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わが勲は

浅田次郎「中原の虹」を読み終えました。

浅田次郎は大好きです。「きんぴか」「プリズンホテル」など極道ものも好きですがww中国シリーズも読み応えあります。小説家になりたくて、畳がお尻の形にへこんでしまうほど書き続けた作家の力量はこれか!という重厚さです。

「中原の虹」は、「蒼穹の昴」「珍妃の井戸」につづく作品で、清朝の最後を描いています。西太后、光緒帝、張作霖、袁世凱などが、それまでのイメージ(学校で習った)とはまた違う魅力たっぷりに描かれています。

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清朝は、漢族ではなく満州族が長城を越えて樹立した王朝です。中国は漢民族の国のように考えちゃうけど、実は女真族が支配したり(金)蒙古族の王朝(元)だったこともあります。大陸なので、周囲の国々が中原を支配しようと侵略し、それを漢民族が取り戻す戦乱の繰り返し。日本のように、政権はかわるけど、民族は連綿と続いていて天皇の系譜も途切れていない(諸説あるみたいですが)のは、本当に珍しいらしいです。

清の末期は、植民地主義の欧州諸国と日本が、最後の未踏の地である中国を分割支配しようと互をけん制し合いながら、清朝の行方を虎視眈々と狙っている状況で、それに対し、なんとか中華が自分たちの国であり続けるよう、奮闘する西太后ら清国の政治家たち。そして、東北区(旧満州)を実質支配するほどの軍隊を指揮する張作霖たち馬賊。彼らが出撃の際に、何か政治的に大きな決断をする際に、スローガンとするのが

「わが勲(いさおし)は民の平安」

何度も何度も出てきます。清朝末期の時代の合間に、清朝建国の時の話もはさまるんですけど、その建国の祖のヌルハチと息子たちも合言葉のように口にしている。

いい言葉だなと思います。

国の指導者たる人は、かくあるべし。そう願います。

また明日。

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