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JAPAN RUGBY LEAGUE ONE 2022 大会エントリーについて

日本ラグビーの新リーグ「リーグワン」の開幕まで2か月を切りました。
プレシーズンマッチも増えてきて、各チームもどんどん仕上がってきているようで、開幕が待ち遠しいですね。
今回、私はリーグワンの大会エントリー(選手枠など)について興味を持って、いろいろと調べたり、分析…というほど大層なものではないですが、自分なりに考えてみたので、初noteに挑戦してみようと思います!
少しでも参考になれば幸いです。

■トップリーグの規定について
まずは、トップリーグの最終年度における規定を振り返りましょう。
トップリーグでは選手がA~Dの4つのカテゴリに分類されておりました。各カテゴリの概要は以下の通りです。(※細かい条件は省略し、簡略化しています)

カテゴリA(日本人枠)
・日本国籍を有し、他国の代表歴が無い選手

カテゴリB(特別枠)
・将来的に日本代表になる可能性がある選手

カテゴリC(アジア枠)
・アジアの国の国籍もしくは代表歴を有する選手
 (欧州、南半球の主要リーグでのプレー経験がある場合を除く)

カテゴリD(外国人枠)
・日本国籍を有せず、他国の代表歴がある選手

続いて各カテゴリの人数制限についてです。

・試合エントリーの上限
 カテゴリA、C:上限なし
 カテゴリB、D:計6名まで

・オンザピッチの上限
 カテゴリA:上限なし
 カテゴリB、C、D:計6名まで
 カテゴリB、D:計5名まで
 カテゴリC、D:計3名まで
 カテゴリD:2名まで

う~ん、ちょっとわかりづらいですね…
要するにカテゴリA以外の選手枠をフル活用するのであれば、以下の振り分けとなります。

・オンザピッチ
 カテゴリA(日本人枠):9名
 カテゴリB(特別枠):3名
 カテゴリC(アジア枠):1名
 カテゴリD(外国人枠):2名

東京オリンピックに向けた特別措置というのもありましたが、一時的な措置ですのでここでは割愛します。

■リーグワンの規定について
さて、ここからが本題です。
リーグワンではどのようなルールになるのでしょうか。

リーグワンのオフィシャルサイトに掲載された大会エントリーに関する図を見てみます。

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※リーグワンオフィシャルサイトより

細かい条文が公開されていないため、一部推測となってしまいますが、この図から読み取れる各カテゴリの条件と制限を従来のルールと比較した図を作成してみました。

画像2

画像3

まず、カテゴリがA~Cの3種類に見直されています。カテゴリCが従来のカテゴリD(いわゆる外国人枠)に対応すると考えられ、従来のアジア枠はカテゴリBもしくはCに吸収されているようです。

それでは各カテゴリを詳しく見ていきましょう。

カテゴリC(外国人枠)は従来はオンザピッチ2名まででしたが、チーム登録及び試合登録が3名以下となっており、オンザピッチについては任意(実質3名まで)となっています。
トップリーグ最終年のトヨタヴェルブリッツでは、マイケル・フーパー選手とウィリー・ルルー選手がピッチにいた場合に、ベンチからキアラン・リード選手を出場させるにはフーパー選手を下げなければならなかったですが、リーグワンではウィリー・ルルー選手、ピーター・ステフ・ドュトイ選手、パトリック・トゥイプロトゥ選手の同時出場ができるようになるということです。(何て豪華な例えw)

また、リーグ初年度に関しては、そもそもチーム登録枠が3名以下ということなのでシーズン中は、カテゴリBとCの選手を意識することなく、出場ができるようになるかと思います。
選手交代もシンプルですし、海外の有名選手をベンチに置いておくのはもったいないので、そういった面ではチーム登録に制限をつけるのは良い試みかもしれません。

カテゴリAに対する大きな変更は「国籍要件」が無くなった点です。
日本代表の実績や資格を有すれば、日本国籍の有無に関わらず制限なしのカテゴリAの選手となります。
つまり、トップリーグではカテゴリB(特別枠)に該当したピーター・”ラピース”・ラブスカフニ選手やヴィンピー・ファンデルヴァルト選手などが制限なしで出場できるようになります。
ただし、注意が必要な点はカテゴリAのオンザピッチ枠が11名以上となっているところ。カテゴリB及びCは任意となっていますが、実質的には最大でも4名までという非常に狭い枠となっています。
従来のカテゴリBからカテゴリAに変わる選手が多数所属するチームについては枠が広がるイメージかもしれませんが、そうでない場合は制限が厳しくなるということになるかと思います。

また、カテゴリAの「国籍要件」が無くなったことは、一部の選手にとっては非常に厳しいルール変更かもしれません。
従来はカテゴリAに他国代表歴を持つ日本人選手がいました。例えば、三菱重工相模原ダイナボアーズの共同キャプテンを務めていたトーマス優デーリックデニイ選手。母国フィジーの代表歴を持っていますが、日本に帰化している日本人選手です。
日本人選手であっても、他国の代表歴がある場合は現状のルールでは日本代表の資格は得られませんので、カテゴリAに該当せず、一番制限の厳しいカテゴリCになってしまうのだと考えられます。さらにカテゴリCの選手に関しては上述の通り、出場枠のみならずチーム登録枠が設けられています。
ご存じの方も多いかと思いますが、トーマス優デーリックデニイ選手は今季からトップイーストリーグのヤクルトレビンズに移籍しています。昨年の退団発表の際、ご本人のSNSでは”突然のことで戸惑っている”というコメントもあったので、このルール変更によって、チームも契約を延長することが難しくなってしまったということも考えられます。(あくまでも想像です。)

埼玉パナソニックワイルドナイツのヒーナン ダニエル選手はトーマス優デーリックデニイ選手と同じく他国の代表歴を持つ帰化選手です。ヒーナン選手もまた昨年のシーズン終盤には退団の噂がありましたが、結果的には残留となったようです。
埼玉パナソニックワイルドナイツはカテゴリCに該当すると思われる選手として、ジョージ・クルーズ選手、ハドレー・パークス選手、新加入のマリカ・コロインベテ選手の3人がいますので、このことからヒーナン選手はカテゴリCではないことが推察されます。
なぜでしょうか。ヒーナン選手は7人制日本代表の実績があるため、カテゴリAに該当するのだと思われます。

カテゴリBについては、「日本代表資格獲得見込み」という記載になっていますが、カテゴリA及びCに該当しない全ての選手ということだと思います。
リーグへの申請時点で日本代表資格を持たないが、他国の代表経験も無いということで、日本代表になる意思や居住年数は関係ないものと考えられます。(そうでないと、どのカテゴリにも属さない選手が出てしまうため)

従来のカテゴリC、いわゆるアジア枠に相当するカテゴリはリーグワンには用意されていないようですが、実際には何らかの特例規定があるのではないかと思っています。
トップリーグでも韓国代表等の日本以外のアジアの国の代表経験を持つ選手が多数プレーしていましたが、そういった選手がティア1の代表選手と同列に扱われるのはやや無理があるように思います。また、日本はアジア全体のラグビーを牽引する役割を持っていると思っているので、そういった意味でもアジアのプレーヤーが活躍しやすいルールとなっていることを期待したいと思います。

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