長男へ 卒業の祝辞

とーちゃんは、負けず嫌いだった。あなたのじーちゃんにニンジンぶら下げられると頑張った。「学校で一番になったら、お前のほしいもの買ってやる」と言われて中学2年の時、言われた次のテストで一番になってシンセサイザー買ってもらった(KORG POLY-800)。だから、あなたはとーちゃんの子供だから、「頑張ったらほしいもの買ってやる」で勉強頑張ると勝手に思っていた。それが「〇〇欲しいならテストで□□点以上取ったら買ってやる」と言った時に「じゃあいらない」と言われたときはショックだった。自分の価値観が正しいと思っていたから。自分の息子に通じないとは。

小6になるとき、とーちゃんの会社の都合で仙台から大阪に引っ越した。初めて大阪転勤の話をしたとき、あなたは泣いた。泣き続けた。辛かった。会社で大人しくしてればよかった、と心から思った。でも大阪行って、あなたはすぐ友だちを作ってすぐ家に連れてきた。そして、その時の友達とあなたの友情は、いまだに続いている。

中学校に上がり、最初のテストでまあまあの点数だった。でもまだ上にいけると思い、とーちゃんは「次はもっと上を目指せ」と言った。あなたが視線を逸らした。「えっ、これだけやってるんだからいいじゃん」と。そのとき、とーちゃんの理論が間違っていることに気づかなかった。そこから勉強についてはとーちゃんがプレッシャーをかけて、あなたはそれをかわしていった。

それが原因か、違う理由があるのか、中2のある時から、あなたは学校に行かなくなった。学校は行くもの、と思い込んでいたとーちゃんは、その事実を受け止められなかった。毎朝、あなたの部屋に行き「体調どうだ、学校行こうよ」と語りかけた。学校行きたくないのに、朝寝てるのに、親父が部屋に入っていっても、あなたは拒否せず、眠いながらも話をし、結局タイムリミットになって、とーちゃんが学校に欠席の電話をかける日々が続いた。

そして、3年経つ、中3になる春に、大阪から仙台に戻ることになった。戻れば変わるのではないか。でもせっかくできた友人たちと離れる事になる。どうなるかわからなかった。でも、学校来ないあなたの家に、友人たちは毎日のように遊びに来てくれた。「学校来いよ」と遠慮せずに大阪弁で突っ込んでくれる友人たち。出席すべき行事の前の日には、朝一緒に連れていってくれる為にうちに泊まってくれる友人がいた。

そんな4月。あなたは仙台戻ってきたタイミングで学校に行き始めようと思っていた。それは伝わっていた。ところがコロナ。学校は休校。出鼻を挫かれた。それでも6月からだったか、学校始まったら、あなたは頑張って毎日学校に登校し始めた。3年前まで一緒だった友人たちがそこにはいるはず。昔に戻れるといいなあ、と勝手に思っていた。毎朝、あなたが頑張って学校に出かけると、とーちゃんは嬉しくて、そして辛い気持ちがあるのに頑張ってるあなたの気持ちを察して泣いていた。

1ヶ月くらいして、学校に行かなくなった。行かなくなったのか、行けなくなったのかは、まだとーちゃんあなたの悩みはちゃんとわかっていない。それでも修学旅行は行けたし、行事もいくつか出席した。色々悩んで、結果高校を選び、試験を受け、無事進学先が決まった。そしてようやく中学の卒業だ。

4月からは高校生になる。もっともあなたに合う高校だと思う。間違いない。あとはあなた次第だ。とーちゃんやかーちゃんがどう言おうが、どう生きてくかはあなた次第だ。それはあなたが一番わかってると思う。そして、あなたなら楽しく生きていけると思う。間違いない。もちろん、あなたが必要だと思う親の役目はMAX頑張るよ。応援していくよ。

一番大事な3年間だと思う高校3年間。とーちゃんの経験でもそう思うし、実際そうだと思う。この3年、悩んだことを生かして、これからの3年生きて欲しい。

卒業おめでとう。そして高校入学おめでとう。


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