見出し画像

盛れよ咲けよ、君は美しい!~美しさとヴィル・シェーンハイトについての話~

※この記事にはツイステッドワンダーランド5章・6章のネタバレに言及する部分があります

最近、自分は「なんとも思っていなかった、もしくはマイナス感情を抱いていたものに予想外の角度から刺された衝撃にめちゃくちゃ弱い」ということに気づいた。
これがやなやつ! 現象というやつだろうか。ギャップ萌え? でもみんなそういうものじゃない?
以前、ホロスコープを見てもらったことがあるのだがそこで自分が好きになるタイプに一貫性がないという話をしたら「貴方は『自分が今まで見たことないもの』を好きになる」「だから好きなタイプというものは存在しない」と言われた。当たっているような、当たっていないような、とにかく私は「おもしれー女(概念)」にとても弱いらしい。
私個人としては、保守的だしトラディショナルなものが好き、と思っているのだけれどどうも、自意識と実際の自分に差異があるような……?

それはそれとして。
最近、ヴィル・シェーンハイトがとても好きだ。
ご存知、ないのですか!? 彼こそ、天才子役の名を欲しいままにし、今も俳優兼トップモデルの座に君臨している、“美しき女王”、ヴィル様です!

冗談はさておき、ヴィル・シェーンハイト、ヴィル様(敬意をこめてこう呼ばせていただく)はアプリゲーム「ツイステッドワンダーランド」に登場するキャラクターだ。
ツイステッドワンダーランドについては詳しくはこちらをどうぞ。

ディズニーのマジカルでキュートな世界に、皮肉と捻りをきかせてかつ地に足の着いた物語。同時に少年たちの青春譚でもある。顔の良い男子がわんさかいるが、恋愛ゲームではないので、乙女ゲーの才能がないと友人に断じられたきちょでも安心!

さて、そのヴィル様について。
作中では俳優・モデルとして活躍する美貌の18歳だ。同時に、優秀な魔法士でもあり、学園に7つある寮のうち、最も古く伝統ある寮の寮長も務めている。

この人がまあ、仕事を考えると当然といえば当然なのだが、とんでもなく美意識が高い(モチーフになっているキャラクターが白雪姫の女王である、といえばお察しいただけると思う)
ヘアケア、スキンケア、食事、運動、ファッション、メイクなどなどなど。なに一つとっても自分がかなうところがない、というレベルでものすごく高い。美を尊び、美を研鑽し、美に生きる、そういう人であるがゆえに、自分にも他人にもとても厳しい。
その厳しさが最初はとっつきづらく感じていた。きれいだけど完璧すぎて、厳しくてこわいひと、という印象だった。
多分、その辺は意図されたキャラクターの見せ方だ。ツイステは基本的にメインのシナリオを進めていくと「一癖もふた癖もあるこのキャラクターが本当はどういう人間か」が掘り下げられていく仕掛けになっている。
彼がメインで話に絡んでくるのは本編の5章・6章なのだが、これが個人的に大変刺さるシナリオで、上記のように感じていた彼のことが一気に好きになった。いつものである。運営の思うつぼだろうよ!!! 笑うがいい!!! 笑うがいい!!!!
ちなみにこの5.6章が配信されたのは結構前なのだが、私がプレイをさぼっていたのでこのタイミングになった。なので何を今さら、という話をしていてもどうか許してほしい。

ヴィル様は美に対して厳しく、意識がとても高い人だ。それは見た目の話だけではなく、精神性、心の在り方、という部分にまで及ぶ「意識の高さ」である、ということが5.6章をプレイしていると自然にわかってくる。
優しい人ではない、善良かと言われると悩む。けれど、美しい人ですよね、と言われれば仰る通り! と即答できる。私が感じる彼の美しさというのは「自分の中に絶対的な美の基準があり、それから外れる行動は許さない」というブレない自意識だ。18歳にして美に対しての意識が完成され過ぎている。
「自分の中の美意識」なので、他人がどれだけ「貴方は美しい」と言っても、自分で自分を許せなければ是としない、という頑固さ、強固さ、絶対的な「自分」という主軸。しかし、ものすごく身の程を弁えないことを言うのであれば「わかる」のである。
誰も知らないかもしれない。でも私が知っているから「アタシは、アタシが許せない」
このセリフを彼から聞いたときに「あーわかるー」と思ったのだ。

