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褒められるということ

 50歳も半ばになると、人から褒められることが少なくなります。自分の中ではよくできたと思った行動や判断も、周りからは「当たり前」とでも思われているようです。一方、失敗をしたときには、ひどく怒られるかというと、(時と場合によってですが)軽い忠告などですまされることが多くなります。最近は、仕事上のミスや事故が起こっても、直接の原因である人を攻撃せずに、仕事のプロセスやマニュアルを改定することで、次に起こさないようにするための体制を構築するようになってきているようです。

 私が小学5年生の時に、近くの市民会館で音楽の合奏の発表会に出たことがありました。だいぶ前のことです…。私は小学校低学年よりピアノを習っていましたが、小学校5年生になると、習い事よりも、友達と遊ぶことが楽しくなり、親からもあきられながらピアノを辞めた時期でもありました。なので、合奏の楽器を決める時も、鍵盤系のピアニカなどよりも、打楽器を演奏することが楽しい時期でもありました。そこで、私の担当はシンバルという楽器でした。

 当日の演奏は無事に終え、翌日になって、普段の小学校の授業の合間の休み時間に、私の後ろの席の女の子が、「○○さんのシンバル、よかったわ」と、話してきたのです。私はちょっとびっくりしたのですが、テレもあって「あっ」としか言わなかったと思います。その時に、自分の中では「ピアノを習っていたからリズム感がいいのさ」などと、少し彼女を見下したような気持ちになりました。(彼女にとっては私の後ろの席なので、表情はわからなかったと思いますが)

 数十年が過ぎ、ふとその女性の名前を目にする機会がありました。その時の彼女は、劇団の音楽監督になっているとのこと… 

 褒められたときは素直に喜んだほうがいいのだ。そして、もし、これを読んでいる学生の方から30歳くらいの方に伝えたい。「褒められるのは今のうちだ。褒められたら素直に喜んで、褒められたことを自分の力にしていってほしい」と。

 人から褒められることがほとんどないこの頃、今は「自分で自分を褒めること」を心がけて、自らの士気を高揚させています。

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