2016年映画TOP10

■はじめに
2016年に鑑賞した映画の個人的なメモです。

2014年は35本を観賞。
2015年は41本を観賞。
2016年は65本を観賞。

2015年までは犯罪映画、アクション映画を中心に劇場に足を運んでいた。
けれども、2016年は今までさほど興味のなかった(寧ろ敬遠していたような)
・ホラー
・スリラー
・スプラッタ
系の映画もみるようになってしまった。

それは声優・野水伊織による映画コラム「SPICE #野水映画 俺たちスーパーウォッチメン」
の影響を色濃く受けていると言える。
彼女の独自視点の感想は私がもっていない感性であるし、
私が普段意識していない俳優や監督の繋がりをまさにオタクっぽい感じで解説してくれる。
私の声ヲタ活動と日々のストレス発散のための映画鑑賞が奇妙に混じり合った結果、
毎月5本くらい映画を鑑賞することになってしまった。
来年こそは日々のストレスがなくなることを祈りたい。

それはそれとして、
つまり2016年は今まで門外漢であった映画のジャンルに触れてきた。
そのため、TOP10映画としてはホラー系映画がより好印象となる結果になった。

■2016年映画TOP10一覧

①死霊館 エンフィールド事件
②マジカル・ガール
③メカニック:ワールドミッション
④オデッセイ
⑤シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
⑥バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生
⑦マネー・ショート 華麗なる大逆転
⑧ドント・ブリーズ
⑨デビルズ・メタル
⑩ズートピア

■各映画感想
①死霊館 エンフィールド事件
ホラー要素だけでない。カメラワーク、脚本、全てがこの映画に没頭されるために演出されている。
1977年、ロンドン北部・エンフィールドで実際に起きたホラー事件を元に映像化。
ポルターガイスト現象や怪奇現象を当時、映像や音声で記録していて、
エンドロールにその怪奇現象に遭遇した家族の写真やら証拠物などが出てくるのが非常に良かった。
家という閉鎖された空間で巻き起こる怪奇現象を画面に映すためのカメラワークが秀逸。
人物を中心とした回り込み、ベッドやイスや階段の隙間を利用した”なにかあるぞ”を思わせる恐怖を増幅させる演出。
単に恐怖を増幅させる映画でもなく、
各人物たちのドラマ部分もあったりして、
確かに視聴者がどの立場の人物にも奇妙に感情移入できるように作られている。
個人的には、この映画で登場するシスター姿の悪魔の顔や登場シーンは夢に出てくるくらいの恐怖があった。


②マジカル・ガール
二人の魔女はそれぞれの使い魔を使役して、殺し合いをさせる映画。
白血病で余命わずかな12歳の少女(日本の魔法少女アニメが大好き)は、
その父親に最後の望みである魔法少女の衣装コスチュームを購入するためのお金の工面を強いる。
父親が率先してお金の工面をしようとしているが、
最後の望みを叶えさせてやりたいという父親の心理を操っているとも言える。
お金の工面のため、その父親はある人妻に対して強請りをする。
心に闇をかかえる人妻は強請られ、どうにかお金を工面するが、更なる無心をされる。
自分の学生時代の教師を頼り、その教師は人妻の境遇を察し、自ら解決しようと動き出す。
12歳の少女が父親を操る。
人妻が以前の恩師を操る。
この二人の魔女に操られた二人の男が深夜のバーで対面する。
この脚本の流れが仄暗すぎて、最高のエグみを醸し出している。
日本の自主制作映画などでよく取り沙汰される題材
(今の生活を抜け出せない負を抱えた人間たちが衝突し、犯罪・暴力につながっていく)
みたいな映画だった。
この監督は日本好きらしく、EDには黒蜥蜴/美輪明宏の曲が使用されているのが妙に印象的だった。

