貢ぐ

貢ぐ。と聞くとホストやキャバ嬢のような歌舞伎町が浮かんでくる人もいるだろう。地下アイドルは額が違えど似たようなもの、まやかしの世界だと思っている。アイドルにハマるといったら楽しくてキャーキャー騒げる趣味というように感じる人もいるだろうが、メンズ地下アイドルのファンはもはや戦いあっているといっても過言ではない。

1000円、と聞くと安いと思うファンもいるだろう。好きな人と話せる時間をお金で買えるのだ。世の中には会いたくても会えない人がいる中で、こういう現場は天国だろう。

そこで今度は撮る枚数の問題にぶつかる。
多ければ多いほど推しにはお金が入る。お金を持ってる子が好かれる、よっぽど性格に難がなければ好まれるだろう。まぁそう言う子に限って性格難ありな子が多いのだがそれはまた別の話で。
財源は限られている。そしてオタクは演者のためだけに日々生きているわけではない。家賃も水道代も払うし、パジャマのようか格好では行けないので服も買うし、美容院、ネイルは欠かせない。正社員の人ならボーナスでやりくり、派遣の人であれば現場以外は働き詰めという感じではないだろうか。お金がない、というのが口癖になるのではないか。一つ言いたいのが、これは恐らく一般人から見たらお金はある状況だと思う。ただ〝推し活する”お金がないということだ。

周りを見ているとお金を持ってる若い子は多い。ブランド物のバック、デパコスを持っている子なんかもよく見かける。マダムの蹴落とし合いのように、アイドル現場でも金持ちマウントは張られる。

そしてチェキ枚数で競い合うと言う争いが起きる。
わざわざ言葉に出して喧嘩をふっかけるような人は滅多にいないが、ひっそりと見ていませんというように平静を装い他人を監視する子はとてもいる。いかに自分が多く、沢山推しと話せているかを静かに見比べるのだ。自分が一番でありたいと思う人は多い。推しの一番、好きな人の一番になろうとする姿はとても楽しそうでキラキラしていて、そしてとても痛々しい。そして終わったら、また推しのため、自分のために一生懸命仕事してお金を稼ぐのだ。お金がなければ何もできない世界なのだから。

周りと見比べて勝てることもあれば、完全に敗北する時もある。そして病む。見なければいいのに見る。オタクは掲示板を見て、人のツイートを見て、推しのいいね欄をみて、ストーリーを見て…。一体自分からどれだけ闇に突っ込んでいけば気が済むのだろうか。それでも見る。依存である。推しに依存ならまだいいが、同担に依存している人も中にはいるのではないだろうか。嫉妬から生まれた醜い感情である。気づいてないと思っても周りには案外バレてるので、こういう感情を持たない、気にしないのが大好きな推しのためにも一番であるといえよう。

同担の楽しそう姿は、自分としたら地獄である。ハグなど接触ができる現場であれば尚更それを感じると思う。自分にしてくれていることは大体他人にもしているもんだ。どれもこれも演者の計算の内。それでも、それを分かっていても通ってしまう。
なぜだろうか。それは自分がお気に入りで一番の対応をされてるという自信があるから。

でも忘れてはいけない。私たちの前にいるのは彼氏ではない。アイドルだ。

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