作中、いろいろあって彼の見た目が老爺に変わってしまう、という場面がある。それはもう衝撃的だったし、作中の誰もが絶句していた。「完璧なCGみたい」と言われた美貌が染みと皺に覆われて、髪もばさばさ、腰も曲がっている。
この場面は、見ている私も堪えた。彼がどれほど自分の外見に対しても努力をしてきたのか私は既に知っていたし、自分に置き換えて考えたとしても、自分の見た目が80歳の老婆にいきなりなってしまったら、きつい。すごくきつい。もう若いとは言えないよなーと思っている自分ですらそうなのだから、18歳の、それも「美」を仕事にしている人が急にそうなってしまったら、そのショックは考えるに余りある。
けれど、彼はその場面で「今このとき、アタシは世界で最高に美しい」と言ってのけた。かっこいい。あまりにかっこよくてスマホを放り出して私は泣いた。
この場面に至るまでに「自分は老いを無意識に醜いものとして考えているのではないか、だとしたらすごく嫌だ」という話を彼はしていた。どんな姿になっても、世界で一番美しいと言いたい、と。
ちなみにその後の場面で「こんな姿ヤダーーーーーーーーーーー!!!!」と大号泣するのだが、そうだよね!? とそれはそれで安心した。あの時はとっさに虚勢を張って演技したらしい。さすがだ。そしてそりゃそうだ。18歳だもの。でもその時に出てきた嘆きの言葉が「少年役どころか青年役にもキャスティングしてもらえない」「ダッドみたいなナイスミドル役も演じてみたかった」な辺りやっぱりこの人はかっこいい。「若さに紐づいた美しさ」を失ったことそのものよりも、そうなったことでできるはずだったことを失ったことの方がショックだと言っているのだ。
若さって、老いって、美しさってなんだろうなとこの一連の流れを通じてぼんやりと考えた。急に変化したからヤダーーーーーーーーーーー!!!! となったヴィル様だが、普通に年を重ねていくのならきっと、常に、どんな瞬間であれ彼は「今このとき、アタシは世界で最高に美しい」と自信をもって言い続けるだろう。そういう年齢の重ね方ができる人だ。
私はどうだろう。年を重ねて「美しく」なれているんだろうか。人がどうあれ、私が「美しい」と思える生き方をしているだろうか。ちゃんと変われてはいる。それはわかっている。でも望む方向に進めているのだろうか。
多分ヴィル様は、私が何歳であれ「彼の美意識に沿う人間」であれば「ジャガイモよりはマシね」と言ってくれる人だと思う。それですら多分、そういう人になりたい、とも簡単に言えないくらいめちゃくちゃハードルが高いが、そういう方向に生きていきたい。

最初にも述べた通り、ヴィル様のことはとっつきにくいと思っていたのだが、大泣きしたり、その後元の姿に戻れて悲鳴を上げてひっくり返ったり、めちゃくちゃ嬉しいときにはめちゃくちゃ嬉しい! とハグしてキスして伝えてくれたり、思ったよりも親しみやすくて、アグレッシブで、パワフルで、そしてとてもかっこいい人だなと思うようになった。ありがとうメインストーリー、ありがとう公式。そういうストーリーテリングするとこ大好き。
「美しさ」に並々ならぬ熱意があるヴィル様だが、所謂「ナルシスト」ではない。自分が美しいことを知っている、だがそうあるために努力している情熱的でストイックな人だ。彼の自信は努力に裏打ちされたものであり、常にスマートだけれど、時には髪を振り乱して夢中で何かに飛び込むこともできる。いい。すごく素敵だ。私は「ストイックで情熱的な人」に弱い。自分への戒めのためにホーム画面ヴィル様にしておくといいかもしれない。お顔を拝見する度に自己の甘さを振り返れそう。

おっしゃる通りでございます。

ところで私が二次元が好きなのは、ちゃんと物語を教えてくれるからなんだな、とふと思った。生きてる人の物語を拾うのは大変なんだけど、二次元は基本的に物語ありきなので。
あ~~~~しかし、面倒くささに負けず、さぼらずにやっておくんだった! 見逃してしまった期間限定イベントのストーリーがたくさんあることを考えると自業自得とはいえ、口惜しくてならない。
ツイステッドワンダーランドは、私の性格とシナリオの相性が良くて、基本的にどのストーリーもすごく楽しいし(物語が馴染みすぎてしんどい、みたいな瞬間はあるのだが)胸にぐっとくるのだ。特にメインストーリーはどの章も基本的に「根本的な問題は解決していないが、少しばかり世界の見え方が変わる」ようなエンディングを迎えるのがすごく好きだ。御伽噺のようなハッピーエンドは訪れないけれど、こうやって人生は続いていく。そういうことを感じさせてくれる。
見逃したストーリーを、ストーリーだけでも後から買えるようになったりしないだろうか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?