③メカニック:ワールドミッション
2016年のB級アクション映画として傑作。
ジェイソン・ステイサムが大アクション・大殺戮をします。後、船がいっぱい。
ワールドミッションだけあって、世界の色々なところをめぐり、
困難なミッションをクリアしていく。
・隔離された刑務所への侵入→脱出
・高セキュリティの超高層ビルでの暗殺
・悪の武器商人の要塞攻略
と場面も場所も目まぐるしく変わっていく。
どれもこれも場所や風景を活かしたセンスのあるアクションで最高に楽しかった。
特に最後の客船での大量虐殺シーンが楽しい。
この船の中にどれだけ私兵抱えているんだよ!って思いながらも、
私兵が出てくる度にまたたく間にジェイソン・ステイサムが圧倒していく。
前作メカニックも船がポイントになっていたけれど、
今作は更に船のバリエーションも増えて、おおきくなっていったのが面白かった。
しかも冒頭で自分の所有する船を爆発させる(追手は爆発に巻き込まれる)のも最高に笑った。

④オデッセイ
孤独な宇宙飛行士の火星サバイバルSF映画。
孤独な時間に耐え続け、絶望と戦い続け、
それでも生きることを諦めない主人公の精神的タフネスさがすごかった。
一人でいる行動を映像記録として残す=映画の画面という演出も見事にハマっていた。
監視カメラ・定点カメラなどからの広い角度で宇宙船内を映し出すことにより、
主人公の行動と船内の広さや奥行きなどが明確に表現できている点もよかった。
つまり、画をみせることによるSF要素・宇宙船の説明の簡略化が
物語の展開とマッチしていて見事だった。

⑤シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
アイアンマン、キャプテン・アメリカシリーズの集大成。
シリーズ集大成として、
アイアンマン、キャップ、ウィンターソルジャーのトリニティ濃厚BL展開に大変感動しました。
これまでの莫大なアベンジャーズの予算と時間はこの特濃BLにあった、
と思っただけで、胸がいっぱいになる。

⑥バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生
人間最強のバットマン。それを調整する異星人のスーパーマンが見所。
バットモービルで街を大疾走する中、
スーパーマンがただ立っているだけでバットモービルがふっ飛ばされるシーンが超良かった。
バットマンが地球外生物に対抗する策として、
ロボコップというか
漫画「redEyes」のようなSSA(Special Assault Armor)みたいなスーツを装着した。
もしくは仮面ライダー1号みたいなゴツい装備をしていた。
地球外生物に対してはほぼ無力だったけれど、このスーツで人間を相手にしていたので、
バットマンは容赦がないなーという感じでとても良かった。

⑦マネー・ショート 華麗なる大逆転
ノンフィクション小説『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』の映画化。
サブプライム住宅ローン危機がどのようにして発生して、
その中で空売りをして巨額の利益を得ようとしていた様々な人間たちの動きが面白い。
また、一般的な経済・金融関連の知識がない人でも詳しく解説が挿入されるコーナーが挿入される。
それが意外と唐突に映画に出てくるのだけれど、またこれがコメディチックに仕上がっており、
大変おもしろかった。
個人的にはゆいかおり武道館ライブの前にマネーショートを観た関係上、
ゆいかおりの二人が衣装チェンジ用の映像でジェンガ対決をし始めたのがとても印象に残っている。
※マネー・ショート内でサブプライムローンが焦げついてきていることをジェンガで解説するシーンがある。
「サブプライムローンが焦げ付いてるんだよぉ~」のような台詞が印象的だった。

⑧ドント・ブリーズ
盲目のキチガイ老人(元軍人)が住んでいる家に三人の強盗が忍び込む。
ホラー・スリラー映画。強い老人の強い映画。
死霊館 エンフィールド事件と同じく、
狭い空間(家内)でのカメラワークががより恐怖を助長している。秀逸。
部屋の明かりが消され、真っ暗な状況を素晴らしいカメラ明度の加減で演出し、
すぐ近くにキチガイ老人が存在しているのに気が付かずに安易に近づいていく侵入者の女性の絵もかなり良かった。
※軍用暗視スコープの世界(を再現した演出)とはまた違った画面つくりをしていたのが新鮮。
だが必要最低限の劇伴が、その恐怖を掻き立てる。すべてにおいて音が重要。
盲目の老人は、匂い、音を手がかりに侵入者を索敵する。排除。殺戮しようとする。
タイトル通り、息もできない緊迫感に飲み込まれる。
また、この老人の家がまたギミックがてんこ盛りになっている。
地下室、クローゼットの隠し扉、地下室の奥の秘密の部屋、通気口、ガラスの天井。
これらのギミックがそれぞれの登場人物にとって死への罠になっている。
また老人の飼い犬も凶暴。
スリラー映画での犬の存在が、恐怖を助長させるギミックとして有効であることは知らなかった。
登場人物は全員クズなのだけれど、
誰の目線でこの映画を追うかということで楽しみ方は変わっていきそう。

