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そうだ、絵本作家になろう③妊娠中の入院で決めたこと

(前回の記事はこちら→ そうだ、絵本作家になろう。②

話は少し戻りますが、29歳になる年に、4年同棲した相手と破局しました。
私としては結婚を意識して付き合っていたのですが、ある時「別の相手との間に子供ができたので別れたい」というようなことを言われたのです。

4年の全てと私自身が全否定されたかと思う瞬間でした(笑)

今思えば、そういうことでもなければずるずる付き合っていただけの関係だったのかもしれないし、今の夫にも息子たち(二人います)にも出会うことが無かっただろうと思うので、全然そのシナリオで良かったな〜と思ってますが(笑)

ただ、その時に別れるのが嫌だったというよりも、「私が女であること」を否定されたような気がして絶望的な気持ちになったのを覚えています。
浮気相手は妊娠できたのに、なんで私は妊娠できなかったのか? 浮気相手とは赤ちゃんつくろうと思ってつくったのか? とか(笑)
それから、「お前のことは女として見れない」とも言われました。

私は女としてどうなんだろう。ていうか女って何。どうしてこんなにこんなに傷つかないといけないんだろうって、当時は相当落ち込みました。

そんなことがあって、30代に突入。全然自尊心は回復していなかったけれども、次に付き合う人は結婚したり子どもを持ったりできる相手だといいな〜と思っていました。

一方、会社の中で出世していくという未来をどうしても想像できなくなっていた私は、フリーランスのWEBデザイナーに転身することにしました。割と安易に転身してしまったのですが、なんとかかんとかやっていました。

フリーランスだった時に、一度、大企業に面接に行ったことがあります。それは、やりたい仕事ができればまた就職してもいいかなと思ったからです。

その時に、聞かれたこと。それは、

「結婚のご予定はありますか?」でした。

え? あったらどうなの?? って思いましたよねーーーーー!
その時、ご予定なかったけど。(笑)
一気にげんなりしたのを覚えています。帰りのエレベーターで、社員の人に「どうでしたか?」ってきかれて、「思ってたのと違いました」って言ってしまって、当然、落ちました。(笑)

今の夫とは2014年に結婚したのですが、情緒的な部分だけでなく、子どもを持つという価値観においても一致していました。(ちなみに、妊娠できなかったら赤ちゃんもらおうね、という意見も一致していました)

夫は、結婚前から私のことを中身も外見も女に見える、と言っていました。(良かった、やっぱり私は女だった・笑)
そして、絵が私の強みであることや、私にしかできないことをやるべきだということを言い続けてくれていました。
でも、初めはそんなことを言われても全く受け入れることができませんでした。なぜなら、絵も、自分にしかできないことをやることも、否定して社会人生活を送ってきたのだから。今となっては的外れすぎるのですが、このことでよく言い合いになって泣いていました(笑)

先述の出来事から女としての自尊心が米粒くらいになっていましたが、そんな私でも夫は結婚したいと言ってくれました。

妊娠するかなぁ? と半信半疑状態でしたが、心配をよそに、入籍してからすぐに赤ちゃんは来てくれました。これはもう人体の不思議というか、生命の神秘としか言いようがない現象なんだなと思います。

妊娠がわかってからも、仕事をいただいていた取引先には、出産するまで黙っていようと考えていました。

妊娠中はよく聞くつわりで具合が悪いということもなく、眠いのとごはんが美味しくてたまらないこと以外は順調に進んでいるかのように見えていました。
ですが、20週頃(妊娠5ヶ月)に突如入院することになってしまったのです。

原因は、「子宮筋腫の変性痛による切迫早産」。

もちろんそれまで真面目に妊婦健診を受けていましたし、そこで何も異常を言われることもなく、妊娠前にも子宮筋腫など見つかっていませんでした。

妊娠すると、女性ホルモンの影響で子宮筋腫が育つことがあるのだそうです。だから、子宮筋腫の種のようなものは、もともとあったのかもしれません。
妊娠すると、骨盤内の血流が増え、子宮筋腫に栄養が送られます。しかし、子宮内の赤ちゃんが育ってくるとそちらに栄養が取られていくので、子宮筋腫は壊死し、痛みが出てきたりするそう。それが変性痛というやつ。

変性痛に伴い、子宮頸管が短くなるのが「切迫早産」という診断になりました。
変性痛ってやつが、本当に痛い(笑) 虫垂炎かと思うくらいの痛さ(実際、虫垂炎かも〜と救急に駆け込みました)。
2週間くらいで痛みが治まったので、そこで退院できましたが、入院中もパソコンを病室に持ち込んで仕事していました。

先述した通り、フリーランスのWEBデザイナーをしてた私は、1ヶ月の中でヒマな時もあれば忙しい時もありましたが、入院したのは、仕事をフルで入れた翌月のこと。入院してからも締め切りは襲ってくるし、納品したものの修正依頼も降ってくる(笑)

お腹は痛いし、仕事しなきゃだし、子宮筋腫って何事!? って感じだし、赤ちゃんと私、どうなっちゃうんだろう? って不安だし、お腹が張らないように打っている点滴の副作用で動悸が激しくなって苦しいし、
なんかもう、私は本当のところどうしたいんだろう? と、初めてくらいに思ったのです。

「ツライのもう嫌。妊娠って思ったより大変だったし、今は自分の体と赤ちゃんのことを大事にしたいな……」

仕事して稼がないとっていうのが一番だったけれども、それが本音。そして、正直な気持ちを夫に話して、そこは夫に頼ることにしました。夫も快諾してくれて。
仕事の取引先にも入院していたことと、休みたいことを伝えたところ、ありがたいことに理解してくれました。

私にとって妊娠は、もしかしたら本当の意味で自分の女としての肉体に目を向け始めるきっかけになったんじゃないかな、と思います。

次回に続く。

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