Lostorage」のカップリング曲

井口裕香によるファンのみんなへ向けた「君のこと好きだよ、いいでしょダメなの?」ソング。
今まで井口裕香のアルバムを購入して多少曲を聞いていたけれど、
今まででの中で第一印象がバッチリの曲であった。聞いた瞬間に惚れた。
そして聞くごとにどんどん惹きこまれていく。
今まで井口裕香の曲を追ってきていてよかった瞬間が訪れたという喜び。
そういう個人的な感情もあるけれど、間違いなく心がトキメク曲になっている。
ループして何回でもずっと聞いていたい曲でもある。

井口裕香曰く、
ファンのことを家族のよう思っていて
その家族たち(ファン)に向けた歌となっている、とのこと。
井口裕香のそういう独特なファンとの距離感が歌詞に表現されているのもいいのだけれど、
ドラムスとピアノのリズムがかなり好み。
井口裕香のキュートさが余すところなく盛り込まれている。
声優・井口裕香にしか表現できない珠玉の一曲。



V字上昇Victory/雀が原中学卓球部(花守ゆみり, 田中美海, 高野麻里佳, 桑原由気, 今村彩夏, 東城日沙子)
発売日:2016/11/25
作詞:只野菜摘
作曲:田中秀和(MONACA)
「灼熱スイッチ」のカップリング曲

灼熱スイッチもいいけど、卓球+声優性という点ではv字上昇victoryが勝者。
勿論、アニメ主題歌となっている「灼熱スイッチ」も素敵な曲。
歌詞とサビへの盛り上がりが心地よく、OPの絵にもマッチしている。
けれっども「灼熱スイッチ」は「友情?それともライバル?」というのが主題となっていて、
そのありふれた主題の中には卓球要素はあまり感じられない。
(スマッシュする!のところは卓球感ある)
そこに関しては勿体無い(折角なのだから、卓球要素を音楽と融合させて欲しい)と思っていたけれど、
そこの要望に答えるかのようなカップリング曲の「v字上昇victory」だった。

卓球玉の跳ねる独特の音が非常に気持ちいい。これぞ卓球要素。
曲の始まりが花守ゆみりによる吸う息からはいってくるのも嬉しい。
各声優たちがラリーをするかのようにそれぞれの歌詞を歌い上げていく様も卓球を意識している感じはする。
個人的に一番のポイントは、サビ前の「ワン・ツー・スリー」の繰り返しだと思っていて、
聞いた瞬間、体中が妙な熱を帯びていった。
「ワン・ツー・スリー」のときの音楽は同じ強弱・テンポなのに、
サビに向けての盛り上がりの変化を声優達の声で演出するという構成に感動した。
二番では「フォー・ファイブ・シックス」で更に、歌う声優達の声を重ねてくるのもびびった。
この卓球性と声優性の奇妙な融合の結果「V字上昇Victory」という熱い音楽が生まれている。



流路/臣静流(CV:小松未可子)
発売日:2016/11/30
作詞:タナカ零
作曲:タナカ零
編曲:タナカ零
「ブブキ・ブランキ 星の巨人 」エンディングテーマ「so beautiful ;- )」のカップリング曲

小松未可子による変拍子曲。
2015年の私の声優曲BEST10に選出した「太陽を巡って/牧野由依」と同等かそれ以上の変拍子曲になっている。
電子音を使っているけれど、
その電子音を基盤としてピアノ、ドラムス、(たぶん)サックスが徐々に重なってくる。
私の音楽知識が乏しいため、この音楽がどのような位置づけのジャンルなのかは不明だけれど、
とても聞いていて気持ちいい。
ド変態な変拍子なのに、
小松未可子特有の音楽とねっとりと絡みつくような歌声の存在感もある。
いや、こんな変拍子の中に確かな小松未可子の歌声の存在感があるということを逆に証明するかのよう、
とも表現できる。
したがって、曲の心地よさもさることながら、
声優・小松未可子の歌声の存在感を再認識することができたため、
その点では声優曲としての個人的評価が高い。


Secret/早見沙織
発売日:2016/12/21、ミニアルバム「live for LIVE」より
作詞:川崎里実
作曲:川崎里実

早見沙織によるジャジーなテイストな1曲。
早見沙織曰く、
自身の1stアルバム収録曲「Live Love Laugh」中の「ESCORT」が良かったよ、
という感想をいただくことが多かった、とのこと。(関係各所よりの声)
そのため「ESCORT」のような大人の魅力があるジャジーテイストの楽曲を作成して、
ライブツアーでそういったジャジーテイストコーナーを作りたい、
という思いから、「Secret」「eve」という楽曲が生まれたという。
(どちらもミニアルバム「live for LIVE」に収録)

個人的には早見沙織の音楽活動に対して、いまいちピントがあっていなかった。
無論、私視線での早見沙織へのピント。
勿論、早見沙織を前面に信頼していてるという前提であれば、
彼女が作詞した曲を安易に否定することもなんて出来ないし、
それを大絶賛するほどの何かは私にはなかったのだろう。
そういうモヤモヤはなかったと言えば、嘘になる。
しかしながら「live for LIVE」のミニアルバムを聞いて、
なんとなく自分の中で整理がついたように思える。

早見沙織は音楽で自分を真剣に語っているのだろう。
音楽で伝えたいのは早見沙織の人生。人生の一遍。
そういう彼女の真剣な姿勢を表現した音楽とは、
こちらもそれなりの覚悟をもって相対しなければならない、とは感じた。
もとより、
彼女は彼女の音楽に対してウェルカムな受け入れ体制を取っていたのだろうけれど、
聞く側が勝手に距離を取っていた。
そういう奇妙な距離感を埋めてくれたのが、
個人的には「Secret」だった。

残念ながら今年のライブには行けていなかったが、
「live for LIVE」のyoutube視聴版の「Secret」を聞いた時、
あぁこれが早見沙織の表現したい音楽の一つなのか、と
そういう風に感じてしまった。腑に落ちてしまった。
ミニアルバム「live for LIVE」という意味も
「ライブのために生きる」「ライブに熱中する」
といった意味合いもある。
音楽のために生きる早見沙織の音楽。
そういうことを認識できた曲として今年のBESTとして「Secret」を選曲しました、
という結果になった。

■まとめ
私の認識だけかもしれないが、近年の声優曲には、
・テクノ(LoSe±CoNtRoL、TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND)
・ファンク(大橋歩夕)
・EDM(おにゃの子☆girl/ワルキューレ)
・ロック(田所あずさ)
・ジャズ(早見沙織)
・変拍子(流路/小松未可子)
など様々なものがある。
これを声オタとしてしっかり享受していくためには
声オタもまたあらゆる声優の好きな音楽のジャンルに対応していかなければならない。

この声優歌業界は間違いなく多額の投資がされているであろうことは明らかなので、
いい音楽が生まれる土壌が相当に出来上がっているとも思える。
つまり今後ますます様々な最先端のジャンル音楽が出てくるのであろうことは予想できる。

私は特に音楽のジャンルなんて気にしたことはなかったが、
今年の声優曲BESTを選曲していく上で
これからはそういう基礎知識的なものを吸収しながら声優曲を聞いていく覚悟をしなければならない、
とも思った。

しかしながら声優にしてみれば、
「自分の好きな音楽ジャンルを自分の曲を聞いて知ってくれた」
というのは割りと嬉しいことなのではないかと考えると、
そういうのもまた声ヲタ活動としては悪くない選択なのだろう。


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