⑨デビルズ・メタル
B級のエンタメ映画。メタラーの主人公が悪魔と戦うメタルスプラッタ映画。
スクールカースト底辺のメタラー主人公はあるひ悪魔の楽譜を拾い、それを演奏する。
すると周囲の人間が悪魔化していき、最終的には街の全員が悪魔化していくというB級展開。
悪魔を相手におじさんの家(キリスト教徒)にあったバイブとアナルビーズで戦う主人公の図とかも最高に笑える。
なんやかんやあって、最終的には武装を整えて悪魔崇拝者たちを打倒しにいく。
召喚された悪魔を追い返すには、楽譜を逆から演奏するんだ!という発想も中々に面白い。
二刀流チェーンソーが武器だったり、ギターのヘッドに電動ドリルを付けたりと浪漫も溢れる。
始終、バックにはメタルが流れているのも楽しかった。
「俺のメタルをくらええええええ」と言いながら悪魔に斬りかかっていくような映画。

⑩ズートピア
警察映画・警察小説としても秀逸だが、それ以上に人種差別というメッセージ性も強いアニメ映画。
私、警察映画を視聴したいがために映画を見始めたのだけれど、
そんな私でもこれま間違いなく傑作の警察映画・犯罪映画であると言える。
トップ成績の新人で警察に入ってきたはいいが、
そこには人種(肉食系動物、草食系動物)の差があり、碌な仕事を与えられないウサギガールの主人公。
駐車違反取締中に出会ったキツネの詐欺師を仲間に取り込んで、
街の秘密を暴くという展開に発展していくのは、警察小説にはよくある展開。
ディズニー・アニメをこれと言って好きとはないのだけれど、
洗練されたキャラクター作りと画面の背景によく動くアクションなども素晴らしくよく出来ているけれど、
その根底には警察小説の香りが漂っているのがひたすら良かった。
こういう趣向の犯罪アニメ映画は二度と出会えないだろう。

■日本映画について
TOP10で日本映画は個人的にランクインしなかった。
確かに面白かった日本映画はたくさんあったけれど、
私の感受性を強く刺激した映画か?と言われると、その答えは難しい。
娯楽映画などとして傑作なのだろうけれども。
それでも、個人的には以下のメモを残しておく。

・日本で一番悪い奴ら
北海道で実際に起きた稲葉事件をモチーフにした娯楽映画。
悪党警官による武器密輸・麻薬取引、組織的な裏金つくり・不祥事の事件。
個人的には、知人から勧められたBL漫画「コオリオニ」を読んだ直後だった。
「コオリオニ」も同じ事件を扱っており、細部の設定などが映画と漫画で同じだったり、
全く違う創作の部分もあり、その違いを楽しむためにはどちらの作品に触れておくのがよい、と思った。
かなり偶然なのだけれど、映画と漫画が同じ題材で同じ年に発表されているという奇跡がよかった。

・アイアムアヒーロー
原作継続購入中。スピリッツ連載1話から原作を追っている。
前半の日本的ホラー映画要素を交えつつ、ゾンビ映画としても快作の出来だった。
原作漫画の良さを引き出しつつも、
映画独自のパニック映画感もあって楽しかった。
特に、街がゾンビに襲われているシーンいろんなエキストラがパニックを起こしている絵は漫画ではなく、
映像にして映えていた。
また
「テレビ東京がアニメを放送しているうちは大丈夫だ」と主人公の鈴木秀雄/大泉洋が
タクシーの中でテレビ東京にチャンネルを合わせたら、
一瞬だけ、未確認で進行形の吉田有里ちゃんの声が聞こえたと思ったら、
ニュースに切り替わるギャグが見事にハマっていた。
思わず、映画館で笑ってしまった。
ラストシーンの散弾銃をひたすら撃ちまくるシーンは圧巻だった。

・貞子vs伽椰子
玉城ティナが中原麻衣ちゃんに似ていたので良かった。
「バケモノにはバケモノをぶつけるんだよ」の台詞が秀逸。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?