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そうだ、絵本作家になろう⑥絵を描くのが好きなのか?問題

(前回の記事はこちら→ そうだ、絵本作家になろう⑤絵本の学校との出会い

絵本の学校では、最終的には1冊の絵本を作りました。(ヘッダー画像はその絵本の中の1ページです)
その絵本は、企画から入稿用データ作成までを自分で行うのです。そして、印刷所に入稿し、ハードカバー製本してもらいました。

作りたいお話しを思いつくまでにはそんなに時間はかかりませんでした。でも、なかなか絵が描けない。

「絵がヘタ」

という思い込みが、私にはありました。
それもそのはず、10年近く創作をやめていたのですから、流暢に描けるはずがありませんでした。(まぁ、いきなり描いても上手い人は、世の中に存在するとは思いますが……)

それから、「私は絵を描くのが本当に好きなのか?」という疑いを持ち続けていました。少なくとも、世の中の画家と呼ばれる人たちや、アマチュアであってもSNSなどで魅力的なイラストを公開している人たちは、「絵を描くのが好きなんだな」という印象を受けます。

しかし、私はそういう人たちと、どうも性質が異なるようだ。

そんな思いはぬぐいきれないまま、入稿時期は着々と近づいてくるので、とにかく描かないと! というかんじで卒業制作の絵本を作りました。

とにかく速く描ける方法で。

ということで、アナログ×デジタルで絵を完成させました(画像はイメージです笑)。デジタルだと、電源があればどこでも描けるという点が私にとっては好都合でした。家には1歳児がいたので、締め切り間近になるとひとりで近くのカフェに出かけ、作業をしたり。原画や画材を持ち歩くとなると物理的にそれを広げられる場所が限られますが、デジタルならパソコンとペンタブレットだけなので本当に身軽に絵が描けます。時代が今じゃなかったら、私は絵本を作っていなかったかもしれません(笑)

絶対この絵がいい! このタッチこそが私の絵! みたいな確信は微塵もないまま、どっちかというと「これでいいのかなぁ〜?」と作り上げた絵本は、「100の扉」というお話しです。

ひとりの女の子が、扉をひとつひとつ開けて時空を旅するお話しです。
扉の向こうで出会う人々は、幼い少女から見たら、奇妙な人々ばかり。しかし、それは少女の未来の可能性でもあったりして。みたいなお話しです。

主人公のモデルは、11歳くらいの私。
今読むと、というか完成当時から思っていますけれども、荒削りすぎるだろ(笑)とツッコミたくなりますが、これは私が私の新たな門出を祝うために生み出された絵本なのだと思います。だから、この本を商業出版したいとは思わなかったです。(もちろん、これをベースにもっと練ったものは作りたいし作れますけどね!)

この絵本は、はるか太平洋をわたり、ニューヨークはブルックリンのギャラリーでも展示する機会がありました。

その時の写真↓

それで、「絵を描くのが好きなのか?」問題に戻りますが、絵に限らず、私は頭の中にあるイメージを形にしたいという欲求があり、その手段のひとつとして絵や絵本がある、というのが私の中でしっくりきた答えです。(だからお話も作る)
絵を描くのが嫌いっていうのではないんです! 好きではあるし、技術を学ぶのも苦じゃない。ただ、「絵を描くことが喜び! 絵を描いてさえいれば良い!」というタイプなのではなく、イメージを表すのに、絵が手段としてちょうどいいんだろうな、というかんじ。でも、描かないでいると(頭の中を絵で表さないでいると)ストレスというか、フラストレーションがたまる。つまらない。死にたくなる。生きてる意味あるの? ってなる。そして評価も何も気にせず絵を描いていると、インスピレーションがバンバン来る。子どもにも優しくなれる(笑)←これは自分の欲求を満たしているから。
だから、私にとって絵を描くことは“しないといけないこと”なのだと思います。

そして、思い出しました。

小学校6年生の時に、国語の授業で書いた小説に挿絵をつけたくて、でも絵が下手すぎて描けなくて、悔しい思いをしたことを。
「自分の作った物語に絵をつけたい(=絵本を作りたい)」という思いは、この時の悔しさから始まったのです。
実家から発掘された、その小説。開くのもはずかしい。
けれども、絵本のことがひと段落ついたら、全文をnoteで公開したいと思います。もちろん、今の私が描いた挿絵をつけて。

続く。

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